愚か者の無謀なしごき
2017.8.10 |
昨日は8月9日、日本中的には長崎の原爆の日だが、自分的には結婚記念日。妻とふたりで回らないお寿司屋さんに行った。
そして今日から火曜日まで自分は夏休み。嬉しいんだけど、天気予報がイマイチ。
今日の天気も曇りで朝から厚い雲に覆われていた。
こんな日は蝶の観察も無理だなと思っていたけど、ひとつ実行してみたいことがあった。
ここに引っ越してきてから丸2年になるが、対馬先生と「しごき」と称したサイクリングによく行っている。多いのは未来大学まで行ってくるコースで、最初の頃は未来大学に行くだけでも心臓が張り裂けそうになるくらいで息も上がり大変だった。
ところが今は未来大学位なら「しごき」とは言えない。新中野ダムまで行ったり、もっとキツイコースでサイクリングが出来るようになってきた。
しごきを始めてからマウンテンバイクを購入して乗っていたのだが、いつか、横津の山に自転車で行ってみたいと思っていた。
今日は曇っているから蝶の観察も出来ないし、妻も朝から仕事で出て行ってしまったし、ひとりで横津にチャレンジするのは絶好だなと思い、実行することにした。
横津岳は標高1167mでこの辺では一番高い山である。普段は新中野ダム等に行っても、せいぜい標高200m台だと思うので、標高自体かなり違う。ただ、横津はばんだい号という飛行機が墜落した時の慰霊碑がある所から先はゲートがあって無許可車両進入禁止である。自転車も車両だと思うので、ゴールをこのゲートにする事にした。多分そのゲートは標高960m位。だから、普段行っている新中野ダムより3倍以上の高低差がある。
そもそも体力的にそこまで自転車で行けるのかどうかすらわからない。
ダメになったら途中で諦めて帰ってくればいいやと思いつつ「やるだけやってみるか」という思い。
500mlのお茶を2本、タオルとバスタオル、念のため長袖の服をリュックに入れ8:42分に家を出た。
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家を出てすぐのところ。さぁ出発だ! |
最初は七飯町の大川と言う所まで平坦な道が続く。高速道路の脇の道を通って大川まで向かったが、大川からは登りなるのでなるべく体力を消耗しないようにゆっくり自転車を漕いだ。
リンゴ畑があったので写真を撮ったが、リンゴはまだ小さな実だった。 |
リンゴ畑 |
大川からはいよいよ登りになる。車では何度も来たことがあるけど、勾配のきつさなどあまり注意していなかった。自転車で登るのには辛い勾配なのか、それほどでもないのか。
大川から登り坂になった瞬間、やばいと思った。これは想像していたより勾配がキツイ!
だけど自分の自転車は24段切り替えで、1段にすればかなり軽く漕ぐことが出来る(その分スピードでないけど)
でもここで1段にしてしまったら、この先もっと急こう配になるからと思い、確か4段とか6段とか、その辺の少し重いギヤで坂道をゆっくり上って行った。
それでもやっぱりキツイ。想像していたのと全然違う!昔SLが置いてあった場所まで来るだけでも汗だくになったし息も上がったし、太もももやばい。どうしようもなくなって一旦休憩した。
2,3分休憩してまたペダルを漕ぎだすと、「あれ?軽い・・・」と思った。休憩したせいで疲れが少し取れたんだと思う。
だけどすぐにまた辛くなってくる。ギヤを軽くしたり、勾配が少しなだらかになったらギヤを重くしたり、なるべく体力を消耗しないように自転車を漕いだけど、汗がどんどん出てきて、白いタオルがベチャベチャになってきた。
この時点で、自分が横津に自転車で行こうなどと考えたのは無茶だったかもと思いだした。
2回目の休憩でタオルを絞ったら、汗がボタボタ地面に落ちた。 |
タオルの汗を絞ったところ |
急カーブの所は勾配がきつくなっていたり、一見そんなに勾配が急でないような所でも疲れてきたからか、漕ぐのがけっこう大変。無理しないように何度も休憩しながら進んだが、だんだん霧が出てきて霧雨になってきた。 |
霧がではじめた |
霧雨の中、ハァハァ言いながら自転車を漕いでちょっとずつ前に進んだ。ふと手元を見ると、腕の毛に水滴がたくさんついていたので、次の休憩の時に写真を撮ってみた。 |
腕の毛に着いた水滴 |
最初、1時間半位かかるかもと思ったんだけど、1時間半なんて甘い考えで、1時間半だとぜいぜい半分くらいであった。
休憩しては登り、ギアも1段を活用。普段平地で1段にするとほぼ空回りしている感じで軽すぎるのだが、今日の場合、更に軽いギアを欲しいと思う位大変になってきた。
とにかく坂が急になっている気がして辛いのと、サドルが細くてかたいので、お尻が痛くなった。
