函館山でのアサギマダラ探しと水無
2016.5.21


 5月も後半を迎えた今日、そろそろ北海道にアサギマダラが渡ってきているのではないかと言う話になり、今日はアサギマダラが渡ってくるのを期待して函館山に捜索に行くことにした。今日の参加部員は3年生のMさん、2年生の部長Yさん、副部長のN君、1年生は4名全員参加だ。

 アサギマダラは本州から渡って来るので、函館山の南側に行くことにした。自分が到着した時には対馬先生とN君、1年生部員のうち、男子3名は既に到着していた。

函館山の南側の海辺から私たちを呼ぶ対馬先生と部員達

 二手に分かれて捜索することになった。飛んでいる蝶としてはモンキチョウがたくさんいたが、その他はあまり見られなかった。
 自分はMさん、N君、W君と一緒に捜索したが、アサギマダラは見られなかった。岩場には海鳥がいて、天気も良く気温もちょうどいい。とても気持ちよく捜索できた。岩場では海苔を採っていると思われるおじさんがいた。

海鳥


副部長N君


1年生部員W君


Mさん

 岩場を歩き、特に何も見られなかったので、記念撮影をして戻ることにした。

ちょっとした洞穴で記念撮影


アップ

 遠くには知内の火力発電所が見えた。最近は雨も降っていなかったのだが、今日は何故か視界がクリアだ。

知内の火力発電所

 対馬先生グループと合流し、今度は少し上の方に上がってみることにした。函館山に1898〜1902年の間に設置された要塞跡を通りながら山道を登った。

要塞脇を通る対馬先生

 ここでもアサギマダラは見られなかったが、キマダラヒカゲを見ることが出来た。今年初である。

 目的のアサギマダラが見られないので、また記念撮影をした。部長のYさんは蝶採りに夢中。

記念撮影

 函館山は植物の宝庫である。今日もたくさんの花が私たちを迎えてくれていた。

 一度降りてから今度は違うルートで登ることになった。対馬先生とMさん、N君、T君、K君、Yさん(1年生)は対馬先生と外国人墓地の方へ、私とYさん、W君、T君は千畳敷へ行き、そこからふれあいセンターまで降りて対馬先生グループと合流する予定。

 登り始めてすぐに疲れた。部員達は体力が余っているのか、さっさと登って行ってしまった。登ることに専念してきっと付近の自然を観察していないだろうなと感じた。これじゃぁもしアサギマダラがいても見逃すし、登山道脇に咲いている花の観察なんて一切していないだろう。自分たちは登山をする目的で登っているのではなく、アサギマダラを探したり周囲の自然観察をしながら登るのが目的である。
 私は登山道わきに咲いている花を見つけると立ち止まり写真撮影をしながら登って行った。名前のわからない花も多いが、たくさんの種類の花を観察した。

ヤマシャクヤク


マイヅルソウ




スミレの仲間


ニシキゴロモ


ミツバツチグリ

 花を撮影しながら登り続けたが、けっこう汗もかいた。また「風呂上りみたいになっている」と笑われるかなと思いながらしばらく歩くと部員達が休憩していた。するとW君に「はい3分遅れ!」と言われ、ちょっとカチンときた。

 「お前らは何のために山に登っているか理解していない!俺たちは登山部ではないんだからちゃんと自然観察をしながら登ったのか?どれくらい花が咲いていたか見ていたのか?」と苦言を呈した。

 この活動記録では野外活動で私が見たり感じたことを記録しているが、生物部でも野外活動をした時には部員の誰かが記録を付けるようにしている。今日は1年生のT君がその担当だったのだが、T君にも、「花の写真を1枚でも撮ったか?」と聞いた。予想通り撮っていなかった。だけどこの後からT君はしっかり花の写真を撮るようになった。ところが途中で電池切れ・・・。スマホのカメラでいいから撮影しておけと指示した。

 そんな事もありながら千畳敷まで到着した。

千畳敷の所にある巨大アンテナ

 今日はとても見通しがきく空気のようで、見晴らしが最高だった。近くにある函館山の頂上はもちろん、この近辺にある多くの山が一度に眺められる感じでとても綺麗だった。

函館山山頂と、遠くには駒ケ岳

 コンデジのパノラマ撮影で、函館山山頂から恵山までを撮影してみた。カメラで撮影すると恵山なんかはかなり小さく見えるのだが、肉眼ではけっこうはっきり見えていた。
 函館の市街地と山々を一度に眺め、とても感動した。


パノラマ撮影



 今日は絶好のハイキング日和でもあるので、たくさんの登山者がいて、すれ違うたびに「こんにちは」と挨拶をした。部員達もきちんと挨拶出来ていて偉かった。

 千畳敷からふれあいセンターに下る間にも花が咲いていて撮影しながら降りたが、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、ミヤマセセリ、ルリシジミ、サカハチなどが飛んでいて、網で採集して観察しながら歩いた。

