蝶の標本つくり教室
2016.7.23

 7月16日に部員達が採集した蝶を使い、今日は熱帯植物園で小学生対象の「蝶の標本づくり教室」が開かれた。毎年植物園から依頼されており、夏休み最初の土曜日に開催されている。

 どうしても来れない部員が2名いたので、部員7名がアシスタントとなり、虫の会の安井さんが最初10分位蝶の話をして、その後私が講師となって標本づくり教室をすることになっている。

 展翅板を自作で作ったり、針を準備したり、定員の15名分を苦労して作ってきたのだが、植物園に着いた途端園長が、「今日は5名しか来ません」だって。
 「え〜そうなんですか!?」とびっくり。去年もけっこうたくさん来てくれていたんだけどなぁ〜。

 でもそしたら今年準備した色々なものを来年に持ち越せるし、少ないなら少ないで、小学生ひとりに部員ひとりと言う感じで専属のお手伝い係りみたいにすれば、細かく標本づくりを体験してもらえるかなと思った。

準備する部員達と安井さん


安井さんと楽しそうにお話しているMさん

 準備が終わり、参加する小学生も来だしたんだけど、遅れている子もいて全部そろわないまま10時になり、園長の挨拶で標本づくり教室が始まった。

園長が部員を紹介しているところ

 最初は安井さんによる「蝶の話」10分程度。
 北海道や函館に生息している蝶の数などの話をしていた。

話す安井さん

 今回は定員15名の所、5名しか応募が無く、遅れている人もいるので席ががら空き。なので、保護者の方にも作業テーブルに座ってもらい、「もしよければ一緒に標本づくりしませんか」と言ってみたけど、「私はいいです」的な返答しかもらえず、大人はやっぱり蝶が気持ち悪かったり怖かったりするのかな?と思った。
 だけど、子供たちが興味を持っていることに対して応援してくれている親の姿を見ることが出来て、それは嬉しかった。

 例えば親が虫嫌いの場合、子供が虫に興味を持っても触らせてくれなかったり、飼ってくれなかったりする場合が多いけど、きっと子供が「やってみたい」って言って、「それなら応募してあげる」って言って予約してくれたんだと思う。この子たちが数年後高校生になった時には是非生物部に入部してほしいなと思った。

安井さんの話を聞く子ども達と親

 今回、特徴的だったのは、女の子の参加者が多かったという事。普通虫と言えば男の子と言う印象だったので少し驚いた。

去年まで千葉にいて今年函館に来たという母娘

 上の画像の親子も母と娘である。今年函館に引っ越してきたのだそうだが、去年、蝶の標本を作ってみたくて自己流でチャレンジしたけど上手に出来なくて、今年も作ってみたく参加してくれたそうだ。この女の子、「虫の事だけ書くノート」みたいのを持っていて、何か虫の事がいっぱい書かれていた。これからもずっと虫が好きなまま成長していってほしい。


説明する安井さん

 少ししたら遅れていた子が到着した。なんとまた女の子であった。お姉ちゃんと妹みたいな感じだったんだけど、実は募集したのは小学4年生以上だったかな?それ以下だとさすがに展翅は難しいかなと思って。だけど今日は参加者の数も少ないという事で、妹さんにもチャレンジしてもらう事にした。

ちょっと遅れて受付する女の子

 安井さんの説明が終わり、いよいよ自分が展翅の方法について説明する番になった。展翅板に展翅テープをくっつけるところから説明スタート!

説明開始。子どもたち6名中4名が女の子

 子供ひとりに部員一人を指名して近くに座らせ、お手伝いをさせた。小さい子供は当然なかなかうまく出来ないので、専属で付いて手伝わせる作戦はなかなかいい作戦だと思った。

小さい女の子をサポートするMさん

 更に、横浜から観光でやってきたという親子が飛び入り参加した。今日これから12時何分だかの飛行機で横浜に帰るんだけど、それまでの時間を使ってたまたま植物園に来たらしい。お兄ちゃんと弟の二人が加わり、子供たちは8名になった。

小さい手で展翅に挑戦する


待針で細かく羽を動かすのは大変そう


展翅テープと待針で羽を固定しているところ

 みんな真剣に作業していたが、やはり初めては難しい。部員達がサポートしたり、安井さんも見て回ってアドバイスしたり手伝ったりしながらなんとか標本を作っていった。

 1頭完成したら「2頭目は自分たちで最初からやってみて」と言い、自分たちで作らせようとしたが、上手に出来る子となかなかうまく出来ない子がいた。やっぱり低学年の子は苦戦して、高学年の子は上手だった。当然か・・・。

みんなで標本を作る

 

