ヒメシロチョウとカバイロシジミとミドリシジミとウラクロシジミ
2017.7.9

 昨日は一日中ヘロヘロになるまで色々な活動をした。本当は今日は天候が悪い予報だったので自宅で展翅練習3回目の予定だったのだが、朝起きたら晴れていたので急遽野外活動をする事にした。

 部員達に「野外活動をする」とメールし、自分も準備。外に出ると庭のブッドレアに変な甲虫が付いていたので撮影した。

変な甲虫

 対馬先生がやってきた。今日どうするのか等話をしていると、対馬先生はこれから東山にミドリシジミ類を観察に行くと行って去って行った。自宅の庭の花にクジャクチョウが来ていて、今年初めて今年羽化したクジャクチョウを見ることが出来た。

自宅の花に来たクジャクチョウ

 自宅を出発する前、対馬先生がまた自宅に来た。東山で結構な数のミドリシジミ類を採集したから、部員達にやると言って、プレゼントしてくれた。誰にやるという話ではなかったけど、Yさんはじめみんな喜ぶだろうなと思った。

 今日の活動のため自宅を出発し、みんなでまずはさっき対馬先生がたくさん採集した東山に向かった。朝はたくさんミドリシジミ類がいたようだが、今はほとんど見られなかったので、早々に今日の最初の目的地でに向かった。

 今日の目的はまずヒメシロチョウの夏型の確認、同じ場所にはカバイロシジミがいそうなのでその確認、鉄山のイケマでアサギマダラの卵や幼虫があるかの確認などである。

 また木村先生チームと私チームに分かれて蝶の観察や採集をする事にした。

コキマダラセセリ

 この場所はエゾヒメシロチョウとヒメシロチョウが混生している感じの場所で、夏型のヒメシロ、エゾヒメシロの区別が私にはちょっと難しかった。
 N君が「先生、止まってますよ」って教えてくれたので、撮影することが出来た。これはどっちなんだろう?はっきり断言できない。

タンポポを吸うヒメシロチョウかエゾヒメシロチョウ

 自分の中では「ヒメシロチョウじゃないかな?」って思うけど、よくわからない。
 それでもこうやってアップで撮影できたので嬉しかった。

 エゾニュウにはキアゲハが来て卵を産んでいた。

多分産まれたばかりの卵


孵化直前と思われる卵

 幼虫も見ることが出来た。

かなり小さい幼虫


終齢の前位?

 どかんとでっかい終齢幼虫もいた。

キアゲハの終齢幼虫


手に取るとこんな感じ


木村先生チーム

 木村先生チームはアカマダラなども採集していた。自分たちのチームはそれほど面白いのを採集できなかった。

 そして今度は鉄山に向かった。また2チームに分けた。私は林道を入り口に戻るようなルートで、本当はオオミスジがいないかなと思っていたのだが、1頭も見れなかった。

 でも林道入り口付近でカバイロシジミを見つけ、撮影した。

カバイロシジミ

 昨日の汐首に比べ、蝶の数も少なくアサギマダラが3、4年連続卵を産んでいる葉っぱでも見つけられなかった。

記念撮影

 ここで一旦解散することにした。でもYさんとS君は汽車の時間の関係でまだ活動できるというので、中野ダムの左の道路に行くことにした。ミドリシジミ類を昨年たくさん見たとYさんが言っていた。

 Yさんと1年生のS君を連れて中野ダムの左側の道路を上がって行った。今年初めてキバネセセリが登場した。

キバネセセリ

 期待したミドリシジミ類はけっこう飛んでいたが、網が届くような距離ではない。射程に入るのをじっと見つめているだけである。

ミドリシジミ類

 それでも何だかんだでようやく1頭採集。その後も粘り Yさんも採集。私はじれったくなり、崖を降りて行って2m50cmの網で採集。全部で4〜5頭位採集できただろうか。

 実はこの少し前、対馬先生から「当別にウラクロシジミを探しに行こう」と連絡を受けていた。

 ウラクロシジミと言えばまだ私が撮影したことが無い蝶で、北海道では道南の一部にのみ局地的に生息しているとても珍しい蝶である。
 数年前に卵を確認できているので、いることはいるとわかっていたが、夕方に良く飛ぶ蝶で、昼間に見に行って確認出来た事は無い。

 対馬先生から誘われた時、けっこう疲れていた事と、見つかる可能性は低いんじゃないかと感じ、最初断ろうかと思った。「疲れたから」と。
 でも、もし対馬先生が一人で行って「見つけた」なんて言われたらちょっと悔しく思いそうだし、部員がいない対馬先生と二人の活動となると、かなり気が楽になる。

 部員を引率するとやはり「ダニにやられていないか」とか、「熊が出ないか」とか、「怪我をするんじゃないか」とか、「熱中症にならないか」とか、そういう心配は常にある。

 もし怪我をしたりされれば引率者として責任がある。なので、顧問としてはそういうリスクを抱えて部員を引率しているのだから、適当な遊び気分で参加する部員は正直連れて行きたくない。

 一生懸命頑張っている部員に対し私はリスクを抱えて連れて行こうと思えるけど、「土日暇だから山でも行くか」的な考えでたまに参加するような部員がいたら、連れて行きたくない。

 対馬先生と二人で活動するとなると、そういう緊張感から解放されるし、自分が高校生の部員だった時の顧問が対馬先生なので、昔に戻ってちょっと自分が部員になって顧問の先生と山に来たというような懐かしい感じになる。

