はこだて検定上級合格者のつどい
2016.2.26

 日本各地にあるご当地検定。函館にも存在しており、今日はそのはこだて検定の上級合格者の集いがロワジールホテルで行われた。

 昨年の上級合格者の集いについても活動記録で報告したが、はこだて検定について、その内容をおさらい的に書いておく。

 はこだて検定とは正式名称「函館歴史文化観光検定」という。

 初級と上級があり、それぞれ問題が違う。初級は全て4択で100点満点のうち70点で合格。上級は4択と筆記問題の両方があり、80点で合格だ。そして、難易度が高く、なかなか合格しないというのもひとつの特徴である。
 (ちなみに今回の試験は1年生部員も全員初級に挑戦したが全滅)

 初級はこれまで10回開催され、合格者が1500人位いるらしいが、上級は今回で9回目の試験で(昨年の11月に試験)、トータルで合格者はたった78人である。

 上級に合格すれば、色々な特典がある。例えば同伴者がいればという条件付きで函館山のロープウェイや五稜郭タワーのエレベーター代など、函館の色々な観光地の入場料が無料になる。(合格者のみ)

 合格すると、合格カードみたいのがもらえるが、何度でも受験することが出来る。上級合格者の中には2度、3度と複数回合格している人も多い。
 合格した後にまた受験し、落ちたとしても、合格者としての権利と言うか、合格者であるという事を剥奪されるわけではない。

 自分は第9回の試験で初めてはこだて検定を受け、見事上級に合格した。しかし、今回の試験では落ちてしまった。先ほども書いたが、一度合格すれば、その後落ちても剥奪はされない。

 この試験は私が函館に転勤してきた年に、ほとんど無理矢理対馬先生に受験させられたようなものだった。かなり勉強して合格し、今回も2回目の合格をするべく猛勉強した。合格した時よりかなり知識も付いていて、自信もあったが落ちてしまい残念だった。

 道南虫の会の安井さんは第8回から受験していて、私と一緒に受けた第9回でギリギリの点数で落ちてしまった。だけど今回は見事に合格した。
 なので、対馬先生と安井さんと私の3人で今日のはこだて検定合格者の集いに出席することとなった。

 会は5時半からだったので、私は仕事終わりに直接向かったが、その前に講演会があったので、対馬先生は休みを取り、安井さんと講演会を聞いてからの参加となっており、会場で合流する予定であった。

 職場から真っ直ぐロワジールホテルに向かう。案内板にははこだて検定合格者の集いの場所を知らせる液晶の掲示板があった。
 

合格者の集いの場所を知らせている液晶の掲示板

 去年の合格者のつどいの時は、初めての出席だったのでとても嬉しい気持ちでこの掲示板を見たなぁ〜と思い出したが、今年は落ちちゃったのでちょっと複雑。一瞬「落ちたの恥ずかしいから帰っちゃおうかな」と思ったけど、トンズラしたら怒られそうなので4階の会場に向かった。

 会場に到着すると安井さんと対馬先生は既に来ていた。

対馬先生と安井さん

 今回初めて参加する安井さん。ご本人は「行きたくねーなー」などと言っていたのだが、やっぱり顔は嬉しそうに見えた。それだけ簡単な試験ではないので、合格すれば自信になる。そして、合格するためにどれだけ勉強したか、みんな大変な勉強をして合格していることを知っているので、それぞれの合格者たちに敬意を持っているというか尊敬の気持ちも持っているし、同じ勉強をしてきたという事で仲間意識も持つことが出来る。

 5時半になり、主催者である商工会議所の方の挨拶でつどいの会が始まった。

商工会議所の方の挨拶

 1か月後に新幹線が開業し、多くの観光客が訪れることも予想されるし、今日はたまたま開業日の切符の販売日と重なっており、一番列車は25秒とか30秒で売り切れたらしい。

 商工会議所の方の挨拶のあと、何人かの方が色々な報告をしてくれた。

上級合格者の会の北條さんからの挨拶

 はこだて検定には上級合格者の会というのがある。これは上級合格者の中の有志で作られていて、受験案内やアドバイス、函館七福神めぐりをはじめとした観光の主催など、色々な活動をしている。主に仕事をリタイヤされている方たちで活動しているので、自分は参加していないが、去年は私も七福神めぐりの手伝いなどもした。

