帯広近郊の蝶、大満喫!!
2013.8.4

 昨日8月3日は層雲峡にオオイチモンジのメスを探しに行った。なんとか出会えた事は出会えたが、満足のいく写真は撮れなかったし、蝶の数自体がかなり少なく、楽しかったけどちょっとガッカリしていた。

 そして昨日、帯広に戻る途中でfieldさんと明日(8月4日)はどうしようか話し合った。
 数年前に、ミヤマカラスアゲハの集団吸水を見た帯広近郊の林道、昨年メスアカミドリシジミのメスを撮影したり採集した林道、春にアサギマダラを捕獲した林道など、帯広近郊の3箇所を中心に巡ってみたいと言うことをfieldさんに提案し、賛同してもらっていた。
 層雲峡は蝶が少なかったので、ミヤマカラスアゲハ夏型の集団吸水や、たむろしているコムラサキなど、とにかくたくさんの蝶が見たいという気持ちになっていた。数週間前から十勝の蝶は爆発的に増えている。見られる自信もあった。

 今日は帯広近郊の近場ということもあり、8時半にfieldさんのお宅に迎えに行った。天候は曇りだったが晴れる予報なのであまり心配しなかった。
 fieldさん宅に到着すると、釣竿の準備をしてくれていた。実は昨日山に向かう途中、私が「魚釣りをして刺身を食べたい」と言っていて、コンビニでナイフと醤油を買う計画をしていたのだが思いっきり忘れてしまった。結局魚は釣れなかったのだが、その事をfieldさんは覚えていてくれたようだ。
 「刺身で食べるなら30cm以上だな」と、fieldさんは言った。そのくらいの大きさでないと刺身としてうまく捌けないらしい。

 最初に向かったのは、数年前にミヤマカラスアゲハの集団吸水を見た場所付近。到着する頃には雲が取れて良い天気になっていた。

 林道入り口より少し前の舗装道路の時点で蝶の数がかなり多いことがわかった。ミヤマカラスアゲハも多数飛んでいる。やはり十勝では蝶の数が多い状態が継続していると思いとても嬉しくなった。林道入り口まででも昨日層雲峡で見たi一日の蝶の数より多くの蝶を見ることが出来た。

 目的としていたポイントに入る前、ちょっと違う林道に立ち寄る事にした。この林道も数週間前に来たときに蝶が多く、今日もきっとたくさんの蝶が見られるだろうと期待した。そして林道に入ってすぐの場所でいきなりコムラサキの集団が迎えてくれた。

コムラサキだらけ

 蝶の種類としてはコムラサキとシータテハ位だったが、それでも多数の蝶を見ると嬉しくなる。更に少し奥に進むとまた蝶の多い場所があり、そこでは大量のコムラサキだけではなく、ミヤマカラスアゲハやエゾスジグロシロチョウなども多数見ることが出来た。多数と言うより大量である。
 道路に降りて来ていない蝶達も多く、キラキラ光るミドリシジミ類やヒョウモン類なども多い。
 自分は多数の蝶を見ると嬉しくなるのだが、これだけ大量の蝶を見るのはあまり経験がない。昨日、層雲峡で蝶がほとんど見れなかった反動もあり、とても感激した。

 我々が撮影しながら蝶に近づくと蝶は一斉に飛び上がり、まさに乱舞状態になる。写真で撮ってもなかなか実感の湧くものにならないのが残念だったが、とにかく蝶だらけ。車で移動する時にも蝶を踏み潰さないようにゆっくりゆっくり車を動かした。

 これは幸先が良すぎる。このあと、どんな光景に出会えるのか、とてもワクワクして本命の林道に向かった。

 本命の林道でも車の中から見ただけでも蝶が多いことが分かる。しかし、最初に出てきた集団は蝶ではなくエゾライチョウの親子であった。

エゾライチョウの親子

 親子と言っても、子供はもう親とそんなに変わらないくらい大きくなっている。画像では全部で5羽写っているが、実際は7羽くらいいた。こちらを気にしながらも一気に逃げるわけでもなく、私たちとの距離を一定に保ちながらヒョコヒョコ歩いていた。エゾライチョウ特有の行動だ。写真を撮りながら車をゆっくり動かしてエゾライチョウを追いながら撮影。そのうちエゾライチョウは林道の脇に消えていった。

 本命の林道の本命のポイントに行く前に、寄ってみたい場所があった。車を止めて降りようとドアを開けると、地面にミドリシジミ類のオスが止まっているのが見えた。

ミドリシジミ類のオス。画面の上半分が黒いのは私の車の影

 このミドリシジミ類のオス、fieldさんと「アイノミドリシジミかねぇ〜」と話していたのだが、私としては何ミドリシジミなのか全然分からない。相変わらすミドリシジミ類の見分けは苦手だ。ただ、生態としてアイノミドリシジミは地面によく降りてくるらしい。

 昨日の層雲峡でも見かけたが、今日もメスグロヒョウモンのメスを見かけた。高校時代の道南ではほとんど見ることが出来なかったし、岩見沢にいた5年半、十勝に来てからの10年ほどもほとんど見る事が無かった。おととしくらいからは普通に見る事が出来る。道南でも普通種になりつつあるんだろうか・・?

