一人の活動(鉄山・汐首)
2016.6.5


 今日は部員達はテスト前という事で部活動禁止期間。対馬先生は安井さんと奥尻へアサギマダラ調査。というわけで、自分は一人での活動となった。

 ちょっと寂しい気もしたが、帯広時代はほぼ一人で山に行っていたし、たまに一人で誰にも気を使わず蝶と遊べるのもいいもんだと思った。

 最初、大安在にアサギマダラの調査に行こうかなと思っていたが、対馬先生と安井さんが奥尻に行く前に調査に行くと言うので、そっち方面ではなく反対側の鉄山、汐首方面に行こうと決めた。

 鉄山ではここ数年、必ずアサギマダラの卵が発見されている場所があるし、汐首には本州から渡ってきたアサギマダラが飛んでくるのではないかと思ったからだ。道南虫の会の掲示板には戸井でアサギマダラを採集したという報告も入っているし、何度も行った汐首だけど、この前は野生の馬がいなかったので、その確認もしたいと思った。

 家を出たのは9時頃。45分程度で鉄山の林道に到着した。車をいつもの魚道のある場所に止めてプラプラ歩きながら蝶を探したりした。今日も何種類の蝶を見れるかチャレンジしてみようと思った。

 白い蝶はあとで確認するとして、それ以外の蝶の撮影をした。最初に撮影したのはサカハチだったが、これまでもたくさん撮影しているので面白くもなんともない。

サカハチ

 つぎに目に入ってきたのはハエみたいな感じで飛んでいた蝶。もしかしてと思ったら案の定コチャバネセセリだった。自分はコチャバネセセリが見られると初夏が来たなと感じる。道南ももう春が終わったらしい。林道を歩いていると見える木々や草もかなりの緑感で、夏と言われても不思議じゃない。

今年初のコチャバネセセリ

 例年アサギマダラの卵が見られるポイントに到着した。2本のイケマが伸びていたので全部葉を裏返して確認したが、卵は見られなかった。

 その後、我々がイラクサ畑と呼んでいる場所まで歩いた後引き返した。

 車の所にはコミスジが見られた。

コミスジ

 さっきからちょっと大きめのタテハっぽい蝶が飛んでいるのだが、川の向こう側にいて種類がわからない。最初キマダラヒカゲかなと思ったけど飛び方も違うし。

 そこで、魚道を渡って向こう側に行ってみることにした。ちょっと靴がぬれるけどまぁ大丈夫だろう。

魚道

 魚道を渡ってみると、ここにもイラクサ畑が。謎のタテハはアカタテハであった。けっこう数が多い。写真にも撮ったけど網で捕まえてみた。越冬明けのアカタテハが卵を産んでいるようだった。

捕まえたアカタテハ(このあと逃がした)

 そう言えばシロチョウの確認もしていなかったなと思い、これも網で捕まえてみた。大体スジグロシロチョウだろうなとは思っていたけど、思った通りだった。コンデジのスーパーマクロで顔のアップを撮ってみた。

スジグロシロチョウの顔


メスだった(これもすぐ逃がした)

 1時間も滞在してなかった。この他、黒っぽいアゲハも1回見たけど種類の確認までは出来なかった。

 鉄山の林道は思ったよりも風が強かったし、蝶の数も思ったほど多くなかったので、汐首に向かう事にした。

 汐首は山を登らなければならないのでちょっとめんどくさかったが、山頂のあたりは草原になっていて、途中までは斜面を斜めに上りながら両脇は木が生えている。もしかしたら林の中からアサギマダラがひょっこり飛び出してくるかもしれないと思うと、ちょっと緊張しながらの登山になった。だけど、一緒に誰も来ていないので、一人で気楽に歩くことが出来た。

 鉄山の林道にいたときは南側から風が吹いているような気がしたので、この汐首でも風が強いのではないかと心配した。山を上がって行く道路が南側を向いているからだ。だけど、草原の所に出るまではほとんど風が吹いておらず、天気も最高で気持ち良かった。

本州の山

 最初に見られたのはクロヒカゲ。かなりたくさん飛んでいた。これも今年初であるが、ここは昨年クロヒカゲの最早記録が出た場所でもある。今年はもう最早記録が狙えるわけではないが、数が多いので来年以降また狙えるかもしれないなと思いながら撮影した。

クロヒカゲ


ベニシジミ

 名前は忘れたけど、帯広にいた時にこんな花がいっぱい咲いていたのを思い出し、懐かしくなった。

帯広時代によく見ていた花(似てるだけかも)


ヤマキマダラヒカゲ

 登っている最中、函館方面を撮影してみた。五稜郭タワーが見えた。

函館市街地方面

 遠くの景色から足元に目をやると、変な足跡がたくさんあった。これどう見ても馬でしょ?前回来た時にはここの野生の馬が見られなかった。体験入部のYさんがいたので是非見せてあげたかったので残念だったが、きっと今日は野生の馬が見られるのではないかと期待が膨らんだ。

馬?の足跡

 だいぶ頂上に近くなってきて木が無くなり草原のような場所に出ると、ヒメアカタテハが数頭飛んでいた。ヒメアカタテハもアサギマダラと同じく迷蝶であると考えられており、これらも本州から渡ってきた可能性が高い。だとすれば一緒にアサギマダラも飛んできているのではないかと思うとちょっとワクワクしてきた。

ヒメアカタテハ

 道を歩いていると、道路脇に可愛い子ぎつねがいた。自分に気が付いてこっちを見ている。「何?何?誰?」って言っているような気がした。少なくとも1分以上はお互いに見つめあっていた。写真も撮らせてくれたけど、子ぎつねは姿を消した。子ぎつねがいる所にはフタのついている側溝みたいのがあり、その中に入って行ったんだと思う。

