十勝でアサギマダラ捕獲成功!!
2013.6.23
|
今日はまたまたfieldさんと行動する事になっていた。と、言うもの、関東からTさんという方が帯広に来られて、蝶とトンボの案内をすることになったと言うことで、一緒に行こうとfieldさんから声がかかっていたのだ。
Tさんとは数年前に一度だけお会いしたことがある。その時もちょうど今時期で、リンゴシジミやカバイロシジミなどを見てもらうことが出来たという思い出がある。
数年ぶりにお会いするTさんは、今回はカラフトヒョウモンを撮影したいらしいとfieldさんから話を聞いていた。自分自身、カラフトヒョウモンの多数発生するポイントは知らないのだが、それよりも今年は蝶の発生状況が変(遅れているような)なので、fieldさんも自分も案内してカラフトヒョウモンを見てもらう自信はあまり無かった。
事前にfieldさんとは打ち合わせをしており、カラフトヒョウモンが見れる可能性が高そうな、とある場所に行こうと話し合っていたので、どういう道を通ってそこに行こうか考えながらfieldさんとTさんがいる待ち合わせ場所(fieldさんの職場)まで向かった。
Tさんと久しぶりに再開し、「お久しぶりです、お元気でしたか?」などと挨拶をしたが、fieldさんから、「カラフトヒョウモンでなくジョウザンシジミ」という言葉が発せられた。
え?ジョウザン???
どうやらあまり天候もすぐれなかった事もあり、今回はカラフトヒョウモンは諦めたようである、で、目標を変更してジョウザンシジミ。
ジョウザンシジミならいる場所はたくさんある。そのうちのひとつの場所に向かった。
ポイントに到着し、少し歩いたがジョウザンシジミの姿はなし。曇っていたし気温もそれほど上がっていなかったのも影響したのかもしれないけど、ジョウザンシジミなら絶対に見られるという確信があった。
更に少し進んでいくが、たいした蝶がいない。自分は、もしもアサギマダラがいたという時のために網も持っていたので、左手にカメラ、右手に網、首からバックをぶら下げ、そこの中にはカメラの交換レンズ3本という、とても身軽とはいえない装備になっていた。
そんな荷物いっぱいの状況で歩くのが少し面倒だなと思っていたその時、fieldさんの声が飛び込んできた。
「ん、何だ・・・? アサギいたぁ〜っ!」
見ると、林道の真ん中に一頭のアサギマダラが止まっていた。
またまた十勝でアサギマダラ発見である。
慌てて二人でアサギマダラに近づき、逃げられる前に写真撮影を試みた。
が、網を持っていたので片手撮影。びっくりして慌てていたせいもあり、液晶画面にアサギマダラの姿が入らない。そして、片手のためプルプル震えてどうにもならない。ピントすら合わせられない。
これはもう撮影は諦めようと咄嗟に思った。
採集するしかない。
それで、両手で網を持ちたかったので、カメラをfieldさんに預けて採集してしまおうと思ったんだけど、fieldさんが、「俺だって写真撮りたい!」と私のカメラを預かってくれない。
そりゃそうだ。今思えば、何でわざわざfieldさんにカメラを預けようと思ったのか、意味がわからない。
それで、もう一度撮影を試みたがやっぱりダメ。うまくアサギマダラを捕らえられない。
ここまでアサギマダラを発見してから15秒程度の出来事だと思う。
そうしているうちにアサギマダラがフワッと浮き上がった。そしてfieldさんが「採集していいぞ!」と私に言った。
左手にカメラを持ったまま、網は右手一本。飛び立ったアサギマダラに向かって走った。
確か、アサギマダラは一度自分たちとは反対方向に飛んだんだけど、すぐにこちらに向きを変えて飛んできた。チャンスは1回きりだと思った。
思い切って右手一本で網を振った。一瞬アサギマダラが網に入ったかどうかわからなかったが、fieldさんが、「採った!」と言ったので、採集に成功したことがわかった。
十勝で初めてアサギマダラを採集した。かなり興奮した。だって、年によっては一度も見られない事もあるだろうし、自分自身、今年6月9日に十勝では初めてアサギマダラを目撃したばかり。それだけでもなかなか凄いと思っていたのに、採集に成功したのである。
