ウラナミシジミの卵探し
2015.9.9


 函館近郊も秋の雰囲気が漂いだし、主だった蝶の時期も終わりに近づいてきた。これからの時期は迷蝶探しやアサギマダラという事になるのだが、先日私と妻がはこだてグルメサーカスに行っている時に、対馬先生と道南虫の会の安井さんは、函館市内のポイントで迷蝶であるウラナミシジミを複数確認、採集に成功していた。なんと6年ぶりの確認だという。

 「もしかして、今年はいろんな場所でウラナミシジミが見られるかもしれないね」などと話し、今度の週末はウラナミシジミ探しでもしようかと打ち合わせをしていたところ、対馬先生に情報が入った。
 どうやら対馬先生の知り合いの人が、ウラナミシジミの撮影に成功したらしい。しかもその時ウラナミシジミは産卵していたという。

 その情報が入り、昨日の夜、対馬先生から電話が来た。

 「明日、ウラナミシジミの卵探しに行こう」と言うのだ。でも明日は普通の水曜日。仕事がある。でも対馬先生は、「朝早く行こう」という。

 「何時?」と聞くと、「5時半に迎えに行く」と。

 え〜5時半!?これは眠いから嫌だなぁ〜、しかも平日だし。と、思ったが、今日の午後位からしばらく雨の予報なので、週末までに探しに行くにはこれが最後のチャンスになりそうだ。

 と、いう事で、5時半に対馬先生が迎えに来てくれて、ウラナミシジミの卵探しに行くことにした。

 ウラナミシジミは高校生の時、同じ生物部員だった上ノ国の同級生宅に遊びに行った時に偶然採集したことがある。当時、採集した蝶がウラナミシジミだとはわからず、図鑑で調べて初めてウラナミシジミだとわかった。顧問だった対馬先生に「ウラナミシジミ採りました」と言うと、「うそだ!」と言われた記憶がある。

 展翅したウラナミシジミを対馬先生に見せると、「ほんとだ〜!」と驚いていたことを覚えている。

 北海道ではウラナミシジミは見られる年と見られない年があるようで、この蝶が越冬できるのは冬でも暖かい房総半島南部などで、普通北海道では見ることが出来ないが、飛翔力が強く、時々北海道までやってくるのだ。

 5時に目覚ましをセットし、その目覚ましで起きて、卵探しに行くために準備。しかし、準備を終えると居間でまた寝てしまった。

 対馬先生の車のクラクションで目が覚めて、慌てて外に出た。

 ウラナミシジミが卵を産んでいたという場所までは自宅からそう遠くないのですぐに到着。安井さんも来ていた。

 まずはウラナミシジミの食草であるハギの花探し。時々通る道沿いなのだが、注目して探してみると意外なほど多くのハギが咲いていた。

ハギ

 安井さんは既に到着しており、まずは3人で卵探しをしてみた。でもなかなか見つけられず、対馬先生は一人で違う場所のハギを見に行った。

 自分と安井さんも違う場所に移動して卵探しをしたが見つからない。その時安井さんに電話が来た。対馬先生から、卵を見つけたという報告だった。
 そこで、自分と安井さんも対馬先生のいる辺りへ向かい、また3人で卵探しをした。

 昨夜、インターネットでウラナミシジミの卵がどんなものか調べていたのだが、それでもなかなか見つけることが出来ない。

ハギを見る安井さん


対馬先生

 ウラナミシジミは花に卵を産み、幼虫はその花を食べるらしい。なので、花を中心に探すと、何やら白いものが付いていた。これはウラナミシジミの卵かもしれないと思ったが、とにかく小さくてよくわからない。
 デジカメのスーパーマクロで撮影してみると、それは卵の抜け殻であった。これはウラナミシジミの卵の抜け殻なんだろうか?

卵の抜け殻

 近くにはもうひとつ白いものがあって、これも撮影してみたが、やはり抜け殻のようだった。

卵の抜け殻

 卵から孵化したウラナミシジミの幼虫は、花の中に入り込むらしく、その時花に穴をあけるらしい。小さな卵は見つけづらいが、花に開いた穴なら少しは見つけやすいかと思い、穴探しをすることにした。
 すると、なにやら幼虫がいた。

幼虫

 「幼虫がいたよ」と安井さんと対馬先生に報告した。「どら?」と言われ見せると、「お、これはウラナミシジミの幼虫かもしれないぞ」ということになった。

 だけどこの時点で、この幼虫が本当にウラナミシジミのものなのかどうかわからない。もしかして、ただのルリシジミの幼虫かも?と思いつつ、とりあえず持ち帰ることにした。

 対馬先生は数個の卵らしきものを採集し、自分は何かの幼虫を採集し、一旦帰宅することにした。安井さんはもう少しこの場で捜索をすると言う。

 安井さんと別れ、自宅に戻り、朝食を食べてから幼虫を持って職場に行った。そして図鑑などと見比べてみると、どうやらこの幼虫はウラナミシジミのものである可能性が高いという結論になった。ルリシジミとかの幼虫は緑色なのに対し、ウラナミシジミの幼虫はピンクっぽい色であることから判断した。

ウラナミシジミの幼虫かも

 観察していると花を食べているようだったので、動画でも撮影してみた。

 
花を食べるウラナミシジミの幼虫(動画)

 また、対馬先生が採集したウラナミシジミのものかもしれない卵もスーパーマクロで撮影した。

ウラナミシジミのものかもしれない卵

 この幼虫と卵は、飼育してみることになった。果たして本当にウラナミシジミの成虫になるだろうか。楽しみである。

 今日は10時くらいから予報どおり雨になった。これから2,3日雨予報なので、雨が上がったら部員達を引き連れて卵か幼虫探しに出かけたい。たくさん採れると面白いんだけど。

 最初、朝早いのは嫌だったけど、捜索に出かけてよかった。