ギョウジャニンニクと春のシロチョウ、スギタニルリシジミ
2015.4.12

 新学期も始まり、新しい年度がスタートしたという気持ちになってきた。
 自分も函館に転勤してきてから1年が過ぎ、振り返ってみると去年の今日は生物部の顧問として初の活動を行った。去年の今日はゼフの卵探しとギョウジャニンニク採りをしたと、去年の活動記録に掲載されている。そしてその時は蝶の姿を見ることは出来なかったとも記載されている。

 この冬は雪がとても少なく、暖かい冬だった。当然春の訪れも早く、越冬のタテハ類は既に見られている。この春羽化した白い蝶を目撃したという話も聞いている。

 今年度新しく部長になったI君が「ギョウジャニンニクを採りに行きたい」というので、春の様子の確認、蝶の姿が見られるかなどの目的で、今年度初の生物部の活動を行う事になった。副部長になったMさんは不参加。

 今日の活動は少し遅めのスタート。10時前に新部長を迎えに行き、その後対馬先生宅へ。対馬先生の車で戸井方面のギョウジャニンニクのポイントに向かった。

 去年の今日は時期が少し早かったのか、あまりたくさんのギョウジャニンニクは採れなかったのだが、今年の今日はご覧のとおり。たくさんのギョウジャニンニクがニョキニョキ出ていた。

ギョウジャニンニク。後ろには新部長

 このポイントは他に誰もギョウジャニンニク採りに来ていないような気がする。凄い数のギョウジャニンニクが生えていて、ギョウジャニンニクを踏み潰しながらギョウジャニンニクを探して歩くという変な現象が起きていて面白かった。
 とはいえ、やはり茎が細すぎたりするものや、群落の全てを切り取ってしまうのではなく、ある程度選別して採って行ったので、そういう事になるわけである。

 去年は少し早かった感があるが、今年は逆に少しだけ遅いような感じで、葉っぱがずいぶん伸びてしまっていた。

 で、問題になるのはニセのギョウジャニンニクと言うか、間違えやすい植物があることである。間違ったものを食べるとお腹が痛くなったり、色々悪さをするので、間違えないことがとても重要。
 間違えたくなければ一番手っ取り早いのは匂いをかぐことである。ギョウジャニンニク特有のニンニクくさいのがあればまず間違えない。
 だけど、1本1本匂いを嗅ぎながら調べていたら日が暮れるし、手に付いたニンニクのにおいで間違えるかもしれない。
 そこで、次に見分ける特徴としては茎に赤黒い色があるかどうか。茎が赤黒くなっていればギョウジャニンニクで、似ているけど茎に赤さが無いのは違うやつである。

 下の画像はギョウジャニンニクではない植物である。

ギョウジャニンニクではないやつ。
(画像中央の葉っぱが3枚出ているやつ)

 ギョウジャニンニク以外ではキクサギイチゲやカタクリの花なんかも見られてきて、山にも春がやってきたんだなと感じることが出来た。今年は新部長にたくさん蝶や植物の写真を撮影してもらい、種類の判別などで勉強してほしい。

キクサギイチゲ


カタクリ

 自分はもう十分採った。対馬先生は例のごとく「もうこれくらいでいいな」と言った後に大量に採っていた。仲間に分けてあげるんだと。
 部長は写真撮影もしていたのでまだ満足できるだけ採れていないと言うので、部長が満足するまでちょっと待つことにした。

斜面でギョウジャニンニクを採る部長

 待っている間、対馬先生が小川の小石をめくりニホンザリガニを探していた。

ニホンザリガニ

 3人とも満足してギョウジャニンニク採りは終了。クジャクチョウの越冬個体を数頭確認することもできた。

 帰り際、道南虫の会の安井さんの所によって対馬先生が採ったギョウジャニンニクをあげた。

 ここで、時間がまだあることに気づき、自分と部長は北斗市の林道に春を探しに行くことにした。
 自分はまだこの春羽化した白い蝶を見ていないので、それを見たいというのが一番の目標。それから、3月21日に昨年までの部長(道南虫の会山下君)と確認した産み立てのカエルの卵がどうなっているかも見ておきたくて。

 林道入り口に車を止めて歩き出すと、すぐに越冬のタテハがたくさん飛んでいた。クジャクチョウとシータテハだ。
 中には4頭位で縄張り争いのケンカをしているようなのもいて、見ていてとても楽しい。

林道に止まった越冬タテハを撮影する部長

 茶色い小さい蝶のようなものも飛んだので、もしかしてミヤマセセリ?と思ったが、良く見ると蛾だった。

ミヤマセセリかと思った

 林道わきの水たまりにはカエルの卵やエゾサンショウウオの卵もたくさんあって、親の姿も見られたが、2匹が重なっているカエルも見られた。おんぶされているのがオスで、おんぶしているのがメスだ。メスのお腹はパンパン。
 これから水のある場所に移動して卵を産むんだろうか?

大きさが全然違う!

 林道をブラブラ歩きながら越冬タテハ類を見ていると、遂にこの春羽化したシロチョウを発見!フキノトウで吸蜜しだしたので撮影することが出来た。今日はコンデジしか持って来ていなかったのだが、一眼レフを持ってくれば良かったとちょっと後悔。だけど、思いのほか近寄ることが出来て、ある程度大きく撮影することが出来た。

今年初めてのシロチョウ

 このシロチョウはエゾスジグロシロチョウだろう。林道は途中までしか歩かないで引き返したが2,3頭見ることが出来た。

 また、林道のちょっと脇の方で、ブルーのシジミチョウのようなものが飛んでいるのを発見!もしかしてこの春に羽化したシジミチョウ?と思い部長と二人で追いかけ、どこかに止まらないかなと思ったが逃げられた。

 春先に見られる青いシジミチョウならルリシジミ、スギタニルリシジミ、コツバメなんかが考えられたが、飛び方からしてコツバメは違いそう。ルリシジミとスギタニルリシジミのどちらかかもしれないと思うが、時期的にはスギタニルリシジミの方が少し早く見られるので可能性が高いと思った。

 しかし、採集も撮影もできなかったので真相は謎。もしかしたら青っぽい蛾とかかもしれないし。

 でも飛び方からして蝶の可能性がかなり高いと思い、注意して歩いた。

 しばらく歩くと、またブルーの蝶が!部長はちょっと違う場所で蝶の観察をしていたので、自分だけで撮影を試みた。
 コンデジではやはり難しい。一眼レフのマクロレンズがあったら完璧なのに!

 エゾエンゴサクに止まった所をようやく数枚撮影することが出来た。ピンボケの画像もあったりして、数枚撮影したうち一番よく取れたのが下の画像である。

 この画像からは、この蝶はルリシジミかスギタニルリシジミであることがわかる。更に模様が見えている部分の全体的な明るさから、スギタニルリシジミであろうと思われる。飛んでいる時のブルーの暗さもスギタニルリシジミっぽかった。
 去年の今日は蝶の姿すら見られなかったというのに、今年の今日は越冬タテハだけではなく、スギタニルリシジミまで見ることが出来た。とても嬉しい気持ちになった。エゾスジグロシロチョウも見られたし。

白っぽいエゾエンゴサクを撮影する部長


シータテハ


クジャクチョウ

 今日は午前中にギョウジャニンニク、午後から春の蝶探しをしてそれぞれ成果を上げることが出来た。今年度初めての生物部の野外活動でもあったし、これから新入部員が入ってくれるかどうかわからないけど、新入部員が入ったら部長や副部長と共に楽しい1年を過ごしていきたい。