ドキドキしながら網の中のアサギマダラを見た。少し羽がボロになっていた。
|
採集したアサギマダラ
(fieldさん撮影) |
いったい、どこから飛んできたのだろう?きっと長い旅の末、十勝まで飛んできたんだと思う。
関東生まれ?関西生まれ?それとも九州育ち?などと思いをめぐらせながら、感動のひと時。
アサギマダラを採集したらマーキングしようと思っていたのだが、今日はマジックを忘れてきていた。忘れたと言うよりも、カラフトヒョウモンを見に行くと思い込んでいたのでマジックは持ってこなかった。マーキング出来ない・・・。
fieldさんは「あんたの標本箱に入れるというのもひとつの方法だと思うぞ」と言った。自分もそうしようかと一瞬思ったが、その気持ちは大きくならなかった。やはりマーキングして放そう。
マジックがないので、とりあえず三角紙に入れて持ち歩く事にした。が、ドキドキして手の震えが止まらなかった。本当によく片手で振った網に入ってくれたもんだ。
付近にもまだアサギマダラが何頭かいるかもしれないと思ったが、結論から言うと、アサギマダラはこの一頭以外見る事は出来なかった。
とりあえず気持ちを落ち着けて、Tさんが見たいというジョウザンシジミを探す事にした。数は少ないけど、何頭かジョウザンシジミを見つけることが出来て撮影してもらえた。
自分はジョウザンシジミはもうどうでもいいのであまり撮影しなかったが、カラスアゲハを見つけて数枚撮影。カラスアゲハは道東ではミヤマカラスアゲハよりもかなり数が少ない。 |
カラスアゲハ |
その他、蝶以外ではトンボが飛んでいる姿も見ることが出来た。 |
|
ここで、引き返そうかと思っていた場所まで来たとき、ヒメウスバシロチョウを見ることが出来た。今年初めてのヒメウスバシロチョウだったが、羽化してから少し時間がたっている個体のように思えた。 |
ヒメウスバシロチョウ |
林道を戻りながら、またアサギマダラがいないかなと期待したが、見る事は出来なかった。 |
かなり小さめのキアゲハ(春型) |
本当に運よくアサギマダラを見つけることが出来たし、採集まで出来た。これは十勝ではかなり珍しい事だと思う。
本当はいつまでもアサギマダラを探し回りたいところだったが、今日はTさんの案内が最優先。この場所以外でもアサギマダラを見ることが出来るかもしれないと思い、何ヶ所か見に行ったがダメだった。
そこで、次にTさんが撮影したいと言うトンボを捜しに行く事にした。すごく珍しいアカメイトトンボという種類のトンボを撮影したいらしく、Tさんは、生息地の市町村まではわかっているらしい。
しかし、、沼のような環境にいるらしいことはわかっているが、どこの沼かとか、もっと細かい生息地の情報は持っていないらしい。とりあえず、アカメイトトンボというのが見れるはずだという町に向かった。
でも、先ほどニホンザリガニの話をしたときにTさんが「見てみたい」と言われたので、私だけが知っている秘密のニホンザリガニポイントに向かった。ちょうどアカメイトトンボを撮影しに行く途中にニホンザリガニの生息地がある。
とりあえず、そのポイントまで車を走らせ、ニホンザリガニが生息している小さな川に向かって歩いた。途中、トンボがいたので撮影 |
モイワサナエという種類だと思う。と、Tさんやfieldさんが教えてくれた。 |
ニホンザリガニは水温が低くて水の綺麗な小川に住んでいるので、そこに向かったが、イタドリがバリアのように立ちはだかっていて、小川に向かうのが大変だった。
小川に到着して探し方を教えた。とは言っても、探し方は簡単。石ころをめくればいいだけ。
10分も探せば絶対に見つかると思っていたが、1分ほどですぐに見つかった。そして、何匹も見つかった。写真を撮影しようと思ったが、自然の状態では水の中なので撮影出来ない。更に、この場所はうっそうと木が生い茂る森の中で薄暗く、シャッタースピードが遅くなる。それで、木々の隙間から日が差しているところに持っていってなんとか撮影できた。 |
