作戦失敗
2016.6.18 |
今日の部活動も対馬先生と自分は分かれて行動することになっていた。最初分かれて活動し、あとから合流する予定。
自分は1年生のYさん、2年生の部長YさんとW君で活動し、対馬先生は2年生のN君、J君、1年生のW君と活動。
私は最初、汐首に行くことにした。何故かと言うと、昨年の6月21日にここでヒョウモンチョウを採集し、最早記録になっていた。今日は18日なので、ここでヒョウモンチョウを確認出来たら3日更新という事になる。そこで、1年生部員のYさんに是非最早記録の更新をしてほしいと思っていたので、汐首に来ることにした。
汐首に着いて最初のゲートをくぐる。ここはゲートの横から通り抜けられるのだが、近くにドクガの幼虫がいてちょっと危険。そのため、部員達はゲートの下をくぐって通り抜けることにした。私は危険を顧みず、ゲートの横を通って通過した。 |
ゲートの下をくぐる2年生W君 |
昨年ここでヒョウモンチョウの最早記録を更新した時にはそれなりの数が見られていたので、3日程度更新するのは楽勝かなと思っていた。少し歩けばオレンジ色の綺麗なヒョウモンチョウが現れるだろうと。しかし、なかなかヒョウモンチョウは現れてくれない。クロヒカゲやベニシジミが少しいる程度。
おかしいなぁ〜と思っていたら2年生のW君が、「先生あれは!!?」と言った。W君が言う方に目をやると、鮮やかなオレンジ色の蝶が飛んでいた。「あれだ!」と言ったけど、すぐにどっかに行ってしまった。さらに言えば、距離が遠くてヒョウモンチョウだとは確認しきれなかった。でもあのオレンジ色はヒョウモンチョウの仲間には間違いないと確信を持った。
最初に通ったゲートから次のゲートまでは200m位だろうか。ここをプラプラ歩きながらヒョウモンチョウを探す。今日は1年生のYさんに記録更新をさせたかったので、他の部員には「見つけても採るな」と言ってあった。見つけたら大急ぎでYさんが採集する作戦。
しかしなかなかヒョウモンチョウは姿を現さない。
自分はみんなと少し離れてヒョウモンチョウを探したが、見つけることが出来ず、かわりに見つけたのはキアゲハの幼虫。 |
キアゲハ幼虫 |
食草であるエゾニュウにちょこんといたが、見つけられたのはこの1匹だけ。もっとたくさんいると思ってたんだけど。
ベニシジミの春型もそろそろボロになりつつあるが、マクロで撮影しようと何枚か写真を撮っている時に誰かに「せんせー!」と呼ばれた。
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一人で撮影していたベニシジミ |
これはヒョウモンチョウを見つけたな!と思い、急いで部員達の方に行くと、ヒョウモンチョウらしき蝶が近くの木の枝に止まっていると言う。ところがじーっと探しても見つからない。「どこらへんよ?」と聞くと、近くの木の枝の裏側に止まっているはずだと言う。
ん〜・・・どこにいるかわからない。と思った瞬間、部員達が言う場所からキマダラヒカゲが飛び出した。
「あれはヒョウモンチョウじゃない」と言うと部員達は残念がっていた。
キマダラヒカゲも確かにちょっとオレンジ色っぽいと言えばそうなんだけど、明らかにヒョウモンチョウとは色が違うし、飛び方も大きさも違う。自分は一目見て違うと分かったが、この辺の区別は部員達にはまだ難しいだろうか?1年生部員や参加率の高くない部員はしょうがないけど、部長はそろそろわかってくる頃だと思う。
その後、遂にオレンジ色の蝶を見つけたのだが、どう見ても少し大きい。少なくともヒョウモンチョウじゃないのはわかったけど1年生のYさんに採集させてみたらクモガタヒョウモンであった。
さっきW君が見つけたオレンジ色の蝶の近くだったので、あれはもしかしたらクモガタヒョウモンだったのかもしれない。
この頃対馬先生からも連絡が入り、合流することになったので、残念だがこの場所を後にすることにした。3往復位して見つけられなかった。
前回東京のMさんが来た時にいたゾウムシが綺麗だったので、それ以来ちょっとゾウムシに興味が出てきた。なので今日もゾウムシを見つけ撮影した。ゾウムシがどの位の種類いて、どれが珍しいとかそういうことはまだ全く分からない。 |
ゾウムシの仲間 |
また、花にアブみたいのがいたのでマクロで撮影してみた。コンデジのスーパーマクロの性能はなかなか凄いと思う。拡大すると複眼の一つひとつまで見ることが出来る。 |
アブ |
最後に恒例の記念撮影をした。なんかまだみんなよそよそしく、3人並べと言っても距離を置いて並ぶので、もっと近づけと言ったのだが下の画像が精一杯。肩でも組めばいいのに。 |
函館山をバックに記念撮影 |
戻る時もゲートの下をくぐって通過した。 |
ゲートをくぐる1年生Yさん |
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同じく部長のYさん |
その後、対馬先生チームと合流し、鉄山のアサギマダラの卵を観察に行った。 |
鉄山のアサギマダラの卵がある場所 |
