留寿都のオオイチモンジ確認失敗
2015.7.11-12
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道南(函館)に転勤してきて撮影のチャンスが増えた種類にフジミドリシジミがある。北海道では道南地方近辺だけに生息するミドリシジミ類で、幼虫がブナを食べるため、ブナが生えている道南地方近辺だけで生息しているのだ。
帯広に住んでいた頃、この時期に道南に来るのはほぼ不可能だった。なので函館に転勤になり、「フジミドリシジミが撮影できるかも!」と、去年思った。
が、生息しているポイントを知っているわけでもなく、去年はあえなく撃沈。道南に来たからと言って簡単に出会える蝶ではないんだなという事をあたらめて思った。そして、自分はフジミドリシジミをまだ1回も見たことが無い。
そんななか、フジミドリシジミの生息ポイントについて道南虫の会掲示板で書き込みがあった。島牧村で以前確認したという話。早朝に下草に降りていた多数のフジミドリシジミを観察したというのだ。どうしようか悩んだ。
掲示板でポイントを書き込んでいた方によると、同行していたのは道南虫の会の井本さん。たまたま、はこだて未来大学の講演会で一緒になったので詳しく話を聞いた。10年位前の話だと言っていたが、色々聞いているうちにどうしてもチャレンジしてみたくなった。
早朝に島牧村。これは出発が朝の3時とか2時とかになる。そうなると、生物部員を連れて行くわけにもいかない。今回は部活動ではなく、私個人の活動としてフジミドリシジミにチャレンジしよう。そうなると、土日をかけて1泊で行くという工程の選択肢も出てくる。そこで、妻を誘ってみることにした。
「土日1泊で島牧に行かない?」妻は乗り気だった。島牧のホテルか旅館で美味しい海の幸を食べることもできるからだ。早速ホテルか旅館を手配してもらったが、客室がいっぱいだったり、その日は休業という所もあり、ちょっと苦労した。まさか島牧村で旅館が満杯になるなんて考えていなかった。最終的に手配できたのは島牧のちはせ川温泉という旅館だった。ウニやアワビなど、美味しい海鮮料理と温泉を売りにしている旅館だ。
ちょうどこの週末、道南虫の会の数名の会員の人たちが留寿都方面でオオイチモンジを狙いに行くという。函館に転勤してきて見ることが出来なくなったオオイチモンジ。道東にいた頃は毎年オオイチモンジに会いに行っていた大好きな蝶だ。
これは自分も参加したいし、留寿都でオオイチモンジを観察してから島牧に行けば距離もそんなに遠くないなと思い、まずは自分たちも留寿都に行き、その後島牧に行くという計画にした。
土曜日の朝、函館を出発し、留寿都に向かった。最初は一般道を走ればいいなと思っていたが、思いのほか前の車が遅かったり、混んでいたりしたので落部あたりから高速に乗り留寿都に向かった。
留寿都に到着したが、教えてもらっていたポイントがどこにあるかわからない。前日から本多さんと乗り込んでいる前田さんに電話をかけ、ポイント近くのガソリンスタンドのところに迎えに来てもらい林道に入った。
オオイチモンジがいるという林道には片山さんも来ていた。今日はまだオオイチモンジを目撃もしていないという。
だが、ポイントの近くに咲いている花には多数のヒョウモンが吸蜜に来ていた。今年は蝶の数が少ないなと感じていたのだが、これだけたくさんのヒョウモンが吸蜜に来ている姿を見て嬉しくなった。
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メスグロヒョウモン♂とギンボシヒョウモン |
このポイントは北海道のオオイチモンジ生息地としては多分最西端に近い場所だと思う。これまで道東で多数のオオイチモンジポイントを見てきたが、生息地としては道東と随分雰囲気が違う。これまで何度も一緒にオオイチモンジを見に行っている妻も、「オオイチモンジがいる感じには思えない」と言うような事を言っていた。
でも、昨日、先週とここでオオイチモンジが確認されたり採集されたりしているようだし、食樹であるヤマナラシもある。なんとか1頭でもオオイチモンジが見たいと思った。 |
オオイチモンジ生息地付近 |
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ひとりでオオイチモンジを探す妻の後姿 |