メスグロヒョウモンのメス

 それからこれも昨年に続き見る事が出来た。ウラキンシジミだ。昨年初めてウラキンシジミを見る事が出来て喜んだのだが、今年も見られて嬉しかった。

ウラキンシジミ

 ミドリシジミ類はけっこう多く飛んでいて、キラキラして綺麗だった。普段林道上に降りてくる姿を見る事はあまりないのだが、今日はたくさんのミドリシジミ類が地面に降りている様子を観察できた。コムラサキなどに釣られて降りてきてるのかな??ただ、ミドリシジミ類はまだオスが多く、メスが多くなるのはこれからなのかもしれない。

 今年は大発生という言葉では片付けられないくらいのコムラサキであるが、しっかり観察するとかなり綺麗な蝶である。ただ、あまりに大量にいるのでじっくり観察する気にならない。普段の年でも普通種なのだが、紫色に光る翅は美しい。
 見る角度により紫色に見えたり、紫色が消えたりする。下の2枚の写真は同じ個体であるが、左は紫色に見えていて、少し翅を閉じた右の写真は紫色に見えない。構造色と呼ばれる特殊な色で、特定の色だけ反射させるリンプンがこのように紫に見えたり見えなかったりする鍵である。
 同じコムラサキでも角度により色が変わる

 この構造色と呼ばれる性質を持つリンプンはコムラサキだけでなくミドリシジミ類のオスなどでも見られる。下の2枚の写真は同じ個体ではないがどちらもミドリシジミ類のオスである。構造色は光の反射が関係しているので、翅の裏側から見れば緑には見えない。右の写真の蝶は翅に光を受けてちょっと透けて見えるが、緑色はまったく無い。でも翅を上から見ればキラキラ緑色に光って見えるのだ。
ミドリシジミ類の構造色

 ここの場所でもたくさんの蝶がいて、いくらでも遊べそうだったが、時間は限られているので本命のポイントに向かう事にした。今日のこれまでの感じから、絶対にミヤマカラスアゲハが集団吸水している自信があったので、fieldさんに「50頭はいると思う!」と大きな事を言ってしまった。

 本命ポイント前で車を止め、ちょっとだけ歩いてそこに向かった。コムラサキがまたごっちゃりいた。肝心のミヤマカラスアゲハだが、数箇所で集団吸水をしていた。が、1箇所で50頭という大集団ではなく、3頭、5頭、10頭位の小集団〜中集団位で集団吸水していた。全部あわせて30頭位だっただろうか?

 「50頭はいると思う!」と言ったが、ちょっと言いすぎだったようだ。

手前はほぼコムラサキ、奥に少しミヤマカラスアゲハ

 ちょっとずつ進みながらミヤマカラスアゲハを撮影した。気付かれて逃げられないようにそーっと。奥のほうに10頭以上の集団がいたのだが、近づく前に逃げられた。一斉に飛び上がったミヤマカラスアゲハの光景はとても綺麗だった。
 飛び立ったミヤマカラスアゲハはまた戻ってくるんじゃないかと思い少し待ったが、あまり戻ってこなかった。

 林道脇にはこの時期としては珍しいヒメウスバシロチョウが花に吸蜜に来ていた。それほどボロの感じもしなかったが、この時期にこれだけ綺麗な個体を見られるのはちょっと不思議である。
 

ヒメウスバシロチョウ
 
 それなりに写真を撮った。ここでももっと遊んでいたかったが、次の場所に移動しようかと言う事になり車に戻る事にした。そうすると車の近くの場所で10頭位のミヤマカラスアゲハの集団吸水があった。さっき見た時は3頭位だったのに。きっと先ほど飛ばしてしまった10頭位のミヤマカラスアゲハは元の場所に戻らずにこちらに移動してきたのかもしれないなと思ったが、個体数が多かったので定かではない。