子ぎつね

 モンキチョウもいた。ふだんは写真にも撮らない位なんだけど、今日は証拠写真として適当に撮影した。

モンキチョウ

 オオモンシロチョウもいた。

オオモンシロチョウ(♂)

 山頂まであとわずかと言う所で、いつも野生の馬がいる場所を見ると、1頭も馬の姿は無い。さっきの足跡は何だったんだ?と思いつつ、ここの野生の馬はどっかに行ってしまったんだろうか?とちょっとがっかり。気を取り直して山頂に行き、アサギマダラが吹き上げられていないか調査しようと気持ちを切り替えた。

 山頂に行くには最後右カーブを曲がるのだが、そのカーブを曲がっていよいよ山頂到着!という所で、いきなり馬の姿が目に入ってきた。まさに山頂と言う場所にたくさんの馬がいたのである。ちょっとびっくりしたけど、馬たちもビックリだったと思う。

山頂で馬発見!

 1頭の馬が自分に気が付いて、じーっとこっちを見ている。すぐにみんなで逃げていくのかなと思ったけど、全然逃げて行かない。野生の馬だと聞いているけど、飼われている馬のような感じ。

こっちを見ている馬

 ここからは馬を驚かさないよう、熊よけの鈴が付いているリュックをおろし、ゆっくり歩いて馬に近づいて行ってみた。茶色い馬は相変わらず自分の方をじーっと見ている。

山頂の馬たち

 仔馬も2頭いて、小さくてかわいらしい。

仔馬

 茶色い馬の方にかなり近づいて行ったが、全然逃げない。むしろ、この茶色い馬が盾になり、他の馬を逃がしているようだった。他の馬はゆっくり歩いて向こうの方に行った。

逃げない茶色い馬

 馬たちの中で一番大きいやつもこっちを見ている。襲われたら勝てそうもないし、突っ込んで来たら自分の後ろ側は崖になっているので落っこちてしまう。ちょっとビビったけど馬は優しい顔つきでこっちを見ているし、威嚇してくる気配も無いので、そのまま立ち止まって馬の写真を撮影した。

一番大きい馬。かっこいい顔しているけどこの写真を撮る直前に大量のウン子をした

 まぁ逃げない事逃げない事。

 昨年まで何度かこの場所に来た時にも馬の群れを見たが、その時は数百メートル先だった。今は数メートルって感じ。でもこの茶色い馬も含め、山頂にいた馬たちはみんなゆっくり向こうの方に行ってしまった。山頂は私一人と馬糞だらけ。

茶色い馬

 馬たちは山頂から向こうの方に行ってしまったので、どっか遠くの方に行ってしまったのかなと思い、馬が去った方に歩くと、すぐの場所で草を食べていた。仔馬なんかは寝っ転がってるし、これは相当人に慣れてそうだと感じた。普通野生の馬がここまで人に警戒心を持たないのだろうか?


 すると1頭のグレーの馬がちょっとずつ自分の方に近づいてきた。

向こうから近づいてくるグレーの馬

 ゆっくりではあったがどんどん近づいてくる。それこそ体当たりされたら自分は崖から真っ逆さまに落ちる危険がある。でも近づいてきてどうするのか見てみたい。自分は逃げようかどうしようか迷ったが、結局逃げないで様子を見ることにした。馬はどんどん近づいてくる。

近づいてくる馬

 最終的に2m位のところまでやってきた。そして立ち止まり自分を見ている。威嚇したりはしてこない。だまって自分を見ている。自分も馬の撮影をしたりしたが、脅かさないようにかなりゆっくり動いて撮影した。

2m位のところまで近づいてきたグレーの馬

 そうしているうちにグレーの馬は横を向いて草を食べたりしだした。自分が襲ってこない人間だと思ったんだろうか?

見詰め合った後、横を向いた馬

 そしてこのグレーの馬は他の仲間のいるところに走り去った。

 他の馬たちも自分の事は無視して思い思いに過ごしているように感じた。なんか平和そうで、自分も馬になって仲間に入れてほしいような気がしてきた。冬とか寒いんだろうけど。

馬の親子

 残念ながらアサギマダラは見つけることが出来なかった。山頂ではモンキチョウとキアゲハがいたくらいだった。

 馬の観察も飽きてきたので、対馬先生に電話してみた。もう奥尻島にいるという事だったが、大安在は条件が良いもののアサギマダラは見られなかったと報告を受けた。自分が汐首の山頂から電話しているという事を言うと、「一人で来たのか?」と驚いているようだった。

 山頂は少し風があり、その風が心地よく、汗も乾かしてくれたし、そろそろ下山するかと思い、山を下りた。

 少し歩いて山頂付近を見ると、馬たちはのどかに過ごしていた。

奥に見える建物がある所が山頂

 だいぶ降りたところでツバメシジミ発見。証拠程度に撮影したが、綺麗なメスだった。

ツバメシジミのメス


かなり下ってきたところ。海は穏やかだ

 久しぶりの一人での活動。アサギマダラは見られなかったが自分の思うように好き勝手に行動し、汐首の山頂では飽きるまで野生の馬の観察も出来たし楽しかった。

 見られた蝶は
 鉄山
 スジグロシロチョウ多数、サカハチ多数、コミスジ1ex、ヤマキマダラヒカゲ(目撃)、アカタテハ多数、コチャバネセセリ1ex

 汐首
 キアゲハ少々、オオモンシロチョウ1♂、スジグロシロチョウ多数、モンキチョウ多数、ツバメシジミ1♀、ベニシジミ1ex、クロヒカゲ多数、ヤマキマダラヒカゲ多数、サカハチチョウ多数(目撃)、ヒメアカタテハ少々

 あと、鉄山で種類が確定できない黒いアゲハ、多分だけどルリタテハ