展翅練習
2015.9.5

 本日は1年生部員が参加し、函館山にアサギマダラや迷蝶探し、そしてその後私の自宅で蝶の展翅の練習をすることになった。展翅の練習がしたいというのは1年生部員達の希望で、自分としては部員が自分で主体的にやりたいことを言うのはとてもいいことだと思った。対馬先生は松前方面の調査をすることになったので別行動。自分としては今日の活動のメインは展翅の練習と言う風に思っていた。

 1年生部員が集合し、みんなで函館山に向かった。途中、ベイエリアの東浜桟橋付近で多数の消防車やパトカー、救急車が来ているのを見つけ、野次馬根性で見に行った。どうやら何か事件か事故があったようで、青いビニールシートで現場を覆っていた。テレビカメラも来ていたので、ニュースか新聞で真相がわかるかなと思ったが、その後の新聞には出ていなかったようだ。(記事を見つけられなかっただけかも)一体何があったんだろう?

ビニールシートで覆われている


消防車や救急車


一度現場を通り過ぎてからUターンしてもう一度確認。でも何があったのかは不明

 気を取り直して函館山に向かった。頂上より少し手前の駐車場に車を止めて尾根を歩きながら蝶を探すがこれと言った蝶は全然見つからなかった。スジグロシロチョウやミドリヒョウモン、アカタテハ位。

函館山の尾根から見えた駒ケ岳(1131m)


蝶を探しながら歩く1年生部員


尾根から見えた函館市街地。夜景も綺麗だけど昼間も綺麗

 尾根をしばらく歩いて千畳敷という場所に着いた。着くまでにハイキングか登山をしている人たちとかなりすれ違った。挨拶すると「蝶を探しているんですか?」と何度か聞かれた。「ハイ」と答えると、「アサギマダラとか?」と2,3組の方たちに言われた。けっこう気にしてくれている人が多いんだなと思い、少し驚いた。

千畳敷で蝶を探すYさん


上磯のセメント工場も見えた

 特に面白い蝶も見られなかったので引き返し、途中、1898年〜1902年の4年間で函館山に造られた函館要塞(その後津軽要塞に改称)跡の見学も行った。
 津軽海峡の安全航行と、敵の襲来に対する防御や攻撃のために造られた函館要塞だが、日露戦争や第2次世界大戦では何の活躍も出来ず、特に第2次世界大戦では青函連絡船が壊滅的な被害を受けた。設備が古く敵の襲来に太刀打ちできなかったそうだ。

函館要塞跡

 先日NHKのブラタモリでも函館要塞が取り上げられており、砲台間で通話するために開けられた穴もあった。

通話用の穴。向こうとこっちで通話する。J君と通話してみたが、声がこもったような感じで聞こえた


砲台跡。丸く草むらのようになっている所に当時は砲台があった

 駐車場に戻り、山を下りた。この後、展翅練習用の蝶を探しに行くことになっていたのだが、電車通りを通っているとハイカラ号とすれ違った。

 ハイカラ号は1900年代初め、成田鉄道から購入した車両だ。除雪用のササラ電車として使われていたのだが、保存状態が良かったため、当時の姿を復元して走らせている。観光客にも人気の電車だ。
 函館の電車は1897年に馬車鉄道から始まっており、その後現在の北電が馬車鉄道を買い取り電車を走らせたという歴史があり、北海道遺産にも登録されている。

ハイカラ号

 練習用の蝶をどこで採集しようかなと思ったが、自宅から近い四季の杜公園に向かった。去年、エルタテハを複数頭目撃したので、タテハチョウ科の蝶が採れるかなと思って。でも、蝶の姿はほとんどなかった。

四季の杜公園から函館山を望む。さっきはあそこの尾根を歩いた(頂上から左側)

 ろくな蝶がいなかったので仕方なく未来大学の広場みたい所に行った。ここは毎日対馬先生と自転車で来る場所で、モンキチョウがたくさんいることがわかっていたので。
 ここで部員達に自分が展翅するための蝶を採集させた。それぞれモンキチョウなどを数頭ずつ採集した。

 その蝶を三角紙に入れ、私の自宅に来た。すぐに展翅の練習をしたかったのだが、蝶がまだ生きている状態だったので私の部屋の冷蔵庫の冷凍室に入れ1時間20分ほど待った。その間はちょっとグダグダ過ごした。

 1時間20分ほどして冷凍庫から蝶を取りだして展翅開始。だが、しっかりと凍っていなかった蝶もあり、まだ少し動いていた。だけど、時間もないし強引に展翅を始めた。

展翅の練習をはじめる部員達

 学校でゆっくり展翅の練習をする部屋(部の活動場所)が無いのが現在の生物部の弱点である。展翅すれば、それが固まるまで保管しなければならないし、標本箱を保管する場所も必要。採集後蝶を凍らせるための冷凍庫だってもちろんないから、今回は私の自宅で展翅練習をすることになったが、今後もそうなる可能性が高いと思う。
 自分の部屋を少し広めに作って良かったと思った。

真剣に展翅する部員達

 部員達はこれまでほとんど展翅をしたことが無いので、なかなか苦戦していた。綺麗にバランスよく展翅するのは慣れるまで大変だと思う。慣れれば1頭当たり1,2分程度で出来ると思うが、今日はそういうわけにはいかない。「これでどうですか?」と部員が私に確認を求め、「もうちょっと上の羽をあげた方がいいよ」とか「下げた方がいいよ」とか、「左右の翅が対称になってないよ」などと言いながら手直しさせた。

悪戦苦闘する部員達

 上手に出来なくても一生懸命頑張っている部員達を見て、けっこう嬉しかった。
 先日千葉のSさんから送ってもらった標本箱を部員達にあげる約束をしていたので、来年は一人2箱位蝶の標本を作ってほしいなと思った。それで興味が湧いて、卒業しても蝶の趣味を持ち続けたいと思ってくれたら、その時は自分で新品の標本箱を買えばいい。

モンキチョウを展翅するW君。4人の中では一番几帳面にやっていたように思う。
何故かマチ針の色を揃えたいと言っていた

 函館山に行き、四季の杜公園に行き、未来大学に行き、自宅に戻って1時間半ほど待ち、展翅練習。けっこう時間が経っていて、終わったのは3時くらいだっただろうか。
 今年はもう新しく羽化する蝶も少ないと思うので、本格的な展翅の練習は来年からとしても、今度は対馬先生指導の下、軟化展翅の練習をしたいと思う。これが出来るようになったら展翅板や展翅テープ等も部員に渡し、標本箱と共に持ち帰らせてそれぞれの自宅で標本づくりをしてもらいたいと思っている。