この活動記録には出していなかったが、先々週にここでアサギマダラの卵を4つ発見していた。この場所でアサギマダラの卵が見られたのは4年連続である。何でここで4年連続アサギマダラの卵が見つかるのか、すごく不思議。北海道に飛んでくる数も限られていると思うし、イケマなんてそこらへんにたくさんある。アサギマダラが飛んできやすい地形なのか、更に卵を産みたくなるような環境なのか。
今日はこれらの卵が付いているイケマの葉っぱに袋を掛け、定期的に観察しようという事になった。自分は補習とかがあり残念ながら放課後ここに来ることは出来ない。孵化してどのように成長していくのか観察するのが楽しみだったので本当に残念。
4つある卵のうちひとつは孵化直前のようで黒くなっていた。 |
孵化直前のアサギマダラの卵 |
近くにイケマがあれば他にも卵があるかもしれないと思い、他の生き物の観察をしながらイケマを探した。
鉄が錆びたようなゾウムシの仲間と思われる虫がいたので撮影した。 |
錆びたっぽい感じのゾウムシの仲間 |
あと大きく茶色いカタツムリもいた。 |
カタツムリ |
4つの卵を見つけたすぐ横にもイケマがあり、対馬先生が調べたら卵を一つ見つけた。
「あった〜!」って嬉しそうだった。 |
アサギマダラの卵を見つけ喜ぶ対馬先生 |
更にそこから少し離れた場所のイケマで部長のYさんが2つの卵を見つけた。対馬先生は「でかした!」的な事を言って褒めていた。
見つけていた卵に袋がけをすることにした。去年も袋がけをしたがいつの間にか逃げてしまったのか、見つからなくなったので、今年は少し工夫して逃げられないようにしたという事と、アサギマダラの調査中であるという札をつけた。 |
卵が付いている葉っぱに袋がけをしたところ |
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逃げられないように袋の口を針金でクルクル巻いてある |
今日新たに見つけたものには袋がけはしなかった。
5月下旬から6月上旬ころのアサギマダラが北海道に渡ってくる時期にはあまり情報は得られなかったので、今年は少ないかもねなんて言っていたんだけど、奥尻での調査では過去最高のマーキングがされているようだし、こうやって卵も昨年以上に見つかっている。これらの卵から孵化した幼虫が育って羽化する8月、今年はたくさん見れるだろうか?
対馬先生チームとはここで解散し、私たちのチームは私の自宅で標本づくりをすることにした。
1年生部員のYさんは展翅をするのが初めてなので、部長のYさんに教えるように言った。
展翅板に展翅テープを貼る方法や、蝶によって刺す針の太さが違う事、蝶の羽をどのくらいの角度にしたらいいかなど、基本的な事はもう教えられると思っていたし、そうやって先輩から後輩に引き継いで行ってもらわないと、毎年自分が最初から教えなきゃならないのでかなりめんどくさい。
部長のYさんは1年生のYさんに丁寧に色々教えていた。 |
展翅の仕方を教える部長と初めて展翅をする1年生部員のYさん |
2年生のW君はここ最近蝶の採集をしていなかったので、展翅する蝶が無い。他の部員達のものは私の部屋の冷凍庫で保管しているから、今日1年生のYさんが展翅する蝶も、以前自分で採集したものだ。
W君は性格が几帳面なので、標本作成のための道具などを整理してもらった。 |
マチ針を色ごとに分けているW君 |
部長のYさんが色々教えたものの、やはり最初という事でなかなかうまくいかず、1年生部員のYさんが以前採集したヤマキマダラヒカゲを使って展翅を実演して見せた。
次にオオモンシロチョウを使って1年生部員のYさんが展翅に挑戦した。
初めてだから失敗してもいいからと言って作らせてみたが、思いのほか上手に出来たのでびっくりした。 |
オオモンシロチョウの展翅をするYさん |
そして初めて展翅をしたのが下の写真。 |
Yさんの展翅処女作 |
このバランスは自分的には合格点をあげられるんだけど、部長のYさんは「対馬先生は完璧主義だから厳しいよ」と言って笑っていた。
このあと、エゾスジグロシロチョウやコミスジなどの展翅も頑張り、この展翅板で5頭の蝶を展翅した。 |
1年生部員Yさんが展翅した展翅板 |
けっこう上手に出来たと思ったので、ちょっと小さめの蝶(アカマダラ、ミヤマセセリ、ルリシジミ)の展翅にも挑戦してみた。が、やはり早過ぎたのか、小さい蝶の展翅はまだうまく出来なかった。
だけどやっぱり最初にしては凄く上手に出来たので、「手先は器用な方なの?」と聞いたら「手先は器用じゃないけど、こういう作業は結構好き」と言ってた。そして「楽しく展翅することが出来た」と言っていたので、嬉しかった。
これからまだたくさん蝶も出てくるし、ミドリシジミ類などの見た目がとても綺麗な蝶などの展翅もどんどんしていってもらいたいと思う。
最後にラベルを作って今日の作業は終了した。
今日の一番の目的は1年生のYさんに最早記録(ヒョウモンチョウ)の更新をさせる事だったが、見事にその作戦は失敗した。しかし、アサギマダラの新たな卵を3つ発見したし、1年生部員のYさんが思いのほか上手に展翅出来た事は嬉しい驚きだった。
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