 この上級合格者の会の方たちは多分、自分は上級に合格したという誇りを持って活動していると思う。他のご当地検定にはあまり見られない活動だと思う。
 多くのご当地検定は受験者の減少などにより、3回くらいの開催で無くなってしまっているらしい。はこだて検定だって当然受験者がいなくなれば消滅してしまうだろうけど、こういう方たちの活動の甲斐もあり、ある程度の受験者数を確保できている。
 また、上級試験は難易度が高いので、こういう難易度の高い試験をパスしているという、自分たちは函館のエキスパートなんだという自負も活動の活性化に役立っていると思う。
 もし上級試験の難易度が低ければ、これだけの自負や誇りを持って活動する気にはならないと思う。なので、今後の上級試験も是非難易度の高い問題を出し続けていってほしいと個人的に思っている。
 難易度の低い検定試験になってしまえば自分自身「オレ、上級持ってるんだよ!」って自慢にならないし。

 北條さんの後にも何人かの方の挨拶などもあって、乾杯して宴会が始まった。
 去年は会費が2000円だったのに、今年は2500円になっていた。だけど、ほとんど飲み放題食べ放題的な感じになる。年配の人が多く、あまり食べないのだ。だから、運ばれてきた料理はあまり食べない。ここは自分の天下になる。ここぞとばかりに食べまくった。

 少しして、今年初めて上級試験に合格した人達の挨拶があった。前回は自分もこの場に立って偉そうに色々喋ったけど、今年は安井さんが喋る番だ。

今年初めて合格した人達

 お一人ずつ挨拶をしていく。印象に残った話としては、76歳で初めて上級試験を受けて一発合格したという方や、見た目自分より若そうな女性がいて、「上級に合格したらかっこいいなと思って受けた」と言っていた人、それから函館の食品会社である布目という会社では、上級に合格したら10万円支給されると言うので頑張って勉強して受けて合格したという人もいた。
 会社がはこだて検定を奨励して合格したら10万円くれるなんて、なんて素晴らしいんだろう!とびっくりした。観光に携わる会社ではなく食品会社である。上級に合格したからと言って会社が得するわけでもないと思うが、こういう事を奨励してくれる会社はきっと素晴らしい会社なんだろうなと感じた。
 函館の他の会社でも追随してくれればいいなと。

 最後は安井さんの挨拶。対馬先生と台湾に行った時に色々勉強したことが問題に出て運よく合格したというようなエピソードを嬉しそうに話していた。

話す安井さん

 宴会は大体1時間半位。5時半に始まって7時頃終了した。食べまくったのにかなり料理が余っていて持って帰りたかった。

 この後、自分は家に帰ろうかどうしようか迷っていた。職場から直接車で来たから。

 去年の合格者の集いのあとには対馬先生と二人で五稜郭に繰り出し、スナック2軒に行った。
 今回は自分は落ちた事もありそんなに嬉しくも無かったんだけど、近くにいた石塚さんと言う方が、是非この後五稜郭で合流したいという事を言っていたので、迷った挙句、行く事にした。

 石塚さんと言う方は横浜の人で、函館に住んでいたことは無いらしい。先祖が松前藩と関わりがあるらしく、そういう関係ではこだて検定を受けて、これまで9回の上級試験を受けて6回も合格しているというエキスパート。更に横浜で函館の観光大使を務めているという、なかなか筋金入りの人だ。しかも明日は講演会をやるらしい。

 石塚さんは一旦他の人達と行動し、あとから合流したいという事だったので、対馬先生と安井さんと私でまずは五稜郭の店に行った。
 このスナックは最近よく利用しているが、去年の合格者の会の後に初めて来た店である。安井さんは来るのは初めて。先に3人で来たので、「石塚さんは何で自分たちと合流したいと言っていたんだろう?」などと話しながら、石塚さんが来るのを待っていた。

2次会にて

 少しして石塚さんから連絡が来て、五稜郭の店の名前などを教えて、石塚さんが来るのを待った。20分くらいして石塚さんがやってきた。

 去年の合格者の会でお会いしているものの、対馬先生も自分も”知り合い”と呼べる感じではなかったし、安井さんはもちろん石塚さんと初対面だ。

 で、「何で自分たちと飲みたいと思ったんですか?」って聞いてみた。そしたら、去年の合格者の会の様子を報告した私のホームページを見てくれて、面白そうだと思ってもらったらしい。それで「あいつら今年も2次会行くんなら、面白そうだから自分も一緒に」という事を思ったようだ。

 自分のホームページはあくまでも主体は蝶の事であり、はこだて検定の話題など、蝶と関係のない内容は少ない。だけど、インターネットで「はこだて検定 上級」などと検索すると、どうも私のホームページが引っかかるらしい。そういう感じで私のホームページを見てくれたみたい。

