たくさんの種類を求めて
2015.5.3

 本日も天気良好!山に行くぞ!!と、帰省中の山下君、1年生部員のN君、Y君と4人で活動することになった。対馬先生は今日は自主活動。

 昨日は生物部10人が集まり超生物部になったが、今日は4人。現役部員は二人とこじんまりした活動になった。

 山下君を迎えに行きそのまま学校へ。9時に集合ということでY君は来ていたが、どうやらN君は集合時間を9:30と間違えたらしい。これはいけない。大体そんなに待ってられない。

 そこで、N君は急遽湯倉神社で待ち合わせをすることにし、我々も湯倉神社に向かった。

 湯倉神社に到着すると、お母さんに送ってもらっていたN君は既に到着していた。お母さんに挨拶でもしようかなと思ったら、お母さんの車はブーンと行ってしまった。

 とにかくなんとか時間のロスは避けられたので、今日の目的地に向かう事にした。

 昨日は木古内方面に行ったのだが、対馬先生との打ち合わせの時に、自分は南茅部か戸井方面はどうかという事を言った。色々検討した末に木古内という事になったのだが、今日は昨日行けなかった亀田半島方面(戸井、鉄山)に行く事にした。

 目標は、今日一日で何種類の蝶を見れるかの挑戦。勝ち負けの境目は10種類という事にした。

 まずは戸井方面の林道に向かう事にした。海岸線を進み、汐首を過ぎた頃に霧が発生。これはダメだと引き返し、ちょうど霧と晴れの境目である汐首で蝶を探すことにした。ここはこれまで何度も来たことのある、山の山頂付近に野生の馬がいる場所。

 国道から入り少し登るとゲートがあり、ここから先は徒歩で進むことにした。

 歩き始めから登り坂。すぐに足が変なことに気付いた。なんか疲れているようなちょっと痛いような。どうしたのかな?と思ったらすぐにわかった。これは昨日のやつだ!

 昨日のやつ?

 昨日、1年生部員のYさんにワラジで追い掛け回されてダッシュで逃げ回った。この時に本気で逃げたので足が筋肉痛になったのだ。
 物凄い痛いわけでもないから全然問題ないが、ちくしょーYさんめ!とか思いながら重い体で坂道を登って行った。

 最初多かったのはコツバメだ。けっこうな数飛んでいて、少し採集。今日は両方の部員とも網を持って採集の練習をしてもらう事にしたので、「なんでも採ってみろ」と指示を出した。

 若いって素晴らしい!と感じた。蝶を見つけ走って行って網を振る。逃げられても追い掛け回す。なかなかのもんである。この時点で自分はけっこう疲れていて汗をかいていた。

コツバメ

 今日見られるのではないかと思った蝶のうちの一種、ミヤマセセリも見ることが出来た。コツバメほどではないが多数のミヤマセセリが飛んでいる。飛び方はコツバメに比べて愛らしいというか可愛いというか。でも見た目は地味だよね。

ミヤマセセリ

 途中、山下君がカナヘビを見つけて捕まえた。1年生部員は見たことが無かったらしく、それを聞いた時びっくりした。
 「え〜見たこと無いの?触ってみな」と言って触らせた。
 Y君は「毒ないんですか?」とちょっとビビり気味。毒は無いに決まっているけど「ちょっとだけ毒あるよ」とか言ってみればよかった。

 自分は小学校や中学校の時点でカナヘビを捕まえに行ったりしていたので、こういうのを捕まえたことが無いなんて!とびっくりしたのだ。

山下君に捕まったカナヘビ。変な顔!