 YさんとS君はここで解散とし、私はいったん自宅に戻った。ウラクロシジミ探しは対馬先生が運転して連れて行ってくれると言うので、自宅で迎えに来てくれるのを待った。

 「もしウラクロシジミを見つけられたら、是非撮影したいので、最初は採集しないで!」と対馬先生にお願いし了承してもらった。

 当別に行くと言われていたが、南茅部方面に行くことにした。

 ポイントに着いて、ここから歩いてウラクロシジミを探しに行く。

 最初は草が生い茂っているような場所をずっと歩いて行き、川を目指す。ウラクロシジミの食樹であるマンサクは川沿いにあることが多いからだ。

 川に出る前、トラフシジミを見つけた。

トラフシジミ

 夕方になって日が陰った中、トラフシジミはじっとしていた。

 川に出て、川をどんどん遡って行く。川の水が極めて綺麗だ。だけど、どんどん山の中に入って行く感じで、いつ熊が出てもおかしくない感じがした。ただし、クマの形跡は何もなかった。

川を遡ってウラクロシジミを探しに行く

 対馬先生がマンサクを見つけた。さて、ウラクロシジミはいるだろうか。

マンサクがあった山の中の川沿いの環境

 ジャングルみたいな場所でウラクロシジミを探す。緑のシジミはチラチラ飛んでいるが、ウラクロシジミは緑色ではない。

 付近を捜索しながらウラクロシジミ探し。今日は気温も高く汗だく。

 そんな中対馬先生がアゲハモドキ(蛾)を見つけてくれた。

アゲハモドキ

 羽の形と色からしたら完全にアゲハでしょ!だけど実際は蛾である。擬態しているんだろうけど、何で?メリットがよくわからない。

 対馬先生は6mあるというかなり長い網を持参していた。自分は2m50cm。

 ウラクロシジミがけっこう高い場所を飛んでいるという予想を元にこの長い網を持って来たんだと思う。

 食樹の上で緑色には見えないキラキラするシジミみたいのが見えた。

 「いたぞ!」と対馬先生が自分を呼んでくれた。

 確かに白っぽいキラキラするシジミみたいのが飛んでいるが、高いところを飛んでいるし、自分は大学時代に仙台で採集して以来成虫を見たことが無いので、それがウラクロシジミなのかどうか、あまり自信が持てない。目もそんなによくないからはっきりとは見えないし。

 対馬先生は90%ウラクロシジミで間違いないと言っていたが、果たして本当だろうか。

 そのウラクロシジミと思われる蝶は確かに食樹の周りの高いところを飛んでいて、対馬先生が持って来た長い網でも届かない。

対馬先生と長い網

 その様子を見ていて、自分は「もしこれがウラクロシジミだったとしても、撮影は無理だな」と悟った。

 ウラクロシジミは多くないけど、時々樹上に姿を見せてはどっかに飛んで行ってしまうということを繰り返し、そのたびに採集しようとするが距離が遠くて採集できない。

 撮影どころか採集も無理だなと感じ、他の蝶にも目を向けてみた。

 スイーッ、スィーッと飛ぶタテハチョウ科の蝶がいたので採集してみたらルリタテハだった。

ルリタテハ

 光沢が綺麗な甲虫もいたので撮影。

 ウラクロシジミは撮れないなと思ったのでそんな本命以外の生き物にも目が向いていたというか、集中力も落ちかかっていた。

甲虫

 よし、撮影はもう諦めた。採集できるようなら採集しようと思い、対馬先生にも「撮影は諦めたから、チャンスがあったら採集してしまってください」と言った。

 それでもなかなか採集させてくれないウラクロシジミっぽい蝶。長い竿より遠くを飛んでいるし、竿が長いせいで自在に素早く振れないようだ。

 そうこうしている時にまた1頭、ウラクロシジミっぽい蝶が飛んできた。

 今度は自分たちに少し近い位置を飛んだ。

 6mの長さの網は逆に近すぎて使えない。

 思わず自分が2m50の網を振ってしまった。対馬先生が「入った!」と言った。

 もし網を振らなければ撮影できる位置に止まっただろうか?と思ったけど、絶対止まらないなとも思った。

 網の中を確認してみると、まぎれも無くウラクロシジミであった。

 やっぱりさっきから飛んでいた銀色にチラチラ光る蝶はウラクロシジミだったんだ。

 対馬先生と握手した。

 対馬先生がゆっくりと胸を圧迫した。

ウラクロシジミ

 北海道南茅部産の貴重で珍しいウラクロシジミである。南茅部は縄文式土器がたくさん発掘されるなど、かなり昔から人が住んでいた事がわかっている。そういう縄文時代やそれ以前からウラクロシジミはここに生息していたんだろうか?

 今回はたまたま自分の網に入ったけど、今日ウラクロシジミを探しに行こうと誘ってくれたのは対馬先生だし、車も出してもらったし、道南の珍しいウラクロシジミであり貴重な1頭である。これは対馬先生に展翅してもらい、保管してもらうのが一番いいなと思った。

 その後も少しの時間他のウラクロシジミを観察したが、採集することは出来なかった。また、生物部で以前卵を探しに来たマンサクの木がある所まで川沿いに下って確認したら、やはりウラクロシジミの姿は確認できた。

 今日は撮影できなかったけど、あんな感じで飛ばれたら撮影は難しいと感じた。撮影するためには早朝に下草に降りている個体がいるかもしれないから、そういうのを狙うのが確率高いかな?来年以降、またチャレンジしてみたい。