ヒメシロチョウとアカマダラ探し
2015.4.29

 今日は昭和の日で休日だ。天気も良く活動をすることにした。
 部長だけ活動時間の調整が合わせられず不参加。副部長のMさんと1年生4人、顧問二人、合計7人での活動になった。

 最初に向かったのはヒメシロチョウの生息ポイント。函館近郊ではヒメシロチョウはなかなか珍しい蝶になっているが、去年聞いたポイントで今年もちゃんと発生しているか調査することにした。それから、今日の目的のひとつとして、アカマダラの発生確認のため、生息地と思われる鉄山の林道にも行く計画だ。

 まずはヒメシロチョウの生息ポイントに向かう事にした。

 1年ぶりなので、ちょっと迷子になった。自分は久根別組とW君と一緒に向かったが、対馬先生はN君とY君と3人でポイントに向かう。そしてヒメシロチョウのポイントで全員合流する計画だった。

 迷子になっている最中に対馬先生組が来たので、対馬先生組の後に続いてポイントに向かった。

 到着する直前に、もうヒメシロチョウらしき蝶がフワフワ飛んでいるのを確認した。

 ポイントに到着して、対馬先生組と私組に分かれることにした。対馬先生組は女子部員二人。私は男子部員を連れ、それぞれ違う方向に向かってヒメシロチョウを探すことにした。

 じゃあね!って分かれてすぐに対馬先生組はヒメシロチョウを見つけていた。

 私たちも負けじとヒメシロチョウを探す。だけど、探すまでもなかった。かなりの数のヒメシロチョウがフワフワ飛んでいた。一体これはヒメシロチョウなのかエゾヒメシロチョウなのか?なかなか止まらない蝶なので網ですくってから確認するしかない。

 1年生たちが網で蝶をすくって確認すると、どうもヒメシロチョウの方が多いようだ。エゾヒメシロチョウとヒメシロチョウの区別はかなり難しく、去年も対馬先生とかなり時間をかけて勉強した。そのおかげで、見ればすぐにどっちかわかるようになっていたが、部員たちにとってはまだかなり難しい。少し標本にして比較し、区別がつくようになってもらう必要があると思い、数頭採集した。

 

ヒメシロチョウを追いかける男子部員

 なかなか止まらないヒメシロチョウだが、何度かチャンスが訪れた。今日も撮影係のY君はW君と、私はカメラを持ちながらも網を持っているN君と。ふたつに別れて行動したので、ヒメシロチョウが止まったチャンスタイムにはカメラのY君は違う場所にいた。

 「おーい、止まったぞ〜!」とY君を呼ぶ。Y君は遠くから走って駆け寄ってきた。そしてカメラを構えた瞬間にヒメシロチョウが飛んでしまったりという事があり、Y君はがっかりしていた。でもY君自身も止まっているヒメシロチョウを発見して撮影していた。

 撮影した画像を見せてもらったら、ちょっと白とびしている感じもあるか、まずまずである。

 その他、モンシロチョウ、キアゲハなどを見つけることが出来たが、キアゲハは見事にN君がネットインすることに成功していた。蝶が網に入った瞬間、N君は網を持つ手の反対の手を大きく上げてガッツポーズしていた。

 初めて採集した大きな蝶という事でかなり嬉しかったのだろう。自分も高校生の時、初めてアゲハの仲間を採集した時は嬉しかったと思う。それから、初めて採集する種類も嬉しかった。天高くつきあげたN君の腕を見たときにはちょっと吹き出したけど、そういう喜びと言うか感動と言うか、これからの活動でも初めて採集する種類がたくさん出てくるので、そのたびに感動してほしい。

タンポポに止まるヒメシロチョウ


ヒメシロチョウを撮影するY君

 そろそろ戻ろうかという事になり、歩いてきた道を戻る。採集した蝶を確認すると、どうもほとんどヒメシロチョウのようだが、エゾヒメシロチョウも少し混じっている感じ。混生していることは間違いないようだ。

 二手に分かれた場所に戻ると、対馬先生と女子はもう戻ってきていた。

 対馬先生グループもそれなりにヒメシロチョウを確認していた。生きたまま三角紙に収納していたので、それぞれの三角紙に入っている蝶を確認。1頭だけエゾヒメシロチョウと思われたが、その他はすべてヒメシロチョウであった。

 更に、このあと鉄山で確認しようと思っていたアカマダラをこの場所で採集していた。これは標本にするためもらうことにした。

 ここで、儀式を行う事にした。名付けてイラクサの儀式!

