コミスジ、トラフシジミ、ヤマキマダラヒカゲ初見
2015.5.17

 今日の活動は対馬先生とMさん以外の部員が参加だ。
 天候は良いが風が強い。部員5名と自分を合わせて6名だという事で、車に乗りきれないため、部長は自転車で来てもらう事になっていた。そういう関係で、調査場所は部長の自宅に比較的近い場所でなければならないという制約もあり、北斗市の水無林道に集合となった。

 昨日は自分とYさんとN君がこの水無の林道で調査をしたので、昨日調査した3人は近くにある違う林道に入ることにした。部長とW君、J君は水無の林道で調査。
 2時間後に元の場所に集合することになった。

 念のため、熊よけのホイッスルと熊撃退スプレーを水無林道調査チームに渡し、コンパクトデジカメも預けた。そして自分とYさんとN君は近くの林道に向かった。

 近くの林道というのは万太郎林道という所だ。車で5分もかからないような場所にある林道だ。

 林道入り口から少し入った所で車を止めて歩くことにした。天気は良いがやはり風が少し強い。また気温もちょっと低めで肌寒い感じ。

 とりあえず歩き出すとスジグロシロチョウなどは普通に飛んでいて、サカハチチョウなんかもけっこう見られる。そんななか今年初めてのコミスジを発見した。

 とりあえず写真を撮ってから採集と思ったが、ちょっと距離が遠く、撮影しかできなかった。

今年初めてのコミスジ

 林道を歩きながらチョウを採集したりお話をしたりしながら調査を進めるが、期待していたオナガアゲハやミヤマカラスアゲハ類は全く見られない。いかにもミヤマカラスアゲハが吸水していそうだったり、飛んできそうな場所もけっこうあるのだが、やはりまだ時期が早いのだろうか?ミヤマカラスアゲハに関しては飛んでいてもおかしくない時期に入ってきているように思うのだが。

調査する部員

 サカハチチョウは急に増えてきた感じ。これからもっと増えてくるんだろうけど、やはり春型の初めの時期という事で綺麗だ。

サカハチチョウ

 ちょっと大きめの蝶が飛んだので、アカタテハかと思い採集させたらヤマキマダラヒカゲだった。これも今年初。YさんとN君に見せ、蝶の特徴などを説明し、「こいつはけっこう人懐っこくて、体に止まったりするんだよ」と説明した後Yさんの体にくっつけたら全然逃げない。「ね、人懐っこいでしょ」などと言いながら、「やった!説明通り!」などと思ったのだが、このヤマキマダラヒカゲ、本当に全然逃げない。

Yさんの手に止まるヤマキマダラヒカゲ

 全然逃げないので私の鼻の上に止まらせてみた。全然逃げない。チョコチョコ歩いておでこのほうに移動していた。更にN君の頭に乗せてみたり。全く逃げない。

N君の頭に止まらせたヤマキマダラヒカゲ

 N君の首のあたりに止まらせたら「くすぐったい!」と言っていた。とにかく全然逃げないので、強制的に葉っぱの上に置いて林道を先に進んだ。

 再集合の時間を2時間後と決めていたので、出発して1時間で林道を戻ることにした。さっきヤマキマダラヒカゲを逃がしたところまで戻るとまだヤマキマダラヒカゲがじっとしていたので撮影した。

さっき遊んでくれたヤマキマダラヒカゲ

 戻る途中には今年初のトラフシジミを確認したり、コミスジを採集したりもできた。

 水無の林道に戻ると、ちょうど部長チームも戻ってきている所だった。J君にコンデジを渡していたので、撮影した画像を確認したりした。
 蝶の調査では採集か撮影が条件になり、目撃記録だけではちょっと信頼性が薄い部分もあるから、何か蝶を見つけたら採集した後に撮影しておくように言っていたのだ。キアゲハやサカハチ、スジグロシロチョウの写真の他に、なんと自分の嫌いなダンゴ虫の写真まで撮っている。これは明らかに確信犯だ。
 私がビビるのを知っていてわざとダンゴ虫の写真を撮りやがったな!いつか報復してやる!

