アサギマダラのマーキング・放蝶
2013.6.23


 昨日は十勝で初めてアサギマダラを捕獲するという、とても記憶に残る一日になった。捕獲したアサギマダラは本日、捕獲場所と同じ場所で放すことにした。

 朝、fieldさんを迎えに行き、アサギマダラを捕獲した場所へ。もしかしたらまたアサギマダラがいるかもしれないと思い、とても注意深く歩いていたが、fieldさんが変なものを見つけた。それが下の写真。
 最初、長いものがぐにゃぐにゃしていて、一瞬でヘビだとわかったが、何でぐるぐる巻きになっているのかわからなかった。でも、すぐに何か獲物を捕まえているんだろうなとわかり観察すると、何やら足のようなものが見えた。

 その時点で私は「カエルだ」と言った。とりあえず写真を撮ったが、帰って確認してみると、ナカチョロだとわかった。

 ヘビはこいつを飲み込んだ。カエルだとばかり思っていたので、食べた時にヘビの胴体が膨らんでいないのが不思議で、「私たちが見ているのでどこかで吐き出したか?」と思っていたが、カナチョロなら細長いのでヘビの胴体が膨らまないのも納得。

 カナチョロを食べて満足したヘビはグルグル巻き状態を解除して普通のヘビの形になった。ヘビの事はあまりよく知らないけど、毒蛇ではないようだ。

食事をしてご満悦のヘビ

 マーキングしたアサギマダラを放す場所に来る前に面白い蛇の生態を観察できてよかった。

 ほどなく、昨日アサギマダラを採集した場所に到着した。

 三角紙に入っていたアサギマダラを取り出し、記念に撮影をしてからアサギマダラを放した。アサギマダラは驚くと空高く見えなくなるほど上空に飛んでいく性質があるそうなので、すぐに見えなくなるかなと思ったが、自分の手からアサギマダラを開放してから1秒位は死んだふりをしているような感じで私の手のひらで横たわっていた。

 一瞬、死んじゃったかと思って心配な気持ちになったが、アサギマダラはすぐに蘇った感じで私の手から飛び立った。ところが、空高く飛んだのではなく、私とfieldさんの近くをヒラヒラ〜と。草に止まりそうなしぐさも見せた。

 せっかくだからそういう様子も撮影しようかなと思ったが、カメラを取り出してレンズを向ける間に崖を降りていく感じでヒラヒラ飛んで消えていった。

放蝶直前に記念撮影

 このアサギマダラはこの後どこに飛んで行くんだろう?網走の方に行くのかな?稚内のほうに行くのかな?更に北まで飛んでいくのかな?それともこの辺をウロウロして死んでいくのかな?また数日したらどこかで誰かが採集してくれないかな〜と、思いを巡らせて飛んで行くアサギマダラを見送った。


 せっかく来たので、ちょっとアサギマダラを探しながら歩いてみようという事になり、ブラブラ歩いた。やっぱりそんなに蝶は飛んでいなかったけど、昨日よりはジョウザンシジミもたくさん見られた。

 昨日、ヒメウスバシロチョウを見つけた場所の近くでは、今度はただのウスバシロチョウを見ることが出来た。混生しているんだね。ウスバシロチョウとヒメウスバシロチョウのハイブリッドもいると聞いたことがある。そいつは頭の下の所がレモン色なんだって。

 普通に撮影しても面白くないので前にまわって撮影してみた。

羽を開いて一直線のウスバシロチョウ

 それほど面白い蝶も飛んでいないなぁ〜と思いながらアサギマダラも見つけられず、しょうがないのでジョウザンシジミでも撮影。今年何度見たかわからず、ルリシジミかツバメシジミと同類項みたいな感じになってきた。貴重な蝶なのに。

ジョウザンシジミ。黒っぽい

 久しぶりにカバイロシジミを見ることが出来た。カバイロシジミは昨年、最新のレッドリストが発表になり、その中の準絶滅危惧(Near threatened)に新規仲間入りを果たした。

カバイロシジミ

 林道上ではオオセンチコガネがうろちょろしていて、どうも飛びたいようで羽を開くのだがうまく飛べず、何度もチャレンジしていた。自分が見ている間には結局飛んでいく事は無かった。

羽を開いて飛びたいオオセンチコガネ

 車の場所まで戻ったが結局アサギマダラの姿は見られなかった。でも他の場所にいるかもしれないと思い、移動する事にした。ツツジがたくさん咲いている場所だ。

 先週来た時にはもう花も終わりかけていて、あまり期待できなかったが、黒いアゲハチョウがチラホラ飛んでいるのを見ることが出来た。カラスアゲハも飛んでいて、撮影することが出来た。