 山で活動するときはなるべく長袖長ズボンにしてほしい。それはハチ、蚊、アブ、ダニなどの刺す虫、蛇などの危ない生き物対策という事もあるが、イラクサ対策もある。

 イラクサと言うのは細かいトゲのようなものがある植物で、知らないで触ってしまうと刺される。刺されるとイラクサが保有している蟻酸という物質によって、刺されたところがしばらく痛痒くなるのだ。これをわざとに体験してもらうのだ。そしてその痛痒さを知り、今後の活動で注意してもらうためにあえてここで痛い目にあってみるのがイラクサの儀式だ。

 これは自分が高校生になって入部した時にもやったし、去年入部した現部長も体験済み。ただ、Mさんだけは相当ビビりで未体験。今日もMさんはイラクサの儀式を拒否していた。拒否しているのに無理にやらせることもできないので、Mさんの儀式は次回以降に取っておこう。

 1年生部員に「そこの植物の葉っぱを採ってきて」とイラクサの葉っぱを示す。1年生部員は葉っぱを採ろうとするときに刺されて「いてっ!」ってなる者もいれば、運よく刺されずに「あれ?痛くないですよ」という部員もいた。痛くないという部員には対馬先生がイラクサの葉っぱを持って部員の手をなでるようにイラクサのとげを接触させた。すると、

「いてっ!」と刺されていた。

 私はその姿を見て笑いながらも懐かしいというか、とても楽しかった。

 この痛痒さはとても独特で、ものすごい痛いわけでもないし、ものすごい痒いわけでもない。何とも言えない中途半端な痛痒さでイライラしてくる。これがイラクサという名前の由来になっているのかもしれない。

 この痛痒さは1,2時間程度で消えるんだけど、場合によってはその後少し復活してくるときもある。

 1年生のYさん、W君、Y君、N君、それぞれ痛痒がって、とても面白い。この痛痒さを体験し、今後の活動の時に刺されないように注意してほしい。

 ということで、痛痒い指を出しながら記念撮影。イラクサの儀式拒否の副部長Mさんは両手を後ろに組んで。

痛痒い指を出しながら記念撮影
顔はぼかしています

 ヒメシロチョウの確認もできたし、アカマダラの採集もできたが、とりあえず次の目的地の鉄山に向かった。

 林道の途中で車を止めて、そこから奥に歩いて行くチームと林道を戻るように歩くチームに別れることにした。今度はじゃんけんで組み合わせを決めたが、カメラを持っている私とY君は別のチームになることにした。

 対馬先生チームはMさんとY君。

 YさんとN君とW君は私のチームになった。

 私のチームは林道を奥に進んで行く事にした。蝶を探しながら採集の練習をし、また、採った蝶の胸を圧迫して動かなくする力加減の練習もした。初めて蝶の胸を圧迫するときにはかなり抵抗感があるのだが、何度か練習して慣れてほしい。

チョウを探しながら歩く3人

 途中、スギタニルリシジミだらけの場所を見つけたり、コツバメを今年初めて採集したりした。蝶を見つけては追いかけたり、道路脇にそれたりしながら歩いていたら、対馬先生チームが私たちの方に歩いてきて追い越されてしまった。

 だけど、スギタニルリシジミ、エゾスジグロシロチョウ、今年初のスジグロシロチョウ、越冬のタテハ類など多くの蝶を観察でき、本格的な蝶のシーズンが到来してきたというか、そういう実感がわいてきて嬉しくなってきた。

 自分たちを追い越した対馬先生チームと合流し、戻りながら蝶の観察や採集の練習をした。

 途中、ツマキチョウを採集した。しかも2頭採集した。これは北海道におけるツマキチョウ確認の最早記録更新のようである。この林道に来ただけの成果を出すことが出来た。

チョウを追いかけダッシュしているところ

 車の所まで戻ったのだが、ここには川が流れていて魚道が設置されていた。この河川は禁漁河川になっているので釣りなどをして魚を採ってはいけないのだが、魚道には魚が泳いでいる影が見られるので、いったい何の魚がいるのか確かめてみることにした。

林道を戻ったところ。写っているのはYさん

 対馬先生の蝶採り網を使ってすくってみることにした。私は正直「そんなんですくえないんじゃない?」と思っていた。

魚道で魚をすくう準備をしているところ

 段々になっている所で滝のように水が流れている場所に網を入れ、底の方まで深く突き刺し適当にすくってみた。

W君がすくっているところ

 すると、15cm位の魚が網に入った。正直びっくり!こんなんで魚採れるの??