 1年生部員に「ここの道をずっと登って行って、頂上まで行くと野生の馬がいるんだよ」と言うと、特にY君が「見に行きたい!」と言った。

 自分は見に行きたくない。なぜなら、野生の馬がいる頂上まで行くにはけっこう疲れるからだ。2.3km歩かなければならない。なので、「別に行かなくていいべや。それに俺はもう見たから行きたくない」と言ったのだが、Y君は断固として引き下がらない。
 え〜疲れるから嫌だな〜と思ったけど、しょうがないので連れて行く事にした。

 道はずっと登り。体が重い+昨日ワラジから逃げた足の疲れが残っている。
 しかも、ちょっと厚着をしていたので汗だく。N君に「先生、風呂上りみたいになってますよ」と言われた。髪の毛が汗でベチョベチョ。

 標高が上がってくると景色が綺麗に見えだす。去年はこの景色をコンデジのミニチュアモードで撮影してみたら?と対馬先生に言われたことを思い出した。その時はコンデジを車に置いてきたので撮影できなかったが、今日はコンデジを持って来ていたので、やってみようと思った。テストとして前を歩く山下君を撮影してみた。山下君はミニチュアの世界に入り込むことが出来るだろうか?

前を歩く山下君
(ミニチュアモード)

 ミニチュアに見えるような見えないような・・・。なんとも微妙な写真に仕上がった。

 更に、景色も撮ってみることにした。これ、ミニチュアに見えるかどうか、下の2枚画像を見た方は是非感想を聞かせてほしい。

ミニチュアモード撮影1


ミニチュアモード撮影2

 疲れるので時々休んだり、蝶の採集をさせながら登って行った。

N君

 汐首岬は亀田半島にあり、本州と北海道が一番近い場所である。ここと青森県の大間までの距離は17.5km。
 昔は戸井と大間にフェリーが走っていたらしい。

 また、日本海から北上してくる対馬暖流と太平洋から南下してくる親潮がちょうどここでぶつかる。そのため、この付近はとても良い漁場になっていて、ここ数年では戸井マグロが有名であるが、こうやって上から海を眺めてみると、ちょうど対馬暖流と親潮(寒流)がぶつかっているところを確認することが出来た。また、このぶつかっている所を境に霧が発生しているようで、とても興味深い自然現象を見ることが出来た。

対馬暖流と親潮がぶつかっていることろ。(境目)

 随分登ってきた。もう汗だく。標高が低いところにいたようなコツバメとかミヤマセセリは全く見ることが出来なくなり、蝶の姿は少なくなった。だけど代わりに吹き上げられてきたのであろうキアゲハなどがポツポツと見られるようになってきた。私以外の3人は網を持って蝶を追いかけていた。その中で、自分は見ることは出来なかったが、黒いアゲハを確認したらしい。採集は出来なかったので絶対ではないが、ミヤマカラスアゲハの可能性が高そうだ。
 まだ経験不足の1年生部員が言っていたのなら信じられないかもしれないけど、山下君も見たと言っていたので信ぴょう性は高いだろう。今日採集か撮影できれば、もしかして北海道におけるミヤマカラスアゲハ確認の最早記録の新記録になったかもしれなかったので残念だった。

チョウを追いかける3人

 海の方の景色ばかり見ていたが、反対側を見ると恵山が見えてきた。

恵山

 ようやく頂上付近に到着。汗だくでハァハァ。野生の馬も見ることが出来た。望遠レンズで確認したら、合計14頭はいるようだ。草を食べていた。
 正確な距離はわからないが、多分400〜500m離れていると思う。林業の人が使っているという熊よけのホイッスルを持っていたので、この距離で馬たちに音が聞こえるか試してみた。スイッチを押して音を出すと、馬たちはいっせいにこっち側を見た。どうやら音は届いているようだ。だけど、びっくりして逃げ出すとか、そういう馬はいなく、何度か鳴らしているうちに見向きもされなくなった。

野生の馬

 海側に目をやると、雲海のようになっていた。ここは頂上付近からの眺めで、頂上と言っても函館山より標高は低く、確か300m以下である。こんな所からでも雲海のような綺麗な景色が見られ、最初は「行きたくないなぁ〜」と言ったけど、来てよかったかもと思った。

雲海


雲海の向こうに見える函館山


網を持って景色を見ている山下君

 頂上には吹き上げられてきたと思われるキアゲハがたくさん飛んでいた。網で採集する練習をしてもらい、2頭だけ標本用に持ち帰ることにした。残念ながら黒いアゲハは見ることが出来なかった。

