初蝶とギョウジャニンニク
2016.4.5


 今日は春休みの真っ只中だったが、天候がよく気温もまずまずだったので、今年初めての蝶を探す事と、ギョウジャニンニクがそろそろ出ているか観察するため、今年から部長になったYさんと対馬先生と、南茅部方面に行くことになった。

 12時ころに出発し、南茅部にある小板林道に向かった。

 小板林道というのは正式な名称ではなく、この林道の入り口付近に小板さんという、10年くらい前に生物部員だった人の実家があるため、我々が勝手に名付けている林道名である。

 生物部員だった小板さんは現在就職してここにはおらず、小板さんのおばあちゃんが暮らしている。おばあちゃんに挨拶をして林道に歩いて入って行く。

 ちょうど沢のような地形になっており、小さな川が流れているので、長靴が必要である。前回Yさんは穴の開いた長靴だったのだが、新しいのを買ってもらったようで、今日からNEWの長靴だ。

Yさんが買った新しい長靴

 小板さんのうちの近くには、この辺の山の一部を持っているおじいさんがいて、3月20日の活動の時には倒木をチェーンソーを使い切り倒している所で出会い、少しお話をしたので、挨拶をしようと、対馬先生がおじいさんの家に向かった。お爺さんは「林道の奥の方に行けばギョウジャニンニクがたくさんあるよ」と教えてくれた。

おじいさんに挨拶に行く対馬先生

 風が少しあるけど暖かい感じで、林道を少し歩いたところで今年初となる蝶を目撃した。タテハだという事はわかったが、自分は最初種類がわからなかった。対馬先生は「クジャクチョウだ」と言ったので、地面に止まった所を撮影してみたらクジャクチョウであった。初蝶を目撃できたという事で、ようやく春と言う実感がわいてきた。

初蝶は越冬明けのクジャクチョウ

 個人的には先週の土曜日に有珠山で種類はわからなかったが越冬のタテハを2頭目撃している。でも道南(渡島桧山地方)では初蝶ということで、嬉しかった。

蝶やギョウジャニンニクを探す対馬先生とYさん

 カタクリやキクサギイチゲという春の花を見ることもでき、更に春らしい感じがしてきたと同時に、これらの花が咲いているという事は、ギョウジャニンニクもいい感じで生えているなと予想できた。

カタクリ


キクサギイチゲ

 林道をある程度進むと道路脇にギョウジャニンニクが生えているのが見えた。だけど、この道の奥の方がたくさんあるので、ここはスルーして更に林道を進んで行った。

 去年も来ているのでなんとなくポイントはわかっている。奥の方まで進むと、たくさんのギョウジャニンニクが生えていたのだが、道路脇の斜面を少し登らないと良さそうなギョウジャニンニクは採れない。簡単に採れそうな場所には細いギョウジャニンニクしか生えてない感じ。

斜面を登ってギョウジャニンニクを探すYさん


Yさんと対馬先生

 斜面は落ち葉で覆われていて、滑りやすい。ズルズルと滑り落ちるならまだしも、滑り落ちた先が崖になっていたりしたら危ないので、そういう場所では採らない事が大事であるが、そういう所に限って良いギョウジャニンニクがたくさん生えている。

斜面に苦戦する私(Yさん撮影)

 対馬先生は部員達にハンターと呼ばれているが、その名をいかんなく発揮し、大量のギョウジャニンニクを採っていた。自分は高いところも怖いし、斜面を歩いたり登ったりするのも苦手だし、カメラ撮影もしていたので、片手で握れるくらいしか採れなかった。また、斜面を登ったり降りたり、あとは高いところが怖くて汗をかいた。Yさんに「先生、若干シャワーを浴びた後のようになってますよ」と言われた。もう汗だくになって、その汗に風があたると冷たい。

 川を挟んで反対側の斜面にもたくさんのギョウジャニンニクがあるのを対馬先生が見つけ、私とYさんを呼んだ。かなりたくさんあるというので期待したのだが、斜面が急すぎて登れる自信もないし、怖いので諦めた。対馬先生は斜面のギョウジャニンニクを採りながら、更に上に進み、崖のような斜面をクリアして更にその奥にあるというギョウジャニンニクを採りに行ってしまった。

反対側の崖でギョウジャニンニクを探す対馬先生とYさん

 対馬先生が上の方に行って見えなくなったので、私とYさんは少しずつ沢を戻って行った。二人で戻る途中にも程よいギョウジャニンニクがある程度生えている場所が何カ所かあったが、やっぱり手が届かない。

 テクテク歩いて戻って行ったが、対馬先生は一向に戻ってこない。Yさんはちょっと心配していた。

 少し待っていたら、袋にギョウジャニンニクを満杯に入れて対馬先生が戻ってきた。私とYさんの袋を見て笑っていた。「そんなべっちょしか採れなかったのか!」という感じで。

 で、「しょうがねぇなぁ〜」的な感じで私とYさんにギョウジャニンニクを分けてくれた。

倒木をくぐって進むYさん


2週間前よりかなり成長していた


成果(自分の+対馬先生に分けてもらった分)

 林道を戻り、成果をおじいさんに報告。
 「また来年来ます」って対馬先生が言ったら、「そんなこと言わず、いつでも来てくれ」と優しい言葉をかけてもらった。

 小板さんのおばあちゃんにも挨拶。おばあちゃんはこの林道の奥まではほとんど行ったことが無いと言っていた。

太いギョウジャニンニク

 小板さんのおばあちゃんと話をしている中で、この辺りは昭和40年代に初めてコンブの養殖に成功した地域であり、海に浮かんで見えるウキは、その養殖をしている場所であるという事を教えてもらったので、ちょっと写真でも撮ろうと思い海岸に向かった。
 カメラのズーム機能が3倍程度なのでウキはうまく撮影できなかったが、なかなか逃げないカモメがいた。

逃げないカモメ

 ウキの撮影は諦め、カモメと少し遊び、ふと目を横にやると海岸線が面白い景色になっていた。

 多分コンブ採りの船を出し入れする用に作られているんだろうなという事がわかったが、こういう感じの海岸を見たことが無かったので新鮮だった。

コンブ採りの船を出すスロープ

 海の水もとても綺麗に見えて、釣りをしたくなった。対馬先生のクルーザーをここまで引っ張ってきて、ここから出航したらけっこうたくさん魚が釣れるんじゃないかなと思った。勝手に使ったら怒られそうだけど。

 海の方から反対側を見ると、Yさん、対馬先生、小板さんのおばあちゃんが何やら楽しそうに話していた。

 自分がギョウジャニンニクを入れていた袋が少し破けて臭いがしそうだったので、小板さんのおばあちゃんから袋をもらって2重にした。

左からYさん、対馬先生、小板さんのおばあちゃん

 南茅部の海岸線は何とも独特な感じがする場所で、海岸通りの道は狭いんだけどゆっくり車を走らせてドライブするにもなかなか良い場所だと思う。少し上にはバイパスも走っているから、そっちを使った方が移動は早いんだけど、海岸線の国道の方が趣があって好きだ。
 海があり、海からすぐの場所に山があり、急峻な地形で山の栄養が直に海に注ぐ。
 この栄養分で昆布や海産物が育ち、南茅部のコンブは品質がいい。海の幸、山の幸が豊富で、縄文人がこの地域に古くから定住していたのも頷けるような気がした。
 
 今日は春の花、ギョウジャニンニク、そして今年初めての蝶を見ることが出来た。前回の活動では「春はまだだな」と思っていたけど、今日は「春が来たな」って感じることが出来た。車のタイヤもそろそろ夏タイヤに交換したくなってきた。