霧雨のアサギマダラ
2016.8.21


 今日の活動は天候が微妙だったので、朝までどうするか決められなかった。台風がやって来ると言う事で、北海道全体がの天気が悪くなる予報の中、函館近辺は曇りか雨か微妙な感じだった。

 参加希望の1年W君と副部長のN君には、明日の朝に部活をやるかどうか伝えると連絡し、当日の朝に対馬先生と電話で相談した。とりあえず、青空が見えている状況だったので部活をやるという事になった。

 9時に対馬先生とN君、W君が自宅に迎えに来てくれた。今日の活動は対馬先生が先日見つけたアサギマダラがたくさんいるポイント、通称対馬ポイントでのアサギマダラ探しと決まっていた。

 向かっている最中に雨が降り出したり、雨が止んだりという状況で天候が安定しないなか対馬ポイントに到着。曇りか霧雨という状況であった。

 ところが対馬ポイントに到着したとたんに2頭のアサギマダラが飛んでいるのを私が見つけ、「いたいたいた!」と言ったのだが、他の3人はまだ網の準備も出来ていない状況だった。
 (私は網を持たず、撮影専門)

 で、この2頭はどっかに飛んで行ってしまった。

 でも、いきなり2頭飛んでいたんだから、他にもたくさんのアサギマダラがいる可能性が高い。それにしてもこんな霧雨でも飛んでいるんだなと思った。

 で、対馬先生もN君もW君も網の準備を整え、アサギマダラ探しが始まった。ヨツバヒヨドリが咲いている所にアサギマダラが止まっていないかを中心に捜索。

アサギマダラを捜索するW君

 そこには何頭かのアサギマダラがいたようだが、部員二人はことごとくアサギマダラに逃げられてしまったようだ。対馬先生が1頭か2頭捕獲しただけ。

 私は撮影専門だったので、あまりヨツバヒヨドリが咲いている所を荒らさないようにして(アサギマダラが逃げちゃうから)他の所を見ていたら、道路脇の黄色い花にアサギマダラが止まったのを見つけた。
 
 今日参加の二人はまだアサギマダラを捕獲してマーキングしたことが無いので、なんとか捕まえさせてあげたいと思い、撮影を諦めて近くにいたN君を呼んだ。

 「そこの黄色い花の所にいるから捕まえろ!」

 N君はそーっと道路脇の黄色い花の方に近寄って行ったのだが、だいぶ近寄った所でアサギマダラがフワリと飛んだ。
 N君は網を振った。

 空振り・・・・。

 それでもめげずに2振り目!・・・・空振り。

 まだまだめげずに3振り目!・・・・空振り・・・・。

 結局アサギマダラは逃げて行ってしまった。捕獲失敗。

 N君はさっきから目の前にいたアサギマダラを4頭位逃がしてしまっているらしく、対馬先生が「ヤキだな!」と言って笑っていた。

 吸蜜から飛び立ったアサギマダラなんてフワッと飛ぶから捕獲は楽勝のはずなんだけど、ドキドキするのか緊張するのか、N君もW君も、捕獲に失敗しているようだった。

 まぁそれでもこんな天気の中、ある程度のアサギマダラが見られているから、この先なんとか捕まえられるでしょと思いつつ、自分は他の蝶も含めて撮影するため、3人とは別の場所に行った。

アサギマダラを捕獲しようと場所を変える3人

 天候が曇りから霧雨位の感じで気温は20度ほど。涼しいくらいの感じだけど、それなりに蝶の姿も見られている。

ヒョウモン系

サカハチ夏型

オオチャバネセセリ

スジグロシロチョウ

 蝶の撮影をしながらアサギマダラを探したのだが見つからない。

 ヨツバヒヨドリが咲いている場所は広範囲に及んでいて、斜面の野原のようになっている場所が何カ所かあって、そこに咲いているのだが、どうもその何カ所かのヨツバヒヨドリポイントでもアサギマダラが多い場所と少ない場所があるような気がする。