 頂上まで来て野生の馬も見れたし、良い景色も見られたので、降りることにした。テクテク歩きながら、おしゃべりをしながら、また蝶を探しながら歩いて車まで戻ってきた。この時点でもうお昼を過ぎていた。

 足がかなり疲れたが、次の目的地、鉄山に向かう事にした。途中、コンビニに寄り、みんなでアイスを食べたりおにぎりを買って食べたり小休憩をしたのだが、コンビニの駐車場にセミがいるのを山下君が発見した。

セミ(エゾハルゼミ?)

 小休止後鉄山に到着してテクテク歩きながら蝶を探すことにした。4月29日にも来ているが、見られるチョウの種類は増えているだろうか?

スギタニルリシジミももうボロボロ

 ここでも採集の練習。そして、どんな蝶が見られるかわからないので、蝶が飛んでいたらとりあえず採集をしろと指示をした。越冬のタテハ類、紫色のシジミ類、シロチョウ類などを採集しながら歩いた。

 ルリジシミが見られていたので、飛んでいる紫のシジミをY君に採集させたらツバメシジミだった。これはもしかして北海道での過去の最早記録を塗り替える、新記録かもしれない。また、今日ここで確認したかったアカマダラも1頭だけだが確認することが出来た。

 山下君と部員達はルリタテハの採集にチャレンジしていた。素早くてなかなか採れない。

ルリタテハをそーっと狙っている3人

 林道に止まっているルリタテハを見つけ、そーっと近寄って行く。体制を低くして近寄る姿はまるでチーターのようである。狙った獲物に近づくときに姿勢を低くするのは何かの本能なのだろうか?

あっ!惜しいところで逃げられたところ

 最終的にルリタテハの採集に成功。去年の春は現部長のI君が同じ場所で何度もルリタテハを目撃するものの一頭も採集できなかったことを思い出せば、今日ルリタテハを採集できたのは上出来である。越冬個体なので採集後観察してから逃がした。

シータテハ


ルリタテハ


エゾスジグロシロチョウの交尾しているところ

 山下君は去年かなり一緒に活動したけど、実はツマキチョウを見たことが無いとか、ウスバシロチョウを見たことが無いとか、去年北海道産のゴマダラチョウを見たことがある人が言うような事ではないような、なんでそんな普通種を見たことが無いの?と言いたくなるような、変な所が抜けている。そんな中、今日はツマキチョウを確認することが出来た。見たことがあるチョウの種類が増えて良かったね。

 今日は汐首と鉄山の2か所で蝶の観察をした。見られた蝶は全部Y君に記録してもらった。

 自分の記憶として覚えている種は、

 キアゲハ、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、オオモンシロチョウ、ツマキチョウ、モンキチョウ、エゾヒメシロチョウ、スギタニルリシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、コツバメ、クジャクチョウ、シータテハ、ルリタテハ、アカマダラ、ミヤマセセリ。
以上16種類。目標達成である。

 更に、黒いアゲハとサトかヤマキマダラヒカゲと思われる蝶を山下君と1年生部員が目撃している。それからトラフシジミらしきものを山下君が見たらしい。これは確実な記録とはいえない。しかし、それを合わせたら19種類である。

 もしかして見られるかなぁ〜と思っていたのがコミスジだったが、見られなかった。

 この時期にこれだけの数の蝶を観察できれば上出来であろう。スジグロシロ類やヒメシロ類、ルシとスギタニなど、見分けが難しい蝶もいるが、観察を繰り返して勉強し、見分けられるようになって欲しい。この先夏になればミドリシジミ類などまたまた見分けがやっかいな蝶が出てくる。自分も見分けられないので、部員達と一緒に勉強していきたいと思った。今年の新入部員達は積極性が高いような感じなので、今後に期待していきたい。

 とりあえず今日の活動も楽しかったがたくさん歩いて疲れた。