ニホンザリガニ |
近くにはウチダザリガニという特定外来種に指定されているザリガニも生息しているのだが、ここの場所には進出してきていない。実はここのニホンザリガニがウチダザリガニに駆逐されていないのには人間の営みと深い関係があるのだが、話が更に長くなるのでここではやめておこう。
Tさんは「ウチダザリガニは別に見なくてもいい」というので、早々とここを後にして、アカメイトトンボがいるかもしれないというポイントに向かった。
Tさんの話によれば、アカメイトトンボがいるらしいという市町村名まではわかるが、それ以上はわからないと言う。ここで役に立ったのがカーナビだ。
私の車のカーナビは、今の車に乗り換える前、13〜14年前に購入したものだ。そして、地図データは一度も更新していないのでもう15年位前の地図データである。そのカーナビで、アカメイトトンボがいるかもしれない市町村の地図を呼び出し、池か沼っぽい場所を探し出した。候補の場所が何ヶ所か見つかったので、まずは一番大きい池か沼を目指して移動した。
実際、15年も前の地図データだと、既に埋め立てられている可能性があるので、本当に池か沼があるか心配だったが、地図どおりに池か沼を見つけることが出来た。
近くに車を止め、そこまで歩いていった。ろくに道も付いていなかった。
水辺まで行くとでっかいタニシが見つかった。 |
オオタニシ |
こんなでかい貝は見たことが無いというと、「けっこういるよ」というような事を言われた。自分が知らなかっただけらしい。
ここでは結構な数のトンボを見ることが出来たが、探しているアカメイトトンボを見つける事は出来なかった。水辺に道が付いていないのでほとんど移動することが出来ず、移動したい場合は草をかき分けていかなければならない。でも、イラクサだらけで無理と判断。次の候補地に向かった。
次の候補地は民家を通過して行かなければならないような場所だったのですぐに諦めた。
また次の候補地に向かった。ここは水がちょっと汚い感じだったけど、車で近づくことが出来た。トンボも少し飛んでいて、イトトンボの仲間も見つけることが出来た。個人的にあまり興味が無かったけどfieldさんやTさんが熱心に撮影しているので自分も便乗して少しだけ撮影した。風が結構吹いていてピントを合わせるのが大変だった。 |
fieldさんやTさんが撮影していたイトトンボ |
自分はすぐに飽きてしまい、お二人が撮影している姿を見たり、タバコを一服したりしながら待っていたが、fieldさんが
「あれ、これがアカメじゃないの?」と言って、デジカメの液晶画面をTさんに見せていた。自分が撮影した写真のイトトンボがアカメイトトンボかもしれないんじゃないかという事だ。
Tさんがその画像を見て「え、どこで撮ったの??」「これアカメイトトンボかもしれない!」と興奮しだした。
fieldさんは「今一緒に撮っていたトンボだよ」と言った。Tさんとfieldさんが一緒に撮っていた同じ個体のイトトンボの写真だと言う。でもTさんは、「今一緒にとっていた奴は違うって」と言った。
「いやいや、一緒に撮っていた奴だって」とfieldさんは言い、Tさんは「違う」と言う。
面白そうだったので、fieldさんの画像を見せてもらった。
ん?その写真って、俺も一緒に撮っていたよ。確かに3人で撮影した奴だよ。
Tさんはまだ信じない。
それで、自分のカメラの画像も確認してみると、やっぱりTさんも一緒に撮っていたことがわかった。その証拠が下の写真。 |
一緒にイトトンボを撮影しているTさんの手が画像に入っていた。 |
Tさんはようやく信じてくれたようで、自分のカメラの画像を確認していた。
「もう帰ってもいいかも」と、Tさんはとても嬉しそう。だけど冷静に考えると、これが本当に探していたアカメイトトンボかどうか確信が持てないらしい。
なんでも、トンボは季節によって色が変わる。成熟度合いによって色が変わるので、今撮っていた写真のイトトンボがアカメイトトンボなのかどうか確信が無いということのようだ。
