植物園の昆虫標本教室
2015.7.25


 昨年も行った函館市熱帯植物園の「蝶の標本づくり教室」が今年も開催された。自分は初めての参加だが、標本づくりの講師をすることになった。

 小学生が夏休みに入って最初の土曜日に開催するという事で今年も実施されたが、今回で何回目になるのだろう?元々は道南虫の会の安井さんが依頼されて始まったものが、生物部でも協力するという事になって現在に至っているらしいが、去年転勤してきた自分にはその辺のことがよくわからない。

 蝶の標本を作るためには蝶を採集し、展翅板に貼り付け、針を使って翅の形を整える。大変なのは蝶を採集してくることと展翅板の作成だ。

 蝶の採集については前の活動記録を見てもらえばわかると思うが、展翅板の作成は生物部員、顧問、安井さんみんなで木を切ったり貼り付けたりしながら手作りした。

 今年は部員も多いので展翅板の作成や蝶の採集などでそれほど苦労は無かったが、この先、部員が少なくなることもあるだろうから、そういう時には大変だなと感じた。

 今回募集したのは小学4年生〜6年生という事で、15名の定員だったが、実際には小学3年生もいたし、人数は13名位だった。

 自分は1年生部員(YさんとW君)を連れて植物園に行ったが、思いのほかスムーズに進み、かなり早く到着した。しょうがないので裏の海で時間つぶしをした。

カモメ達


風をあびるYさん

 ほどなくして2年生部員達も到着。2年生部員は去年経験している。

2年生部員

 時間がまだあったので、砂浜かけっこ競争をした。

かけっこする部長(左)とW君

 N君は先日から体調を崩しているのだが、無理をして参加してくれた。だけどちょっとまだ元気がない感じなので、今日は椅子に座って見学してもらう事にした。来年活躍してほしい。

 対馬先生や安井さんも到着し、時間が近づいてきた。熱帯植物園に入り、標本教室の準備に取り掛かった。今年から出来上がった標本をきちんと保管するための簡易的な安い標本箱も買っておき、必要ならほぼ原価で購入してもらおうという事で準備しておいた。


準備をしているところ
手前の机に簡易的な標本箱が見える

 小学生たちも集合し、いよいよ標本づくり教室の始まりである。まずは安井さんが蝶の基礎的な知識について資料を使って説明した。

 学校の先生でもないのに穏やかに説明している安井さん。思ったより説明が上手だった。

安井さんが蝶の基礎知識を説明

 受講している小学生たちを見てみると、真剣に聞いている子もいれば、ポカンと口を開けてあさっての方向を見ている子もいる。小学生たちにどのような言葉を使い、どのように説明すれば集中して聞いてもらえるかはなかなか難しいところだ。難しい単語を使ってはいけないし、まじめな話ばかりでは飽きてしまう。

説明する安井さんとそれを聞く小学生たち

 安井さんの説明が終わり、自分が説明する番になった。実際に蝶を捕まえる時にどうやるのか、採集した後どうするのか、どんな道具を使うのかなどの説明から始めた。
 スプリングネットを広げた時、縮めた時に子供たちは「あれ??」ってな顔をしていた。やっぱり口で言うより実際に見せた方が食いつきがいい。

 

ネットの説明をしている私

 子供たちの前には最初から展翅の道具と採集してあった蝶が置かれているのだが、

 「この蝶は昨日とか一昨日に採集したものなので、まだ死にたてホヤホヤです」と言った時に、保護者がうけていた。
 長い日数放置すると固まってしまい標本にしづらくなるという説明の時に言った一言だ。小学生たちは笑っていなかったように感じた。

説明する私と聞く小学生たち

 比較的時間を多くとっていたので、標本づくりは蝶を三角紙から取り出す所からみんなで一緒に行った。一つの作業に関して、全員終了してから次の作業の説明をする感じで。

 思うようにできない子は部員達がサポートする。

手伝うJ君

 黒板を用意してもらっていたので、翅の形をどうするかなど、図に描いて説明した。

黒板を使い説明

 作業がとても早い子もいれば、なかなか説明の理解に苦しむ子もいたが、なんとか全員1頭の蝶を展翅板にくっつけて翅の成型ができたので、2頭目は1から自分でやってみるように促した。

 蝶の展翅は慣れればそんなに難しいとは思わないが、慣れるまでは大変だと思う。翅の形を綺麗に、左右対称に展翅するのはある程度技術が必要だと思うが、覚えの早い小学生たちなので、意外としっかりできていた。

 今回サポート係りとして活躍した部員達も、実は大して展翅をしたことが無い。実際、山で蝶を採集するだけではただの遊びと変わらないわけで、きちんと採集日や採集地のデータを残し、展翅をして標本を残す事は自然環境を知るうえでとても重要なことだと思うので、これからどんどん自分たちで標本を作れるようになって欲しい。

 自分が高校生で生物部に入った年、1年生だった私たちに対馬先生はカラの標本箱を1つずつ渡し「この標本箱を1年間でいっぱいにしろ」という指令を与えた。
 私は一生懸命採集し、採集した蝶を自分で殺し、展翅をし、標本箱をいっぱいにして提出した事をかなり鮮明に覚えている。提出しに行った時に対馬先生は職員室にいなかったので、対馬先生の机の上に置いて帰った。夜に対馬先生から電話が来て「よく頑張った」と褒められた。

 自分で標本を作るという事は1頭1頭の蝶と対峙するわけで、嫌でも蝶の観察になる。翅の形、色、模様、それぞれ様々であるが、似ていて区別が付きにくいものも多い。そういうものも標本を作りながら観察することによって色々勉強にもなると思う。

 今日参加した小学生たちは、是非そこら辺の原っぱで自分で蝶を採集して種類を調べたり観察したり標本を作ったりしながら蝶と親しんでもらえたらなぁ〜と思う。
 昆虫が怖かったりする親もかなり多い中、今回のようなイベントに参加させてくれた保護者の方には感謝の気持ちもあるし、是非子供たちと一緒に網を持って採集したりもしてほしいなぁと感じた。
 夏休み最初の土曜日に展翅すれば、自由研究として2学期に何とか間に合うと思う。
 今日作った標本を持ち帰り、2学期が始まる前に展翅板から外したらどっかで蝶を採集してまた展翅にチャレンジしてもらいたい。

 また来年も夏休み最初の土曜日に開催予定である。

 最後にみんなで記念撮影して解散した。

終わった後みんなで記念撮影