すくった魚

 これはどうやらイワナのように見える。だけど自信は無い。イワナとかオショロコマとか区別できないし。

 で、またやってみることにした。何度かすくっているうちに、また魚が採れた。今度はヤマメのようだ。

ヤマメ

 更にまたやってみた。今度はギンピカの魚が採れた。これはヤマメの降海型(サクラマス)ではないだろうか?自信はないが。鮭だったりして。

サクラマス?

 とにかく、さすが禁漁河川だけあって、網で魚がすくえるくらいたくさんの魚がいるようだ。これらすくい上げた魚たちは当然川に戻した。
 裸足で川に入って網ですくっていたW君などは「つめて〜」と連呼していて面白かった。

 魚の調査を終え、対馬先生とY君はフキ採り。他の部員達はひと休みしていたり、N君やYさんは網を持って更に蝶を探したり採集の練習をしたり。

チョウを探すN君


チョウを探すN君とYさん


フキ採りをするY君

 フキ採りをしている対馬先生がスギタニルリシジミが交尾している所を見つけて教えてくれたので撮影した。去年、上磯ダムの上流でも交尾しているスギタニルリシジミを見つけて手乗りにして撮影したが、それはやっぱり自然じゃないので、今日は自然の写真を撮ることが出来た。

交尾しているスギタニルリシジミ

 対馬先生とY君はそれなりにフキを採っていた。まだフキは小さいけど、このくらい小さい方が柔らかくて美味しいんだろうか?

採ったフキを見せてもらった

 最後は今日の参加者全員で対馬先生宅に行き、対馬先生が持っている標本をみせてもらった。自分も高校1年生の時に対馬先生宅に呼ばれて標本を見せてもらったことがある。特にオオイチモンジに魅せられたのを今でもはっきりと覚えているくらい。

 今日標本を見た1年生部員もそれぞれ「綺麗だな〜」とか「かっこいーなー!」とか、感じだと思うが、「自分も標本を作ってみたい」と思ってくれると一番うれしいのだが。さて今後どうなるだろうか?

 自分が高校1年だった時には「1年間で標本を1箱作る事」というお題が出され、一生懸命採集し標本を作製して対馬先生に提出したのを思い出した。

 これで今日の部活は終了。Mさん、Yさん、W君を送って帰宅した。

 今日確認できたチョウはキアゲハ、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、エゾヒメシロチョウ、ヒメシロチョウ、モンシロチョウ、ツマキチョウ、スギタニルリシジミ、コツバメ、クジャクチョウ、シータテハ、アカマダラ、ルリタテハ。

 ざっと14種。道南に生息する蝶が約100種なので、今日だけでかなりの蝶を確認することが出来た。

 蝶を撮影したり採集したり、川の魚調査、採集の練習、胸の圧迫の練習、写真撮影、フキ採りなど、かなり内容の濃い活動になり嬉しかった。天候にも恵まれてよかった。

 本格的なシーズン突入を感じ、部員達と賑やかに林道を歩き、とても楽しい活動になったし、貴重なデータを得ることもできた。


 今日は義理の父と母が函館に遊びに来たので、夕方前位からはちょっとした函館巡りなどをした。夕食は函館では超有名な五島軒でいただいた。

コーンスープ

牛カツレツ

 とても美味しく、手ごろな価格で食べることが出来、義理の両親も満足してくれたと思う。その後、ロープウェイで函館山へ。はこだて検定上級を取得している私はロープウェイ代はなんと無料!1200円得した気分。

 寒いと思ったけどそうでもなく、若干ガスがかかっていたが、そんな夜景もまたいとおかしというか、綺麗だった。

 函館山と言えば、私はソフトクリームが食べたい。ここのソフトクリーム、1個500円と高いんだけど、練乳をソフトクリームにしたような味わいで、自分の中では北海道1、2を争うソフトクリームだと思う。

 ちなみに、私個人の最高に美味しいソフトクリームは、
 
 ・函館山のソフトクリーム
 ・富良野(ダウンヒル)のソフトクリーム
 ・クランベリー(帯広)のソフトクリーム
 ・トラピストのソフトクリーム

 である。

 人それぞれ好みはあると思うが、自分はコッテリしてなめらかなソフトクリームが好きなので、「好み似てる」と思った人は是非函館山のソフトクリームを食べてほしい。

夜景

函館山のソフトクリームを食べるところ

 朝から夜までずーっと活動しっぱなしの1日だった。