前田さん達が言うにはオオイチモンジが見られるのはお昼前後らしい。道東でオオイチモンジを捜し歩いた時には早朝から夕方まで観察することが出来ていたので、見られる時間が限られているというのはちょっと驚きだった。
自分たちはこれから島牧に行かなければならないので、お昼位までここにいることは出来ない。しばらく待ったがオオイチモンジは現れない。そうこうしているうちに虫の会の志村さんも登場し、色々お話をしながら時間を過ごしたり、自分と妻は少し違う場所まで歩いてオオイチモンジ探しをしたが、結局オオイチモンジの姿は見られなかった。
だけど、メスグロヒョウモンの♂の写真をこれまでまともに撮影していなかったかもしれないと思い、たくさん撮影することが出来て、これはこれで嬉しかった。 |
メスグロヒョウモン♂ |
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羊蹄山(蝦夷富士) |
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羊蹄山山頂付近はまだ雪が少し残っている |
ヤマかサトかどっちかちょっとはっきりしないが、キマダラヒカゲが前田さんになついて何度も腕などに止まっていた。「昨日、酒を飲み過ぎて酒臭いから、それを吸いに来てるんじゃないの?」と言ったら、「そうかもな」と前田さんは言っていた。「サトキマダラヒカゲのような気がするな」とも言っていた。 |
前田さんの腕にとまるキマダラヒカゲ。口吻を伸ばして何か吸っているようだ |
「じゃ、そろそろ私は島牧に向かいます」と言うと、前田さんは「もしメスがいたら採卵したいので生きたまま採集してきてほしい」と言った。そしてもし採集できた時のために本多さんが蝶を入れるフィルムケースを3つくれた。志村さんは「フジミドリシジミを撮影しに行くなんてチャレンジャーですね!」と言っていた。
確かにチャレンジャーだなと自分でも思っていたが、もし撮影できなくても今回は妻が美味しい海鮮料理を食べて満足してくれれば目的の30パーセントは達成したと同じなので、まぁ撮影できなくてもしょうがないし、そう簡単にもいかないだろうなと。
出発前、対馬先生は「撮影できる可能性は12〜13%だな」と言っていた。
1割と言うとこで10%と言うならまだしも、なんで12〜13%と、そんなに細かく%を言うのか可笑しかったが、自分的にもその位(1割くらい)かなと思っていた。
留寿都から出発する前、最後に花に来ていたたくさんのヒョウモンを撮影した。 |
たくさんのヒョウモン達 |
さてそれでは島牧村に向かいますか!と思ったが、どう行けばいいかわからないのでナビをセット。すると、到着まで3時間・・・。
えっ!?3時間!!?どんだけ遠いのよ!
距離は90km以上とナビに出ていた。90km!??
自分は留寿都から島牧までせいぜい1時間以内で行けるもんだと思っていた。
「そんなに遠いの!?」と言うと妻が「そうだよ」と言った。
「そんなに遠いと思ってなかった!」と言うと、妻は「けっこう遠いのにどうしてもオオイチモンジを見たかったんだなと思ってた」と言った。
ガーン、妻は大体距離わかっていたのね。知らなかったのは自分だけ。これはちょっと誤算だった。でもまぁいいや。お昼ご飯を食べて島牧までドライブした。
島牧に到着してまずは掲示板で教えてもらったポイントに向かった。フジミドリシジミ撮影の本戦は明日の早朝。今日はとりあえず場所の確認。もし今フジミドリシジミを撮影できれば最高なんだけど。
フジミドリシジミのポイントはピンポイントで教えてもらっていた。ある林道の橋の直前の左側とか言う感じで。海沿いの道からその林道に入り、言われたポイントまで向かう事にした。凄い自然あふれるような景色でびっくりしたが、蝶の姿は全くと言っていいほど見られない。今年は蝶の数が少ないと思っていたが、ここも例外ではないのか・・。
言われたポイントに到着するものの、フジミドリシジミのはもちろん、他の蝶も飛んでいない。ただ静かな森が広がるだけ。 |
セキレイ |
付近を歩いてみたが、ヒメウラナミジャノメ少々、コキマダラセセリ少々位しか目に入ってこない。ミドリシジミ類も全く見られない。こりゃ、厳しい戦いになりそうだなと感じた。 |
コキマダラセセリ |