見て回る安井さん


横浜から来た飛び入り参加の子(兄)
なかなか上手に出来て、3頭目はシータテハでチャレンジしていた

 一応みんな2頭作る事が出来た。

 「これを持ち帰り、最低2週間乾燥させてから展翅板から外して完成です」と言ったのだが、後から飛び入りで参加した横浜から来ていた親子が「何に入れたらいいのか?」という話になったらしい。
 展翅の説明をする最初の時に標本箱の話などもしたのだが、その後に来たのでわからなかったようだ。
 一応、小さな紙製の標本箱も持って来ており、「欲しかったら売ります」って言っていたのだが、いくらで売ったらいいか忘れてしまっていた。
 園長先生が「せっかく横浜から来て参加してくれたんだから、安い値段で売ってあげて」というので、「それならもうプレゼントします」といい、あげることにした。
 でも横浜から来た子だけにあげるのは不公平なので、参加した全員に小さい紙製標本箱をプレゼントすることにした。みんな喜んでいたのでよかった。

 というわけで、小学生対象の蝶の標本づくり教室は無事終了した。

捕虫網を持つ女の子の姉妹(真ん中はお母さん)

 無事に終了したら、植物園の人が、「サルに餌あげて」と餌やり体験ようのパンみたいのを部員達にくれたので、片づけをした後みんなでパンをあげにいった。

パンをあげる部員達

 猿は「餌よこせ」的なジェスチャーをしたり、投げたパンをナイスキャッチしたり、なかなか面白かった。

パンをキャッチしようとする猿その1


パンをキャッチしようとする猿その2

 ここで一旦解散し、私と女子部員3名は中野ダムに向かった。今日の植物園の標本教室には対馬先生は参加しておらず、中野ダムで待ち合わせしていた。

 対馬先生と合流したあと、対馬先生は用事があり一度ダムから帰って行った「1時間くらいしたらまた来るね」って言って。
 ちょっと付近を見回ったらクサフジに綺麗なコキマダラセセリが来ていたので撮影した。

コキマダラセセリ

 女子部員達はまだお昼を食べていなかったので、ダム公園でお昼ご飯タイム。
 それにしても制服を着た女子高生が3名、変なおじさんに連れられて中野ダムに来ておにぎりを食べている。周囲の人からこの光景はどのような映っただろう・・・?

お昼タイム


エゾスジグロシロチョウ夏型

 お昼ご飯を食べ終わると部長のYさんがクサフジに来ているコキマダラセセリを手づかみしたのでアップで撮影してみた。

アップで撮影したコキマダラセセリ
目が大きくてかわいいけど、毛むくじゃら

 そしたら部員の誰かが飛んでいるクワガタを発見。なかなかどこにも止まらず苦労したが、なんとか捕まえることが出来た。ミヤマクワガタの♂だった。

ミヤマクワガタ♂

 大きさは標準的な感じだったけど、今年初めて生きているクワガタのオスを見たのでけっこう嬉しく、部員達が誰も飼育すると言わないので自分が持ち帰って飼育することにした。

こういう角度で撮るとけっこう迫力ある


飛ぼうとしたところ

 対馬先生も戻ってきて付近で蝶の観察などをしながら過ごした。コキマダラセセリは数も多く、マクロで撮って遊んだ。

コキマダラセセリ

 対馬先生と二人でいた時、地面にごそごそ動くものを見つけた。一瞬で蛇であることが分かったが、対馬先生は捕まえようとして攻撃されていた。でもそれはマムシではなくアオダイショウであることがわかったので一安心。実はアオダイショウにも毒があるということだったが、奥歯の方にあるらしい。

 対馬先生が蛇を捕まえ自分の方に投げてきたので悲鳴を上げてしまった。43歳の情けない悲鳴だ。

 更に蛇を捕まえ、女子部員達の所に持って行った。1年生のYさんはビビっていたけど、2年生の部長Yさんと3年生のMさんは大喜びだった。お前ら一体どんな女子高生なんだ!と言いたくなったけど、ヘビを投げつけられそうだったので何も言わなかった。

ヘビをつかんで喜んでいるYさん
制服の袖の所から蛇の尻尾がシュルシュル入ってきたらしく、更に喜んでいた


同じく蛇を掴んで嬉しそうなMさん


二人してアオダイショウを弄ぶ。
奥には見守る対馬先生

 さんざんヘビで遊んだあと、このヘビは逃がしてやった。
 だけどアオダイショウだとわかると何故か自分も抵抗なく触ることが出来た。これまではアオダイショウでも蛇は蛇。かなり怖かったのだが、前回乙部でアオダイショウを触ってから、少し苦手なのが無くなってきたんだと思う。今度は自分で捕まえられるかチャレンジしてみたい。

 その後もしばらくこの場所で蝶の観察などをして解散した。

 標本づくり教室が無事に終わってよかった。

コキマダラセセリ