アカメイトトンボってどんなトンボなの?と聞いたら、目が赤いイトトンボだという返事。確かに名前の通りの特徴。
だけど、この目の色は成熟するほど赤くなるらしいが、画像で確認した所、確かに赤っぽいんだけど真っ赤ではないし、撮影している角度によってはあまり赤く見えない。
これはTさんが自宅に帰ってからじっくり調べてみるということになった。
トンボ以外にはオオジシギという、オーストラリアと北海道を行ったりきたりする鳥がいて、fieldさんが嬉しそうに撮影していた。私も便乗で撮影しようと思ったが、遠すぎてろくな写真が撮れなかった。 |
標識の上のオオジシギ
かなり大きくトリミングした写真。口開いてるね |
二人は見向きもしなかったが、シオカラトンボもいた。前回、シオカラトンボと思って撮ったのがシオヤトンボというやつだったので、これは完全にシオカラトンボだなと思ったのだが、シオカラトンボにも、オオシオカラトンボというやつと、ただのシオカラトンボがいると教えてもらった。写真のトンボはただのシオカラトンボだと言っていた。 |
シオカラトンボ。シオヤトンボとの違いは腹部の水色の所が先っちょまで水色か途中で黒くなっているか。これは途中で黒くなっているのでシオカラトンボらしい。 |
夕方近くまでここで撮影などをして。これからどうしようかと言う事になった。夜はアサギマダラ捕獲成功のお祝いをしようという事になっていたのだが、まだ時間は早い。ダメもとでリンゴシジミのいそうな場所を見に行く事にした。
1箇所目は全然ダメ。蝶がまったく飛んでいなかった。
そこで、可能性にかけてもう1箇所行く事にした。
リンゴシジミの食草であるウワミズザクラがたくさんある場所なのだが、ゲートがあって車では近づけない。しょうがないから歩いてそこに向かった。が、リンゴシジミの姿はなし。夕方も活発に飛ぶ蝶なのだが、雲が厚くなっていたのと、寒くなってきたせいもあるんだと思う。もしここにリンゴシジミが生息しているとしても見る事は出来ないような状況になっていた。
車に戻る途中、ポツリと来た。ポツリと来たと思ったらすぐに大粒の雨に変わり、スコールのような降り方に変わった。ボルネオ旅行でスコールにあった事を思い出しながらずぶ濡れになって車に戻った。
車に戻り、今夜の祝賀会の場所を決めて電話で予約。一度自宅に戻り着替えようと思ったのだが、予約の電話を切ってすぐにTさんが
「やばいかも」と言った。
「これダニ?」
見ると、膝の裏にダニらしきものがくっついていた。
fieldさんの会社がある場所が近かったのですぐにそこに向かい、よく見てみるとやっぱりダニだった。しかもかなり食い込んでいる。
自分に食いついていたならまずは自力で取ってみるんだけど
(自分はダニにやられたら必ず自分で取る。失敗した事はまだ無い)
さすがにこれはちょっと無理(自分の足じゃないし、食い込み具合もいいかんじ)
そこで、今日は土曜日と言うこともあり緊急当番医を探して電話して予約。fieldさんには一度自宅に戻り祝賀会を予約した場所で待ち合わせをするという事にして、私がTさんを病院まで連れて行った。受付の人が知り合いで驚いた。
結局、外科で皮膚を切ってダニを取ると言う処置を受けた。
そうしているうちに自分の濡れた服も乾いたし、祝賀会の予約時間にも遅れそうだったのでまっすぐ予約している店に向かう事にした。fieldさんに電話し、
「ちょっと遅れるかもしれないから先に行ってて」とお願い。
結局5分遅れくらいで到着した。
美味しい料理を食べ、最後のほうでは他の飲み会に行っていた妻も合流した。
「捕獲したアサギマダラはマーキングして明日同じ場所から放そうと思うけど、fieldさんも行く?」と聞くと、一緒に着いて来てくれると言ってもらった。
Tさんは今夜、道の駅で車中泊し、明日は羅臼へ向かうと言うことだったので、最後Tさんを道の駅までお送りして帰宅。すぐにアサギマダラにマーキングして寝た。
なんか、もの凄く充実していて楽しい1日だった。 |
|
|
|