今日の所はポイントの確認だけできればいい。旅館とポイントを車で何分かかるかとか、そういう事を調べて明日の早朝の準備だ。
ポイントを離れ、有名なガロウの滝に向かった。その途中にチハセ川温泉もある。
ガロウの滝近辺を少し散策した。ドラゴンウォーターだかという看板があったので向かってみることにした。車を止めて少しだけ歩く。
ドラゴンウォーターって何だ??と思ったが、どうやら、川があって、その脇の地面から天然の炭酸水がわき出ているようだ。どこから湧き出ているのかな?と思ったら、コップのようなものが置いてあったので、すぐに分かった。凄く少ないチョロチョロとした湧水だったが、コップに湧水をすくって口の中に入れると確かにシュワッと炭酸のような舌触りがあった。ただし、味は錆くさいというか、全く美味しい感じは無かった。それにしても感心したのは、本当に少ない湧水で、こんな所にチョロチョロ炭酸水が湧いているのを誰か知らないけどよく発見したもんだという事。
妻はここでバランスを崩し、片足をどっぷり川に入れてしまい、ビショビショになっていた。笑った。 |
ドラゴンウォーター |
ガロウの滝に行くには1500m位歩かなければならないという事で、疲れるからやめた。だけど展望台があるというのでそちらを見に行くことにした。駐車場のような場所から歩いて行くのだが、途中、吊り橋があったりした。思ったよりも距離があったが、せいぜい400mかそれ以下位かな?夕方になってきていたので疲れていたが、歩いて更に疲れた。そして展望台について滝を見てもっと疲れた。ほとんど見えないじゃん!
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展望台から見えたガロウの滝 |
この辺りもフジミドリシジミの幼虫が食べるというブナが広がる森のようだ。だけど、良く考えたらどの木がブナなのか、よくわからない・・・。
「これがブナなんじゃない?」と思って一応撮影。後でipadで調べてみよう。 |
ブナの木かもと思って撮影した葉っぱ |
ガロウの滝を後にして旅館に入った。チェックイン。部屋に通された。8畳の和室。今日はけっこう暑い一日だったが、クーラは付いていない。(扇風機はあった)
窓を開ければいいかと思ったら、「夜は窓を閉めてください。蚊がたくさん入ってきます」だって。網戸をしていても蚊が入ってくるらしい。
テレビは付いているが10型位でかなり小さい。冷蔵庫は付いておらず、買ってきた飲み物をお願いして冷やしてもらった。
温泉に入ろうと思ったら、備え付けのバスタオルも無かった。布団も自分で敷くんだって。
あと、廊下が柔らかくて、自分が歩いたら底が抜けるんじゃないかと思うほど。
田舎でやっている旅館なんてそんなもんだよなと思った。
温泉は鉄の錆びたような、谷地頭温泉に近い感じ。狭い。でもお客さんがそんなにいなかったので最初は貸切状態だった。
露天風呂は一人ではいればちょうどよい広さ。ゆっくり浸かって疲れをいやしていたら他のお客さんが露天風呂に入ってきた。狭い・・・。しょうがないなと思って露天風呂から出た。
夕食は豪華だった。アワビづくし。ウニも2つ。焼き魚、天ぷらなど。妻は大喜びだった。自分は特に海の幸がそんなに好きではないから感動もしなかったけど、今回自分は美味しい食事を楽しみに来たのではないから特に問題なし。冷やしてもらっていた飲み物を夕食時に出してもらって飲んだ。普通の旅館とかなら夕食時のドリンクは別料金になると思うから、そういう点がゆるい感じで良かった。
旅館は山の中にあり、近くのコンビニまで10km位あると思う。暗くなったら外には街灯が2つあるだけで真っ暗。これはクワガタが寄ってくるなと思ったんだけど、外に出ると何もいなかった。クワガタ採り用の虫入れを持って来ていたのだが残念。
旅館の外観や食事など写真を撮ろうかどうしようか悩んだが、疲れていたので撮らなかった。
ポイントの最終確認をしようかと思い井本さんに電話しようとしたら、携帯電話(ドコモ)は圏外であった。連絡が取れない。だけどipad(ソフトバンク)の電波はしっかりとつながっていた。
何もすることが無いのでさっさと寝て明日の早朝に備えた。
次回へ続く
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