家を出てから3時間弱。ようやくいつもアサギマダラを探しているスキー場の所までたどりついた。この辺は比較的平坦だと思っていたけど、そんな事は全くなかった。
「ここは少し坂が緩いんじゃないか?」と思ったのにそれなりに急だった時の挫折感は凄かった。 |
スキー場ポイント |
そして家を出てから丸3時間ほどで目標としていたゴールである慰霊碑のゲートに到着した。凄い嬉しかったけど、このチャレンジを実行したことを後悔した。やるんじゃなかった・・・。
ゲートにカメラを置いて一人記念撮影をした。
後悔したけど達成感はけっこうあって、横津の960mまでエンジンを使わずガソリンを使わず、自転車に乗り自分の力だけで来たのは初めて。まさか44歳にもなってこんなことするとも思わなかったけど、なんとか来ることが出来て良かった。
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最初に設定たゴール(ゲート)にたどり着いて一人で喜んで撮影 |
汗なんだか霧雨なんだかわからないけど、服もタオルもビショビショになっているし、目標としていたゴールまで来ることが出来たからちょっと休んで帰ろうかと思ったけど、ちょっと休んだら少し体力が回復してきて、
「山頂まで行っちゃう?」と、自分の中で思い始めてきた。
だけど今日は妻が昼過ぎに帰って来るとかなんとか言ってたので、電話して確認してみると、「やっぱりそんなに早くは帰らない」と言うから、「これから横津の山頂まで歩いて行くかどうか迷っている」と言ったら、「遠慮しないで行っておいで」と言われた。そんなら行ってくるか!
ゲートには許可のない車両は通行禁止と書いているし、自転車も車両だろうから、ここからは歩いて山頂を目指した。
歩き始めてすぐに、足の異変に気付いた。やっぱりかなり疲れているみたい。普段みたいにスタスタ歩けない。
だけど、別に急いで行く事も無いだろうから、ゆっくり歩きながら山頂を目指した。
いつもなら30分強位で山頂まで行けるんだけど、今日は山頂までの道のりがかなり遠く感じた。
途中、両サイドがコンクリート吹付になっている場所があって、普段でもここはけっこう勾配がきついなと思っていたんだけど、今日は壁に見えた。 |
両サイドコンクリート吹付の所 |
この場所を過ぎて左に曲がり少し行くとなだらかな平坦になり、山頂の航空レーダーが見えてくるのだが、今日は霧が凄くて全く見えない。
この平坦な道すらかなり疲れながらゆっくり歩いた。
そして霧の中から山頂のレーダーが見えてきた。 |
山頂レーダー |
いつもはアサギマダラを探しに来るだけだから何も意識していなかったけど、今日はゴールをパラボナアンテナの所に決めた。 |
ゴールのパラボナアンテナ |
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山頂のパラボナアンテナ(ゴール)にタッチ! |
やったぁ〜!家から自転車で出発して山頂まで到着することが出来た。自分自身に対する自信にもなった。
44歳のオッサンが無謀な挑戦をして、大変で何度も休んだけど、1167mの横津岳山頂に到達することが出来た。車で来る時とは全然違う気持ちになったけど、やっぱりもう2度とやりたくない。
自分のスマホにはいろんな運動をした時にデータが出るやつが入っているので、山頂で確認してみた。 |
ゲートから横津山頂まで47分17秒で到着したという表示 |
へぇ〜、歩いて大体300kcal消費するんだということと、歩数が大体4000歩だという事がわかった。
山頂まで来たら、ここから帰らなければならない。時間もかかるので、さっさと降りることにした。霧雨で景色も見えないし。
でも、帰り道を歩くのもけっこう疲れていたから大変だった。
ゲートまで戻り、自転車で下山することにしたのだが、下りスタートしてすぐに気づいた。
「寒い・・・」
下りは自転車を漕ぐことが無いので、単に霧雨が当たって寒い。気温も多分下界より6℃〜7℃位は低いと思う。凍えそうになる。
だけど、実は念のためと思って、長袖のシャツを持って来ていた。横津を自転車で登るため、なるべく荷物の重量を少なくしたかったからどうしようか迷ったんだけど、横津の標高を考えて持参していた。
いやぁ〜長袖持って来て良かった〜!と思い、それを着て再出発。だけど今度は手がかじかんでブレーキがちゃんと握れない。
夏に凍えるってどういうことよと思いつつ、ちょっとこれはやばいかなと思った。いざとなったら妻を呼べばいいかと思いつつ、もしかしてリュックに軍手でも入ってないかなと思い調べてみたら、なんと軍手が入っていた。超ラッキー!
