数年ぶりの茂辺地の林道
2016.6.11

 本日の活動は2グループに分かれて行う事になった。対馬先生チームは鉄山方面でアサギマダラの調査、私は北斗市周辺でアサギマダラだけでなく、他の蝶の調査も行う事になった。

 私のチームに参加したのは部長のYさん、副部長のMさん、部員のW君(2年)と1年のYさん。女子部員3名、男子部員1名、顧問1名と言う感じ。

 たまには行ったことのない林道でも入ってみようかと思ってとりあえず茂辺地に向かった。2年ほど前の春、山下君とここに来た時にはゲートが閉まっていて市街地からあまり奥には行けなかったのだが、今日は東股林道の所でゲートがかかっていたが、林道には入ることが出来た。この林道は自分が高校生の時によく父に連れてきてもらった林道だし、大学時代も帰省した時にはよく来た懐かしい林道である。

 父はもう死んで10年くらいになるが、この林道に来たとたん、父と来た事を色々と思い出した。思い出したからと言って悲しくなるわけでもなかったが懐かしいなぁ〜って。だけど本当に久しぶりで、ずいぶん変わってしまっている場所もあった。

 林道をゆっくり進んでいると、林道上の水たまりにミヤマカラスアゲハがいるのを見つけ部長のYさんが追っかけて行った。採集したかどうかは忘れてしまったが、今日この林道に来た理由の一つが黒いアゲハである。高校生の頃は凄い数のミヤマカラスアゲハを見たことがあったので期待していたのだ。でも、いることはいるけど、数は少ない印象だった。

 林道を歩きながら同時にイケマも探す。部員達にも「これがイケマだよ」って教えたのだが、どうも食いつきが悪い。植物の葉っぱにはそんなに興味が無くて、やっぱり目の前で飛んでいる蝶達に興味があるようだ。

 仕方ないから自分が葉っぱを裏返して卵が無いか探したが、結局ひとつも見つけることが出来なかった。

イケマの葉っぱ

 蝶を探しながら歩いていると、カナチョロを発見した。部長のYさんが網で捕獲に成功し、少し遊んでもらったが、1年生のYさんは触ったりしたことが無いらしくビビっていた。

カナチョロ


みんなで蝶を探しながら歩く

 面白い蝶はあまりいなかったが、W君がエゾシロチョウを捕まえた。北海道特産種だけど、北海道にはたくさんいる蝶と言う印象があったが、よく思い出してみると、ここ数年そんなにたくさん見てないような気がする。

 ブラブラ歩きながらお喋りしたり蝶を追いかけて走ったり、天候が良くて部活動日和で気持ちがいい。

1年生のYさんが何か捕まえて部長のYさんと見ているところ

 今日参加した部員の中で蝶の知識が一番あるのは間違いなく部長のYさんだろう。採集してから三角ケースにしまうまでの時間がまだまだ長いが、まだ2年生だしこれからも色々勉強して後輩たちに教えて行ってもらいたい。そうやって先輩から後輩に色々教えて行ってもらわないと、顧問の自分が毎年新入部員に教えて行く事になるからめんどくさい。

 自分は少し部員達と距離を置いて歩いている時に、ツマキチョウのメスを見つけた。今年はツマキチョウがやたら多いなと思っていたのだが、メスを見るのは今年初めてのような気がする。写真に撮れるかなと思い追いかけて行ったら黄色い花に止まってくれた。チャンスと思ってカメラを構えると、何故かスジグロシロチョウもやってきた。

 喧嘩するのかな?それともスジグロシロチョウはツマキチョウのメスをスジグロシロチョウのメスだと間違って求愛に来たのかな?と思って観察していると、スジグロシロチョウはツマキチョウに喧嘩を売ったり求愛することは無く、仲良く並んで蜜を吸っていた。

ツマキチョウの♀とスジグロシロチョウの♂

 じゃ、そろそろ恒例の記念撮影でもしますか。と思い部員達を並べようと思ったら、地面にクワガタのメスが死んでいた。潰されて死んでいたので写真は出さないが、もうクワガタが出てくる季節なんだなぁと感じた。

記念撮影

 この東股林道は、ある程度までは川沿いの林道で面白いんだけど、途中から登りになって川と離れあまり蝶が見られなくなる。そのギリギリの所まで行って引き返す事にした。山を削って岩を採りだしている場所があって、時々大きなダンプが通る。そのダンプのおじさんに「何捕まえてるの?」と言われたので「チョウチョ」と答えたら笑われた・・・。

 もうちょっとゆっくりしてイケマを探したりしてもいいかなと思ったが、部員も少し飽きてきた感があったので、次はいつもの水無林道に向かう事にした。
 水無の林道では林道上に湧水が流れているところがあり、ここにミヤマカラスアゲハが集団吸水してないかなと思って期待した。
 結果的に言うと、1頭だけ吸水していたが、残念ながら集団吸水は見られなかった。

林道の水で吸水しているトラフシジミ

 水無の林道ではいつも橋がある所まで歩く。1km弱だと思うが、今日はその橋の所に到着したら、川にテレビみたいのが捨ててあるのが見えた。せっかく自然の美しさを感じながら歩いているのに、こういう不法投棄はやめてもらいたい。

捨ててあったテレビ

 

何か採集して股で網の棒を挟み三角紙に入れている部長

 副部長のMさんはもう3年生だが、チョウよりトンボが好きらしい。好きだからと言って詳しいわけではないが、部員の誰かが翅の茶色いカワトンボらしきのを捕まえたら、凄く嬉しそうにしていた。「種類がわからないから帰ってから調べてメールします」と言っていたが、帰った後に「ミヤマカワトンボ」とメールが来た。ちょっとした生態もメールに書かれていた。

ミヤマカワトンボをつかむMさん。トンボよりも指の綺麗さに目が行ってしまう

 お尻の所が綺麗に輝いていたのでスーパーマクロでチャレンジしたが、目で見た方が輝いているように感じ、なかなかうまく撮影することが出来なかった。

緑に輝くお腹?ここの部分、なんていうの?

 ついでに顔もアップで撮ってみた。両目がくっついていないのが特徴なのかな?

頭アップ。可愛くはない

 Mさんが1年生の時にオニヤンマを採集して胸に付けてアクセサリーみたいな感じで写真を撮ったのを思い出し、「覚えてるか?」と聞いたら「覚えてる」と言うので、今日はこのトンボで写真撮ろう!という事でMさんだけ一人記念写真を撮った。

Mさんとカワトンボ


ちょっとアップ

 最初に水無の林道を橋の方に進んでいた時に、1年生のYさんがカラスアゲハを捕まえたのだがボロだったので逃がした。帰る時にまたYさんがカラスアゲハを捕まえたのだが、翅のボロ具合が似ているのでどうやら同じ個体のようだ。採集してもしょうがないので逃がそうと思い、ちょっと悪戯でYさんに投げつけてみたら、肩のあたりに止まったので、これも写真に撮った。

1年生部員Yさんに止まるカラスアゲハ♂

 特別成果は無い調査になったが、個人的には亡き父との思い出がたくさんある東股林道が懐かしかったし、天候もよく楽しく活動できた。部員達にとっては初めての林道だったからそれなりに楽しかったと思う。
 イケマがけっこうありそうなので、2週間くらいしてまた来たら食痕があるかもしれない。
 2年生のW君は久しぶりの活動参加で、本人は「2か月ぶり」とか言っていた。
 もうちょっと黒いアゲハも見たかったけど、北海道にいる3種の黒いアゲハを全部見ることが出来たのでよかった。