ムラサキケマン


シラネアオイ


ミドリニリンソウ





 千畳敷に着く直前位からは対馬先生から何度も電話があり「今どこにいる?今どこにいる?」と聞かれた。
 対馬先生グル―プはもう先にふれあいセンターに到着しているようで、「あと何分で着く?」とも聞かれたが、自分はこのルートで下ってくるのが初めてだったのであと何分で着くかなんてわからない。しかも蝶が飛んでいたりすると採集して観察し1年生部員に説明したりもしているので。
 だけどだんだん落ち着かなくなってきたので、最後の方は少し急ぎめの気持ちでふれあいセンターまで戻った。

 アサギマダラの姿は見られなかったがいい運動にはなったし、たくさんの花や蝶の観察も出来たので良かった。

 ここで今日の調査は終わり解散することになったのだが、部長のYさんがまだ時間が早いので水無の林道に行きたいと言った。そこで、3年生のMさんと1年生のYさんも引き連れて水無の林道に行く事にした。対馬先生と他の部員は解散。

 生物部女子部員3名を引き連れて水無の林道に来た。ミヤマカラスアゲハが出ていてもいい時期になってきたので、特に1年生のYさんに見せてあげたかった。林道入り口付近では風が強く吹いていて意外だった。残念ながらミヤマカラスアゲハの姿は見られなかった。ただし、函館山よりはたくさんの蝶が飛んでいて、エゾスジグロシロチョウなど採集の練習や三角紙に取り込むまでの練習などが出来た。びっくりしたのはツマキチョウが多い事。
 部長のYさんは「もうツマキは飽きた」と言い出した。ちょっと待て!ツマキチョウはそんな扱いをされる蝶ではない。春にしか見られないし、あまり見られない年もある。自分としては珍しさレベル☆☆☆である。(最高は☆5つとして)

 「それなら○○チョウは☆いくつ?」などと、部長Yさんからの質問攻めにあった。☆5つの蝶を言い当てたいらしい。
 ウラナミシジミは?と聞かれ「☆5つ」と答えると喜んでいた。
 「じゃぁミヤマカラスシジミは?」と聞かれ、「☆5つ」と答えた。☆の数は自分の独断で決めて言っていたのだが、部長のYさんは去年1年間でだいぶ蝶の勉強をして道南の蝶について詳しくなってきたなと感じることが出来た。

 今日はまだ蝶の撮影をしていなかったので、水無の林道で何種類か撮影することが出来た。

エゾヒメシロチョウ


スジグロシロチョウ

 1年生部員のYさんは中学までバスケ一筋で、インドア派でもあったらしく、生物部の活動を楽しいと思ってくれているのか本当に心配である。函館で育ちながら立待岬も知らない、横津岳も知らない、駒ケ岳も知らないと言っていた。生物部に入れば自然環境の良いところ中心ではあるが、いろんな場所に行くので、これまで知らなかった地元の事などもたくさん覚えてほしい。
蝶を追いかける1年生部員のYさん

 Mさんは蝶の標本づくりはしないのだが、後輩たちの練習用にとたくさん採集してくれていた。

でっかい網を持つMさん

 水無の林道の途中にある祠みたいな所も観察に来た。拝まないと呪われるかもしれない的な事を言い出したので、「どら、拝んでいる所のやらせ写真を撮るから拝め」と言って強制的に拝ませて撮影した。

拝んでいる写真(ヤラセ)

 更に、1年生のYさんは、川の水が凄く綺麗だという事に感動していた様子だったので、1年生のYさんが入部する前に先に入部した3名の1年生部員を連れてきた湧水のポイントに行き、一緒に湧水を飲んだ。ちょうどここは川の源流になっているような所で、綺麗な川の水もここから始まっているという所を観察してもらった。

 部長のYさんは「前に来た時より緑が凄くなっていて、同じ場所とは思えない」と感想を漏らしていた。季節の移り変わりによる草木の変化を感じる感受性を身に付けているようでなんか嬉しかった。前に来たのは5月8日だから、わずか2週間の自然の変化をすごく感じたという事になる。

サカハチ

 林道を歩いている時に蝶か鳥かわからないような感じで一瞬何かが飛んだ。青っぽかった。
 以前Mさんと二人で八郎沼にトンボの観察に行った時にも青い鳥がいて、「幸せの青い鳥かも」と言ったら、Mさんは私と二人で青い鳥を見たのが嫌だったらしく微妙な顔をされたのを思い出した。(多分、私ではなく、好きな人とかと青い鳥を見たかったのだろう)
 Mさんも八郎沼の青い鳥の事を思い出したらしく、二人でちょっと思い出話になって笑った。

 成果が少なかった割には充実した活動になった気がする。