何種類の蝶に会えるか
2015.7.24
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昨日は植物園の標本教室用にモンキチョウなどの採集に出かけ、12種類くらいの蝶を観察した。そこで今日は昨日の倍の数、24種類の蝶を見つけることを目標に活動することにした。道南地方には100種位の蝶が生息していると考えられているので、24種と言えばざっと4分の1である。
もちろん、道南に生息しているからと言って、時期的に見るのが不可能であると考えられる種もいる。例えばスギタニルリシジミとか。
24種を目標にしていたが、個人的には30種類位いけるのではないかと思っていた。
今日の参加者は1年生のYさんとW君。N君も参加予定だったのだが昨夜風邪をひいて熱が出たと連絡が入り、残念ながら欠席。
YさんとW君と自分の3人でまずは鉄山の林道に向かった。どんな種類でもいいからたくさんの蝶を見つけたい。だけど、私の思いとしてはオオミスジを採集したいという理由で鉄山を選んだ。
天気が良く、朝から気温が高いが、8時くらいだと林道がまだ山の影になっている部分が多かった。それでもスジグロシロチョウをはじめ、一般的な蝶はそれなりに飛んでいた。
とにかく網で採集させて種類の確認。今日の1種類目、2種類目という具合にどんどん数が増えていく予定だったが、思いのほか種類が増えなかった。そんな中、トンボなども採集して観察した。 |
胸の色が綺麗なトンボ |
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青っぽいトンボ。背景はYさんの顔 |
樹上をコムラサキらしき蝶が飛んでいたので採集にチャレンジ。しかし惜しいところで逃げられた。多分コムラサキなんだけど100%の自信が持てなかったので、今回は観察の種類には入れられなかった。 |
採集にチャレンジする部員。Yさんはよく帽子を飛ばす |
部員がオニヤンマを捕まえた。 |
オニヤンマ |
何故だかわからないが、トンボを捕まえるとどうしても眼のアップを採りたくなる。複眼が綺麗だ。 |
オニヤンマの目のアップ |
お腹がパンパンのサトキマダラヒカゲも観察することが出来た。
「お腹パンパンだよ、卵いっぱい入ってるね」と言って指でお腹をツンツンしてみたらYさんに「セクハラだ」と言われた。まさか蝶のお腹を触ってセクハラと言われるとは思わなかった。今のご時世、何でもかんでもセクハラだ・・・。 |
お腹がパンパンのサトキマダラヒカゲ |
個人的に目標としていたオオミスジは2頭確認することが出来た。最初に確認した方はピカピカではなかったけど採集した。2番目に見つけたオオミスジは右の後翅が欠けていた。そのほかの部分はけっこう綺麗だったので欠けてる部分がとても残念だった。 |
オオミスジ |
12.13種位の蝶を確認することが出来た。近くできちんと目撃して確認できた種(コキマダラセセリとか)は網に入れず、それ以外のやつは一度捕獲してから種類を確認して逃がした。クジャクチョウなど、明日の植物園の標本づくり講座に使えそうなクジャクチョウも飛んでいたが、数は少なく1頭位しか採集できなかった。
次に向かったのは汐首方面のポイント。ここでどれだけ確認種を増やすことが出来るだろうか。個人的に狙っていたのはゴマシジミ、ミヤマカラスシジミだ。
車を止め、テクテク歩きながら蝶の観察をしていると、ジャノメチョウを見つけた。今年初のジャノメチョウだ。ジャノメチョウを見つけると、本格的な夏が来たことを感じる。今日も暑いし、函館も完全に夏真っ盛りになっているんだなと感じた。 |
ジャノメチョウ(手乗り) |
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コキマダラセセリ |
ゴマシジミは残念ながら確認することが出来なかった。可能性は高いと思っていたのでちょっと残念。もう一つのミヤマカラスシジミだが、きっと道路脇の花に吸蜜に来ていると思っていたが全く見られなかった。なので、食樹近くまで道路から入り込んでみると、多数のミヤマカラスシジミが花の蜜を吸っている光景が目に入ってきた。
たくさんいるぞ!と部員を呼んで、「俺用にちょっと採集して!」と頼んだ。自分は網を持って歩かなかったので。
すると部員はまた昨日と同じように、何頭ものミヤマカラスシジミを網の中に入れる。
「違う違う!一頭ずつ処理して!!そうでないと網の中で暴れて羽が痛んじゃうから!」と言った。 |
ミヤマカラスシジミ(背景は部員達) |
ミヤマカラスシジミは局地的な生息範囲で、北海道では道南でしか見られず、かなり珍しいという事を部員達は知らない。見た目は地味で綺麗さもあまり感じられず、いるのがわかってて連れてきたけど簡単に確認できたし、部員達は道南のミヤマカラスシジミの貴重さをわかっていないようだった・・・。
それこそ見たいと思って適当に山を歩いても見られる種類ではない。この前挑戦したフジミドリシジミなんかよりよっぽど難しいんじゃないかな?でもいるところにはたくさんいる感じだった。きちんと確認しなかったが、オスは少し前から発生している感じ。メスはこれからかな??