 はっきり言ってしまえは「知らない人」に近い石塚さんだが、はこだて検定という共通の話題が出来るので、すぐに打ち解けて色々お話をすることが出来た。安井さんともすぐに仲良しになってた。

 それにしても話す内容が松前のお寺の話など、マニアックすぎる。ただ、安井さんの先祖の墓も松前にあるらしく、二人で盛り上がっていた。

石塚さんと安井さん

 1か月くらい前にも対馬先生と二人でこのスナックに来た。その時に二人でカラオケを歌って点数の勝負をしてみた。その時は対馬先生が69点、私が70点。1点差で私が勝った。なので、私は対馬先生に相撲とカラオケでは勝てるという事がわかった。
 石塚さんが来る前に安井さんが吉幾三の「酒よ」を歌って85点を出していた。完全に負けた。
 そこで石塚さんも歌った。ちょっと古い歌で何の歌だったか忘れたけど、88点とかを出していた。対馬先生と私は歌ってみる気が無くなった。点数が違い過ぎ。
 対馬先生とはまた今度二人で来た時に勝負してみたい。

歌う石塚さん

 その後、もう一軒行くことになった。
 ここも去年の合格者のつどいの後に対馬先生と二人で来た店。
 スナックの女の子が2人位いたが、どちらも函館出身で、はこだて検定の話をしたらけっこう食いついてくれた。「受けてみたーい!」とか。

 ホントかよ?と思ったけど、石塚さんが色々な問題を女の子に出していた。はっきり言って勉強しなければわからない問題が多いが、面白おかしく楽しい感じで問題を出していたのでさすがと思った。

 あと、上級合格者はエキスパートとか函館の博士とか言われることもあるんだけど、上級合格者の中でも色々なレベルがある。自分なんかは函館に戻ってきて2年弱。上級に合格したとはいえ、テキストの内容以上のことはほとんど知らない。函館について勉強し始めたのもつい最近。
 その点、長年勉強している人たちはテキスト以外の知識なんかも凄くて、安井さん、石塚さん、対馬先生が色々話している函館の話に全く入っていけない事もあった。この3人、さすがだわ。

2軒目のスナックで函館の話で盛り上がる3人

 そんな感じで楽しく過ごし、今日の合格者のつどいは終了となった。自分は車だったのでもちろん酒は飲まず、安井さんと対馬先生を送ってから帰宅した。石塚さんは飲み足りないようで、もう少しどっかに行くとか言っていた。明日の講演会は大丈夫だろうか?

 また来年合格者のつどいがあると思うのでまた参加したいと思う。ほぼ無理矢理「受けれー受けれー」と言われ、もうしょうがなーなと思い勉強を始めたはこだて検定だが、運よく初めて受けて上級にまで合格し、いろんな人と知り合えたことは凄く良かったと思う。
 あとはこの上級合格というものを自分がタダでロープウェイに乗れるとかいう使い方だけではなく、何かこの知識を使って貢献できることがあればと思う。どうしても何かしたくてたまらないという感じではないけど。

 今後もはこだて検定が末永く続いて行ってほしいと強く思っているが、もっともっと知名度を上げていく必要もあると思う。実際「はこだて検定って知ってる?」と聞くと、知らないとか、聞いた事はあるけど・・・。という返答もまだまだ多い。自分自身、函館に戻って来るまで知らなかったし、対馬先生から強く勧められなければ受けることも無かったと思う。受験して合格したとしても、「だから何なの?」とか、「何かいいことあるの?」とか言われても、「函館の事に詳しくなれる・・・」位にしか答えられないかも。でも、函館の事に詳しくなれると自分が住んでいる函館が違ったふうに見えることも確か。凄い魅力的な街に自分は住んでいるんだなぁと感じ、函館で育ったこと、函館に住んでいることが嬉しいし誇りに思える。

 函館に最初の人の痕跡があるのは2万5千年前位からだそうだ。縄文時代早期には定住の跡があり、和人が北海道に渡ってきてからの記録があり、北前船の交易で栄えた道南地方。黒船が来た時には下田と共にいち早く開港した函館港。大政奉還により起こった戊辰戦争最後の戦いの地でもあるし、西洋の文化を取り入れた和洋折衷の建造物もたくさん残っている。とても魅力のある街であることは疑いが無いが、少子高齢化や人口の都市への集中などもあり、現在は人口減少が激しい。3月26日には新幹線が新函館北斗駅までやってくるが、この魅力ある函館にたくさんの人が住んで今後も素晴らしい街として発展していってほしい。そんな魅力のある函館や道南地方の事を知り、自分たちが住んでいる函館ってどんな所なんだろう?という事を知るにははこだて検定の勉強が一番だと思う。