多分、春に山菜採りとかをするときのために入れていたものだろう。ちょっと汚れた軍手だったけど、大助かり。
軍手を装着し、再々出発。
道が悪いので振動が凄い。そう言えば、前輪のサスペンションをロックしたままだったと思いだし、ロックを解除。
寒さもあるし道も悪いし、更に尻が痛い。けっこうゆっくり、常にブレーキをかけながら下山していると、だんだん空気が暖かくなってきた。
標高の違いによる気温の変化を感じることが出来たと思う。
尻が痛くてペダルに立ったまま降りてきた。
高速道路の所まで来ると、もう凍えているという感じではなく、寒いは寒いけどやばい感じはなくなってきた。
そこから20分弱で、自宅に戻ってくることが出来た。
ちょうど同時に妻も帰宅してきた。
実は山頂に向かって歩いている時に対馬先生から電話が来ていて、「今日はしごきどうする?」と言われたので、「今しごき中」と答え、横津にいる事を言っていた。それでも自宅に戻ったら未来大学位までは行けるかなと思って、「帰ったらまた電話します」と言っていた。
だけど、体が冷え切っている事と、尻が痛い事を考慮し、未来大学へのしごきはやっぱり無理だと思い対馬先生に電話し、すぐにお風呂に入った。
41度でお風呂を入れたけど、入浴中に追い炊きまでして、夏にこんなに体が冷えてお風呂の暖かさを幸せに感じられるなんてと思った。
お風呂から出て落ち着いて、今日のひとりしごきの工程を見てみた。 |
これは自宅から慰霊碑のゲートまでの工程
家からゲートまで3時間5分、1211キロカロリー! |
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速度と高低差のグラフも出る
大体自宅が50m位で、ゲートが950m強位だと読み取れる
速度は最初はそれなりだけど、登りが始まってからは歩くのと大差ない位だったみたい |
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走った所の地図も出る |
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慰霊碑のゲートから山頂へ行き、ゲートに戻るまでのデータ
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514キロカロリー消費
本当にそんなに消費しているんだろうか?
2往復で1000キロカロリーなら、3往復すれば今日の自転車より凄い
そっちの方が楽な気がする。
まぁでも往復に1時間半弱かかっているので、3往復したら4時間半か。
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ゲートから山頂往復の高低差と歩くペースのデータ |
横津の山頂が1167mなので、大体高度のグラフもいい線いってると思う。速度は当然下りの方が速いんだけど、データもそういう感じで表示されている。 |
歩いた道のりのデータ |
マウンテンバイクを買った時からの目標であった横津のゲートまでを達成することが出来たけど、天気が悪かったし寒かったし、思ったよりかなり疲れたし、無謀だったことも分かった。もっと体力をつけるか、体重を落としてやらないと大変。
ゲートに着いた時には、もう2度とやらないと思ったけど、今は少しだけ「もう1回やってみる?」って気にちょっとだけなっている。
天気が良くても夏の暑い日差しなら脱水症状になるかもしれないから、天気のいい秋とかいいかもしれない。多分やらないと思うけど。
今度は木古内往復をやってみたい。距離はあるけど高低差はそうでもなさそうだから、問題はどのくらい時間がかかるかと、お尻が痛くならないかだと思う。
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