J君撮影、キアゲハ


J君撮影、サカハチチョウ

 水無林道チームも特別な成果は得られなかったようだ。風が強いというのが一番問題だったように思う。

 J君が撮影した画像を確認していると、たまたま熊撃退スプレーを写していたので紹介する。

熊撃退スプレー

 この熊撃退スプレー、以前一度自宅近くでちょっとだけ「プシュ」ってやるつもりで噴射してみたことがある。ところが実際は物凄い勢いで中身が噴射された。よく考えたら凄い勢いで噴射したほうが熊に効くからだろう。
 オレンジ色の何かが噴射されたのだが、風のせいで自分にほんの少しフワッとかかった。
 その瞬間、ものすごい辛いというか、痛いような感覚に襲われた。フワッとかかっただけで。

 これ、まともに喰らったら大変なことになりそうな感じの刺激である。
 もう息もできないというか、目も開けられず、少し吸い込んだのか喉に付いたらしく、もう咳き込んで何度も「オエッ!」となった。


 なので、万が一本当にクマに襲われた時だけしか使ってはいけない。本当に恐ろしいスプレーなのだ。
 ストッパーを外してから噴射スイッチを押す。
 価格が1万円を超え、高額であるが、本当に万が一クマに襲われた場合、死ぬ可能性もあるわけだし、ほとんどクマに出会ったことは無いけど、絶対にクマがいない場所にだけ行っているとは言えないし、何かの不運が重なってクマに出会う事もあるかもしれないわけだからこういうものを持っている意味はあるだろう。

 今日の調査はここまでにしようかどうか悩んだが、せっかくだし、もう一か所だけどっかに行ってみようと思った。部長が自転車で行ける場所でなければならないので、ここから上磯ダムに向かう途中にちょっとした自然公園みたいのがあるのを思い出し、そこに行ってみようという事になった。
 部長は自転車で、自分たちは車で自転車の後ろを追いかけるように。

 それにしても部長は底知れぬ体力を持っているようだ。登り坂を自転車でグイグイ。凄い。風も強く、場合によってはけっこうな向かい風を浴びているのにへこたれることなく自転車をこいでいる。ちょっとびっくりだった。

自転車で進む部長
 
 目的の自然公園みたいなところに到着。みんなで散策しながら蝶を探す。
 相変わらず風があり、そんなに蝶の姿も見られない。大きな木から弦のようなものが垂れ下がっており、「ターザンできるんじゃないか?」と誰かが言った。

 ターザンはどうかわからないが、弦をどれだけ登って行けるかみんなで試してみることにした。

 素手だったり手袋を履いたり、人それぞれだが、みんな意外と登って行けるのには驚いた。

登るJ君

登るW君


登るN君

Yさんは弦でブランコをしようとしたが、弦が地面までついてしまってブランコできなかった

 一番すごかったのはN君だ。弦をスルスルを登って行く。もし弦が切れて落ちたら怪我をしそうだという位高く登って行ったので、「もうそれくらいにしとけ」と言い、降りてもらった。
 ほっといたら一番上まで登って行きそうな感じ。

 付近をみんなで散策したり、ちょっとした池のような場所があり、Yさんが偵察に行ったら足を滑らせてお尻を泥んこにしたり、あまり蝶がいない公園で少しの時間だが楽しく過ごした。

 車の場所まで戻り、今日の活動を終了しようと荷物を片付けているとJ君が「先生来てください!」とただならぬ感じで叫んだ。
 これは何か発見したな!とピンときたので、部員に「網もってこい!」と叫んでJ君の元に向かった。
 「あそこに黒い蝶がいます!」とJ君が言った。

 地面にとまるミヤマカラスアゲハであった。土の場所にいたので吸水していたのだと思う。
 網を持った部員達が到着するころにミヤマカラスアゲハは飛び立ってしまい、風に乗ってどこかに行ってしまった。
 追いかけたけど残念ながら捕まえることは出来なかった。

 ミヤマカラスアゲハの北海道における最速記録は4月下旬のようなので、仮に捕獲できたとしても記録更新にはならないが、部員に早くミヤマカラスアゲハやカラスアゲハ、オナガアゲハなどの黒いアゲハを見せてあげたいと思っていたので良かった。これからいくらでも見られるようになってくるし、たくさん網に入れたり写真撮影する機会も出てくると思うが、最後の最後でミヤマカラスアゲハを見つけたJ君、偉いぞ!