十勝でアサギマダラ目撃!
2013.6.9

 今回の遊びの記録には、前置きの説明がある。

 今年、私も会員である道南虫の会で、アサギマダラに関するビックニュースが飛び込んできた。
 九州でマーキングされたアサギマダラが道南で再捕獲されたのだ。(再捕獲した人が道南虫の会の会員)

 アサギマダラは謎の多い蝶で、成虫は南から北へ、また北から南へ長い距離を移動する。この移動がどのように行われているのか、全国の愛好家達がマーキングと言う方法で調べている。

 マーキングと言うのはアサギマダラを採集し、マジックで羽に採集日や採集地、採集者名などを書き込んで再び放す。それを他の人が別の地で再捕獲すれば、その個体の移動の一部が解明されるのだ。アサギマダラの羽の一部にはリンプンが無い場所があり、そこにマジックで記入しても問題は無い。

 今回のニュースは新聞各紙だけでなく、テレビなどでも報道されて話題となった。
 当HP内の「道南虫の会」掲示板(会員のみ閲覧可能)でも、報道される前に速報として投稿があり、大いに盛り上がっていた。

 掲示板の投稿内容を見ると、今年は道南に多くのアサギマダラが渡って来ているようだったので、もしかして十勝にも飛んで来てるかなという思いがあった。

 数日前に蝶仲間のFieldさんに「日曜日はアサギマダラでも探しに行こうかな?」とメールをしていたのだが、一緒に着いて来てくれそうだったので、今日の朝、Fieldさんに電話をして一緒に行動する事になった。一人で探すより、二人の方が楽しいし、見つかる可能性も高いと思って。

 まず向かったのは十勝管内某所。
 道南では海岸でアサギマダラがけっこう見られているようだったが、海岸のどんな所に来るのかわからないし、数年前に目撃の実績があるこの某所のポイントが最も可能性が高いと思った。

 可能性が高いとは言っても自分の中では目撃できる可能性は1%以下くらいにしか思っておらず、アサギマダラを探しながら他の蝶の撮影をしようと思っていた。Fieldさんも同じ気持ちだったかもしれない。

 ポイントに向かう途中、木を切って集めている貯木場見たいところを通り過ぎた。Fieldさんは「カミキリムシがいるかもしれないから立ち寄りたい」と言ったのだが、車を止めてUターンさせるのもちょっと面倒だったので、帰りに立ち寄ろうと言うことで、まずは蝶のポイントに向かった。

 ここのポイントではツツジが多く咲くと、ミヤマカラスアゲハなどの黒い蝶がたくさん見られるので、かなり楽しみにしていたのだが、ツツジはまだ満開には程遠く、ミヤマカラスアゲハも1頭くらいしか見られなかった。ちょっと時期が早かったか。(Fieldさんは最初から「まだ早いと思うぞ」と言っていた)

 そこで、今度は近くの林道入り口に車を止め、林道を歩きながら蝶を探す事にした。この林道は数年前にアサギマダラが目撃された場所だ。

 ところが歩き出してすぐに蝶の姿が少ない事に気付く。全然飛んでない。天気は快晴で気温も高く、ミヤマカラスアゲハなんかが飛び回っていてもいい感じだと思っていたのに。
 仕方ないので越冬のシータテハやキベリタテハを撮影しながら林道をしばらく歩いた。

 それにしても何もいない。面白く、撮影したい蝶がいない。

越冬シ−タテハ

越冬キベリタテハ
Fieldさんから教えてもらったコンロンソウという植物。この前教えてもらったシャクという植物とよく似ているが、葉っぱの形がちょっと違う。

 炎天下の中、歩いていると、疲れて汗だくになるだけで何も面白いことが無いので、途中で引き返して、違う場所に向かう事にした。

 車に戻り、来た道を引き返す。車を走らせていると、さっき通り過ぎた貯木場があったので、こんどは車を止めてカミキリムシを探す事にした。私はカミキリムシにはあまり興味が無かったので、カメラも網も持たずに車から降りた。
 少し木の周りを探したがカミキリムシはいなかったので、10m位歩いて林のほうに歩いて意味も無く木を見ていたのだが、次の瞬間、Fieldさんの叫び声が聞こえてきた。

「アサギいた〜っ!!」

 凄い叫び声だった。

 振り返ると、確かにアサギマダラと思われる蝶が飛んでいた。そして私のほうに向かってきた。ところが自分は手ぶら。車にカメラも網も置いて来ていたのでどうする事も出来ない。

 とっさに、首にかけていたタオルを振り回した。
 アサギマダラはタオルを振ると寄って来る性質があると言うのは聞いていたのだが、どんな色のタオルがいいかはわからなかった。でもとりあえず今自分が出来るのはタオルを振ることだけ。
 薄青色のタオルを振ると、一瞬アサギマダラが自分のほうに寄ってきた。が、すぐにどこかに飛んで行ってしまった。網を持っていたら採集できた距離だったと思う。

 とりあえず確認できたのはマーキングされた個体ではなかったと言うこと位。

 自分もFieldさんもかなりびっくりした。

 車に戻りちょっと冷静になって話し合った。

 たぶん他にももっとたくさんいるはずだ。そのたくさんのなかの一頭を目撃できたんだと思う。だから、この先またアサギマダラを見ることが出来るかもしれない。そしたら撮影優先にするか採集優先にするか。

 結論はとにかく採集優先。花に止まっていたりしたら撮影してから採集しようと。

 自分は万が一アサギマダラが捕獲できたらマーキングしようと、黒マジックまで持参していたので、この先またアサギマダラを見れることを期待して次のポイントに向かった。
 それにしてもまさか本当にアサギマダラが見れるとは・・・。

 次のポイントも数年前にアサギマダラが目撃されたと言う場所。

 ポイントに到着し、網とカメラとタオルを持って少し歩く事にした。タオルを振りながらカメラを首からぶら下げ、もう片方の手には網を持ちながら。けっこう疲れる。

 しばらく歩いたがアサギマダラの姿はなし。ジョウザンシジミが飛んでいて撮影したが、もうあまり撮影する気になれない。
 シロオビヒメヒカゲが出ているかな?なんて話していたのだが、思ったとおり今年初めてシロオビヒメヒカゲを発見して撮影。

ジョウザンシジミ

シロオビヒメヒカゲ

 アサギマダラが見れないので引き返し、車を止めた場所でしばらく待ってみる事にした。花が咲いているのでもしかしてアサギマダラが来るかもと期待して。

 が、とうとうアサギマダラの姿は見られず、しびれを切らして次の場所に向かう事にした。

 ここから先は先週私が訪れた場所。アサギマダラというよりも、ヒメウスバシロチョウが見たかったのだが、まだ発生していないのか一頭も見ることが出来ず。先週いたトンボ達はまだたくさん見ることが出来た。

 更に近場の林道を何本か。前回エゾスジグロシロチョウが集団吸水していた場所にも来てみたが、今日は5頭のミヤマカラスアゲハが水を吸っていた。

 結局あの一度きりアサギマダラを見ることが出来なかった。それにしても色々な偶然が重なって1頭のアサギマダラを見ることが出来た。これは幸運だったと言っていいのだろうか?違う行動をしていたらもしかしたらもっとたくさんのアサギマダラを見ることが出来たのかも。
 でもそんな事言ってもどうしようもない。期待しないで見に来たアサギマダラを見ることが出来ただけでも良かったと思う。自分は十勝でアサギマダラを見たのは初めてだったので、嬉しかったし、今回アサギマダラを見ることが出来たんだから、きっとまた近いうちに見ることが出来るんじゃないかと、ポジティブに考える事にした。