 一旦みんな合流し、最初アサギマダラが多く見られた場所に戻ることにした。そしたらまたアサギマダラが何頭か戻ってきているかもしれないと思って。

 戻る途中でも数頭のアサギマダラを確認したけど、タオルを振っても寄ってこないし、少し網の届かない場所を飛んでいたりして捕獲できなかった。

 目で追うと、木の枝に止まった。

木の枝に止まったアサギマダラ

 一旦二手に分かれて捜索することにした。自分とN君は来た道を戻るような感じで道端のヨツバヒヨドリを探す。対馬先生とW君は奥のポイントを捜索。

 私とN君チームは残念ながらアサギマダラを1頭も見つけることが出来なかったが、対馬先生チームはW君が2頭捕獲して戻ってきた。

 早速マーキングして放す事にした。
 対馬先生がマーキングの仕方をW君に教えていた。

マーキングの仕方を実演する対馬先生と、見つめるW君

 マーキングして逃がしたアサギマダラが近くの葉っぱに止まったので撮影した。2,3枚撮影したところで元気に飛んで行った。

マーキングされたアサギマダラ

 次はW君がマーキングする番だ。マジックで慎重にアサギマダラの翅にマーキングしていた。

マーキングするW君

マーキングされた2頭のアサギマダラを持つW君

アサギマダラを放した瞬間

 これでW君は1年生ながらアサギマダラのマーキングを経験したことになる。部員としての経験値アップ!

 一方N君は2年生で副部長でありながらまだ自分で捕獲したアサギマダラのマーキングをしたことが無い。(部長もしたことが無いが)
 今日は最大のチャンスなのに、捕獲に失敗してばかり。
 そこで、対馬先生がマーキングして放したアサギマダラを、逃がした瞬間に網で捕まえる練習をすることにした。

対馬先生が逃がした瞬間のアサギマダラとそれを捕獲しようとしているN君
奥にいるW君は余裕の笑顔で見ている

 対馬先生がアサギマダラを放す。

 「採れ!!」

 N君が網を振るがまた空振り・・・・。

 アサギマダラが近くの草に止まった所をようやく捕獲することが出来た。

 ん〜・・・。これは網が悪いのか、N君の距離感が悪いのか。

 それでも対馬先生が「N君に採らしてやる」と言って、さっきW君が2頭捕獲した所に連れて行った。

対馬先生に「採らしてやる」と言われて連れて行かれるN君
W君も3分後くらいに追いかけて行った

 自分は一人でこの場所に残り、また蝶の撮影でもしようかなと思った。クロヒカゲかヒメキマダラヒカゲくらしか撮影できなかったけど、黒いアゲハが飛んでいるのも目撃した。きっとミヤマカラスアゲハかカラスアゲハだと思う。

クロヒカゲ

ヒメキマダラヒカゲももうボロ

 15分位してから対馬先生が戻ってきた。「N君捕獲できたぞ!」と教えてくれた。

 W君が発見したアサギマダラをN君が捕獲に成功したらしい。なにはともあれ良かった良かった。


アサギマダラを捕獲して戻ってきたN君とW君

 早速マーキングをする。N君は野外で捕獲してマーキングするのは初めてだが、幼虫を飼育し羽化させて、それにマーキングした経験はあるので、それも入れると2回目のマーキングになる。

マーキングするN君


初めて野外採集のマーキングが出来、ご満悦
(経験値アップ!)

 放したアサギマダラが花に止まったので撮影することが出来た。しかもマーキングした方と逆の翅を見せてくれたので、いかにもマーキングされていないアサギマダラのように撮影できた。

 だけど良く考えたら、このアサギマダラが本州に行った時、再捕獲してくれる人の目に留まりやすいようにするためには、両方の翅に目印を付けた方が良くないか?と感じた。

マーキングされていることがわからないN君が放したアサギマダラ

 この時点で11時くらいになっていたのだが、本格的に雨が降り出してきたので今日の活動はこれで終わることにした。
 晴れている時もアサギマダラは日陰のヨツバヒヨドリで吸蜜することが多いらしいというのは事前知識にあったので、曇っていてもけっこういるんじゃないかと最初から思っていたが、霧雨や小雨位の感じでもけっこう見られる事が確認できた。
 全部で20頭以上位いたのではないかと思うが、N君もW君も対馬先生もみんな捕獲してマーキングすることが出来て良かった。
 今日捕まえたアサギマダラには4人のイニシャルが書かれているものがある。是非本州以南で再捕獲されてほしい。