今日はルリシジミがたくさん見られた。メスは大きいので一瞬ゴマシジミかと間違った。綺麗なメスがマメ科植物に産卵しているようだったので、卵を撮影したかったのだが自分の見ている前ではなかなか産んでくれなかった。 |
ルリシジミ |
カバイロシジミの綺麗なのも観察することが出来た。今日は♀ばかりだったのだが、カバイロシジミを見つけると最近は本州のSさん夫妻を思い出す。
2013年5月26日に帯広で蝶の撮影を案内したご夫婦の事だ。詳しくはその時の活動記録を見てもらえればいいのだが、Sさん夫妻はその後何度も北海道を訪れて北海道特産種や北海道の綺麗な蝶の撮影をされている。
そんなSさん夫妻、何故かこのカバイロシジミだけはまだ撮影できていないという。
カバイロシジミと言えば北海道どこにでもいる印象。いることはいるけど数が少ない。クサフジと言う草原っぽいところならどこにでも生えているような植物を幼虫は食べるのだが、何故か数が少なめ。少ないからと言って見るのが難しいかと言えばそうでもなく、この時期なら2,3回草原に行けば1回くらいは見られる気がする。
ミヤマカラスシジミのように極めて局地的な分布であっても、生息地に行けばそれなりの数を見られる種類もいれば、どこにでもいるけどそんなに数が多くない種もいるというわけで、本州などから撮影に来られれば局地的な分布でも私のように地元の人にポイントを聞いて訪れれば大抵撮影できるだろうが、逆にカバイロシジミのような生態の場合、数多く足を運ぶことの方が重要な感じの種類は運もあるから大変なんだろう。
実際、昨日北斗市の水無の草原でたくさんのモンキチョウなどを採集したところでは、いかにもカバイロシジミがいそうな雰囲気であったが、見つけることが出来なかった。
今日は何度も見ることが出来た。 |
カバイロシジミ
羽の縁の毛(白く見える)がとても綺麗なので
羽化からそう日数がたっていないと思われる |
カバイロシジミはオスとメスで色が違う。オスは簡単に言えば水色。メスは黒っぽい。
なので羽を開いてくれればオスとメスの見分けは簡単だ。 |
ちょっと羽を開いたところ |
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卵を産んでいるらしいカバイロシジミ
今日はメスばかり目撃 |
カバイロシジミは発生がダラダラしているような気がする。羽化の時期が集中しないようなかんじ。なので、同じ日でもボロボロのやつもいればピカピカのやつもいる。
その他にもいくつかの種類を確認することが出来、戸井方面に移動することにした。
戸井方面の林道ではそんなに多くの蝶が確認できなかった。当初の思いとしてはヒョウモン類、ミドリシジミ類で5,6種は確認できるかな?と思っていたのだが、結果としてはヒョウモン類は汐首のナミヒョウモンのみでミドリシジミ類では下の画像の1種のみだった。しかも下の画像のミドリシジミ類、帰ってから図鑑で調べたけど種類がよくわからなかった。
ただのミドリシジミかジョウザンシジミあたりかな?と思ったが、まぁ今日は○○ミドリシジミという事で。 |
ミドリシジミ類 |
ここではキバネセセリを確認することが出来た。もう本当に夏である。お腹が太くて顔が可愛い。個人的にお腹が太いという所で親近感が持てる。 |
Yさんの手に止まるキバネセセリ |
暑い一日で汗だくになった。以下に今日確認できた蝶を。
キアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、エゾヒメシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、カバイロシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、ウラゴマダラシジミ、ウラミスジシジミ、○○ミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、サカハチチョウ、アカマダラ、クジャクチョウ、シータテハ、ミスジチョウ、オオミスジ、アカタテハ、イチモンジチョウ、ヒョウモンチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ジャノメチョウ、クロヒカゲ、コチャバネセセリ、コキマダラセセリ、キマダラセセリ、キバネセセリ
以上30種だった。(順序は思いついた順)
最初に30種位行けるのではないかと思っていたので、大体ビンゴであった。
多分コムラサキだなと言うのも柳の木の上で何頭か見たし、ナミヒョウモン以外の種類のわからないヒョウモンも数頭見た。ヒョウモンに関してはYさんかW君が採集に失敗したのが確認できなかった原因。
目標は24種類だったから達成することが出来た。蝶の数(種類)が一番多い時期であるが、1年生部員のYさんもW君もしっかり経験値を増やせたと思う。頑張って活動する部員達のためにいろんなところに連れて行ったりできるのは正直言って嬉しい。N君は風邪で残念だったが。
なにせ、去年の今日は部員達に「ミヤマカラスシジミの調査に行こう」と言ったら、「僕たちは今日は部員達でカラオケに行くので山には行きません」とか言われてガッカリした記憶があるから。
なんだ、君たちの昆虫への興味や関心、部活動への取り組みの意識はカラオケ以下なのかと。カラオケなんか昆虫がいなくなる冬に行けばいいのに、何でこんな1年の中でも最高の時期に山に行かずカラオケよ!と悲しい気持ちになって一人で調査に出かけたのを思い出した。まぁ高校生なら遊びたいのも分からなくはないけど、例えばそんなこと言う野球部員なんていないわけで。
部活への取り組みがそんなもんならわざわざどっかに連れて行く気にもならないけど、今年の新入部員達は特に知識も経験もあったわけではないが入部してから一生懸命頑張っているなと感じる。
この部活への取り組みの意識を持続し、今後標本づくりなどにも興味を持ってくれれば卒業後も昆虫を趣味としていってくれるような、すなわち自分はそういう生徒を育てたいわけなので、期待している。
明日は熱帯植物園で小学生を対象とした蝶の標本づくり教室である。自分も初めて参加するが、さてどうなることやら。
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