初めての場所と懐かしい場所
2016.9.3


 先週は北海道に凄い台風が来て大変だったが、部員達は期末テストで大変だった。昨日ようやく期末テストも終わったという事で、今日は久々に部活をすることになった。

 参加したのは2年生の部長Yさん、副部長N君、J君、1年生のW君の3名。対馬先生は別行動。

 この時期、もう蝶の活動は終盤を迎え、ここから新たに羽化するような種類も無いんだけど、先週の台風の影響で本州から迷蝶が来ているかもしれないと思い、まず最初は知内の小谷石という地域に行くことにした。
 実は自分は小谷石には来たことが無い。前の日に対馬先生からもらった地図を頼りに向かう事にした。

 ちょっと場所がわからなくて迷子になったが無事に到着。まずは記念撮影をした。

記念撮影

 林道自体は長くも無く、ちょっと歩いたら終点になってしまうような感じ。そして天候がイマイチ。雨は降ってないけど日も差していない。飛んでいるのはスジグロシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、クロヒカゲあたりが多く、種類はわからないがミドリシジミ類の♀を1頭目撃した位。

 台風のせいかどうかわからないが斜面で倒れている木があった。

倒れた木

 部員が散乱している鳥の羽を見つけた。何の鳥だか分からないけど、またにこういうシーンに出会う。

鳥の羽を見つめるN君


散乱している鳥の羽

 これは鳥が何か動物に捕まって食べられたという事なんだろうか?キツネに捕まったとか?よくわからないけどちょっと悲惨な現場のような気がした。


ハチ?


元小学校

 対馬先生から聞いていたのは廃校になった小学校があるという事。なので場所は間違いないと思うんだけど、林道といえるかどうかという位の短い砂利道に天候もご覧のとおりなので、なかなか迷蝶を見つける事も出来ない。
 元小学校の所にはたくさんのモンキチョウが飛んでいて、写真に撮ることが出来た。

モンキチョウ

 元小学校のグランドだったような場所の淵を歩いていると、イチモンジセセリ発見。一応これも迷蝶なので写真を撮ったが、函館近郊では珍しくもなんともないと感じる。

イチモンジセセリ


クロヒカゲ

 これと言った蝶も見つけられず次の場所に向かう事にしたが、初めて来た所だったので、それなりに新鮮だった。

 小谷石と言う場所は知内の街から火力発電所がある方に向かい、海岸沿いの道を通って行くのだが、最後は行き止まりになる。こんな所にもけっこう家が建っていたりして、初めて来た自分は少々びっくりした。
 こんなにたくさんの家の人達は何でここに住んでいるんだろう?

 海岸は岩場の感じで、ちょっと降りて見学したけど、たいしたことは無かった。

小谷石から知内の街中に向かう途中の岩場。
矢越と書いていたと思う。

 次に同じく知内の重内神社の脇から行く林道に向かった。これも対馬先生に教えてもらった場所。

 林道を歩いていると、何かサイレンのような音が鳴り、なんだなんだ?と思ったら、新幹線が通過して行った。ちょうど工事をしていたので、新幹線が来るときにサイレンが鳴っていたようだ。

新幹線のトンネル入り口(青函トンネルの入り口と言うわけではない)

 ここで多かった蝶はルリシジミとツバメシジミ。あとはさっきと同じくスジグロ系。クロヒカゲもいた。
 だけどこの林道、ちょっと歩いた先で工事をしていて、立ち入り禁止の看板があった。

 自分は立ち入り禁止になっているのは林道の脇で工事をしている部分だと思って先に進もうとしたが、部員達はその場に立ち止まり歩いてくる気配がない。
 立ち入り禁止の所に入って捕まるかもと思ったようだ。
 しょうがないからこの場所はここで諦めることにした。