カラスアゲハ

 また、付近の林道を歩いてみた。フキの葉っぱが切られた場所があり、そこにカナチョロがいた。今日はヘビに食べられているカナチョロから始まって、ここまで何度もカナチョロを見た。実は私はカナチョロ大好き。何度か飼育した事もある。今日ももって帰りたくなったが、入れ物がないので諦めた。

 ちなみに、カナチョロとは、正式にはニホンカナヘビと言うらしい。この外に、尻尾のほうが色鮮やかなニホントカゲというのもいる。そして北海道ではこのほかに、道北限定でコモチカナヘビというのがいるそうだ。

カナチョロ(ニホンカナヘビ)

 アサギマダラも全然いないし、他の蝶もあまり見られない。林道を歩いているが、なんかただ散歩しているだけみたいな感じになってきた。それはそれでいいんだけど、特に面白いと言うわけではないので、普段ならあまり見向きもしない花などを見たりして歩いた。あまり花には詳しくないが、fieldさんの解説付き。
 ただ、絶対に名前とか覚えきれない。

コクワだっけなか?

 なんか、変な色のバッタもいた。フキバッタか何かよくわからないけど、顔が赤くて酔っ払ってるみたい。

バッタ

 プラプラ歩いていると、イラクサの裏にイモムシ発見。写真に撮ろうと思ったけど裏にいるのでうまく撮れない。仕方ないので葉っぱをもいで、裏返して撮影。見た瞬間にヒョウモンチョウの仲間の幼虫かなと思ったが、イラクサを食草とはしていないだろうからと、この時点では何の幼虫かよくわからなかった。帰ってきてから調べたら、どうもミドリヒョウモンの幼虫に似ている事がわかった。何で食草ではない草にいたのか、よくわからないけど。

ミドリヒョウモンと思われる幼虫。持ち帰ったら妻に怒られそうな気持ち悪さ

 車に戻り、さてこれからどうしようかという話になった。時間的にはもう少し遊べそうな感じ。fieldさんが、自分たちがまだ行った事の無い近場の展望台に行ってみないかというので、行ってみる事にした。

 そこに向かう途中、運転していて、ふと自分の身体を見たら、ダニ発見!昨日Tさんもダニにやられて大変な目にあったので、すぐに捨てようと思ったのだが、よく見ると、5,6匹のダニが自分に付いているのがわかった。もうどうしようもないので、一旦車を止めて、ダニチェック。とりあえず見える範囲のダニを全部除去した。
(その後更に3,4匹見つけ、合計で10匹以上のダニがついていた。どこで付いたのかな?)

 ダニを除去し、気を取り直して展望台の所に向かった。
 付近にはちょっとしたダムとか公園とかもあるが、今後の蝶の撮影などにも良さそうな場所などもあった。
展望台の上で写真を撮るfieldさん。この展望台、かなり見晴らしがいい。だけど、車を止めてからこの展望台の上まで、標高にして50m以上登らなければならず、けっこう疲れた。そして、この展望台の上から下を見ると、かなり怖かった。(高所恐怖症で)

 この展望台付近のエリア。実は朝、アサギマダラを放した林道に結構近い。最後にもう一度立ち寄ってから帰ろうかとfieldさんに提案して、向かった。

 アサギマダラの姿は無かった。

 1回目は目撃、2回目は捕獲、そして今日は3回目ということで、撮影できるか、交尾している所を目撃か、幼虫発見を期待していたが、ボウズだった。まぁ、そんなにうまくいかないか・・。

 ただ、近いエリアの中で目撃、捕獲というのを2週間で達成した事を考えると、かなりの数のアサギマダラが飛んで来ていると考えるのが普通かなと思う。まさか、2,3頭しか飛んで来ていなかったアサギマダラを運よく目撃したり捕獲できたなんて事は、確率から言ってもかなり低いだろうから。

 昨日アサギマダラを捕獲した林道にだって、実はたくさんのアサギマダラが来ていたと思う。たまたま来た1頭を運よく偶然見つけられたなんて考えられない。

 だとすると、メスのアサギマダラも来ていて、卵を産んでいるかもしれない。自分が所属している道南虫の会では、函館でアサギマダラの幼虫発見のニュースも届いている。

シロオビヒメヒカゲが交尾していた

 今日はfieldさんと二人で行動していたが、私にばかりダニが付いていた。最後の最後、fieldさんにも1匹ダニが付いていたので撮影させてもらった。山に行ってこいつに喰い付かれたら病院に行きましょう。