 誰かがバッタを捕まえたからアップで撮影してみた。何か粉っぽいものが付いていて汚かった。

バッタのアップ

 誰かがトンボを捕まえて見せてくれたけど、自分は種類が全然わからない。今日は参加していない3年生のMさんならわかるのではないかと誰かが言っていたが、きっとわからないだろう。もし図鑑とかを見ないで種類を当てられたら相当な経験値だと思う。

トンボ

 ここの林道に来て良かったことは、コムラサキのメスを見られたことだ。はっきり言ってもうボロだったけど、コムラサキのメスの写真を撮ったのは初めてだと思う。紫に輝かないコムラサキの♀だが、写真を撮った後網で捕獲して部員達と観察した。

コムラサキ♀

 観察した後顔のアップを撮ってみた。鱗粉っぽいのや毛みたいなものに覆われているけど、目と口吻が黄色くて特徴的だ。

コムラサキ♀の顔アップ

 最後に向かったのはこれまた知内町のチリチリ林道。

 チリチリという名前が面白いらしく、部員達は大笑いしていたが、何がそんなに可笑しいのか良くわからなかった。年の差だろうか?

 この林道は自分が高校生だった頃、対馬先生に連れてきてもらったことがある。その時はウスバシロチョウがけっこういた記憶があるが、その記憶も、道の記憶ももう定かではない。本当は懐かしいと思うはずなんだけど、記憶にないので懐かしいと言うよりは初めて来た感覚。

 だけど、生物部の部員として高校生の頃にここに来た時、25年後にオッサンになった自分が生物部の顧問になって部員を引き連れてまた来るなんて考えてもいなかったわけで、ちょっと不思議な感じもした。そして林道の雰囲気もなんとなく覚えていたような覚えていないような、初めてきたけど初めてじゃないような感じの感覚。
 もしくは初めてじゃないけど初めてのような感覚?まぁよくわからないけど、みんなで歩いてみることにした。

 飛んでいるのはシロチョウが多く、スジグロシロチョウかエゾスジグロシロチョウ。この2種は見分けが難しいんだけど、自分と部長は何度も観察を繰り返し、区別がつくようになった。だけど他の部員達は見分けが付かない。

 そこで1年生のW君や2年生のJ君に採集したシロチョウを見せながら区別点について説明した。
 で、「じゃぁ、エゾスジグロシロチョウを捕まえて持って来い」と指示したら、W君なんて網で捕まえる前から「これはエゾじゃないな」なんて言って捕まえようとしないから、

「ほんとにわかってるのか?確かめるから採ってみろ」と言い、W君に捕獲させて確認したら、ちゃんと合っていた。

 そしてエゾスジグロシロチョウもちゃんと採集して持って来た。
 なかなか覚えがいいなと思ったけど、この2種の区別方法を今後も忘れないでいてほしい。

 Yさんは小さなカナチョロを捕まえて喜んでいた。

カナチョロの子供

 ミヤマカラスアゲハやカラスアゲハの♀も数頭だけ網で捕獲できたけど、お腹を見るともうパンパンではないし羽もボロボロ。卵を産み終わり、残りわずかの余生を過ごしているんだなと思い、逃がした。

 ヒョウモン類ではミドリヒョウモンが多く、たまにオオウラギンスジヒョウモンが見られる感じだった。

ミドリヒョウモン

オオウラギンスジヒョウモン

 あといたのはクジャクチョウが少々。1頭か2頭採集して展翅する事にしたが、メスグロヒョウモンの♀のような蝶を目撃した。残念ながら撮影も採集も出来なかったが、道南地方では比較的珍しい蝶だと思うので、撮影か採集して確認したかった。

でっかいカタツムリ

 雲が暑く、飛んでいる蝶の数や種類も限られる中、迷蝶はイチモンジセセリ位しか見つけられなかったが、日差しが無い分気温も高くなく、汗だくにならない活動だった。初めて来た場所と、20年以上ぶりに再訪した場所での活動だったので、とても新鮮だった。