ミヤマカラスアゲハ9頭の集団吸水
何故かみんな同じ方向

 時間がなくなるので次の林道に移る事にした。ちょっと急ぎめで車を走らせた。

 次の林道に行く前に小さな橋を渡る。この前fieldさんとここに来た時、橋の下の川原にたくさんのエゾスジグロシロチョウの集団吸水を見る事が出来たので、今日もどうかな?と思いのぞいて見ると、そこにはたくさんのミヤマカラスアゲハが集団吸水している姿が見えた。
 車を降りて写真撮影をした。50頭は軽く超えていると思われる。近くにも他のミヤマカラスアゲハ小集団や、エゾスジグロシロチョウの集団吸水も見られた。川原まで降りていきたかったが、けっこう深い谷になっているし、降りていく道も無さそうなので諦めた。
 東南アジアなどで撮影された蝶の写真なんかを見ると、川原で集団吸水しているアカエリトリバネアゲハなどの写真があるが、これだけのミヤマカラスアゲハやエゾスジグロシロチョウの集団吸水なら東南アジアに負けないくらいだと思った。
 こんな光景が自宅から車で1時間かからない場所で見られる事に幸せを感じた。
 ちょっと不思議なのは、数種類の蝶が集団吸水していると、きっちり場所を分け合っているのは何でだろう?仲良く入り乱れて水を吸っている様子はあまり見られない。

 ミヤマカラスアゲハに関しては、今年は春型はあまり見る事が出来なかったが、夏型はかなりの数である。
50頭以上の集団吸水

橋からかなり遠いので、精一杯望遠レンズで撮影して相当にトリミング

 林道に入っても蝶の数は多く、運転していても視界から蝶がいなくなることがない。きっと今日はたくさんの蝶を車で踏んづけてしまっている気がする。
 天候は晴れから曇りに代わって来たが、それでも蝶の姿はなくならない。

 以前、大量のコムラサキがいて驚かされた砂防ダムの所に今日も立ち寄ってみた。予想はしていたが今日も大量のコムラサキが地面に止まっていた。
 付近をうろついて他の蝶がいないか探したら、1頭だけだがエルタテハを見つけることが出来た。

砂防ダムの提体に止まっていたエルタテハ

 砂防ダムの提体にはコムラサキ、エルタテハ、サカハチ、ミドリヒョウモンなどが止まっていた。以前ここに来た時も感じたのだが、どうもオオイチモンジを含め、タテハチョウ科の蝶の中にはコンクリートが好きな種類が多いような気がする。コンクリートは当然固まっているので吸えるわけではないんだけど、コンクリートの何の成分に惹きつけられるのか?よくわからない。

ミドリヒョウモン

 更に車を進め、終点近くまで来るとヒヨドリバナにたくさんの蝶が来ていた。ベニヒカゲも来ていた。運転席に座ったまま撮影することが出来た。ベニヒカゲは採集したいと思うくらい綺麗な個体が多く、まだ発生初期の感じだ。今日は採集は一頭もしなかったが、3,4頭採集しておけばよかったかと、ちょっと後悔。

ベニヒカゲ

 林道の終点に到着し車を降りた。天気は完全に曇り。蝶の数は少なくはないのだが、先ほどのコムラサキや、ミヤマカラスアゲハの集団吸水など大量の蝶を見た後ではなんだか物足りなさを感じた。大きなカナチョロがこっちを見ていた。

大きなカナチョロ。お腹もパンパン。たくさん食べてるのかな?

 ここで、「今日見られる蝶、全種類を撮影してみよう」と思いつき、今日まだ撮影していなかった蝶を片っ端から撮影した。天候が曇りだと晴れの時よりコントラストが強くなくて撮影しやすい。見られるチョウ全種と思ったが、結局アカマダラ、コヒオドシ、ウラゴマダラシジミ、キアゲハ、ヒメキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメと、結構な種類を撮影出来なかった。

 ちなみに今日見られたチョウは
 アゲハチョウ科→ミヤマカラスアゲハ、キアゲハ、ヒメウスバシロチョウ

 シロチョウ科→エゾスジグロシロチョウ

 シジミチョウ科→ウラゴマダラシジミ、アカシジミ、ツバメシジミ、ウラキンシジミ、ミドリシジミ類

 タテハチョウ科→アカマダラ、サカハチ、コヒョウモン、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンスジヒョウモン、ギンボシヒョウモン、コムラサキ、シータテハ、エルタテハ、コヒオドシ、クジャクチョウ

ジャノメチョウ科→ヒメキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、ベニヒカゲ

セセリチョウ科→オオチャバネセセリ、コキマダラセセリ、キバネセセリ

オオチャバネセセリ

キバネセセリ

サカハチ(夏型)

エゾスジグロシロチョウ(夏型)
ウラギンスジヒョウモン

クジャクチョウ
新鮮個体は鮮やかで息を呑むほど綺麗

クロヒカゲのメス

 

名前は分からないけどカミキリムシみたいのが車にくっついていた。

 いよいよ夏本番と言うか、シーズン終盤と言うか、この時期になると嫌な奴が出てくる。そう、でかいアブだ。ウシアブというらしいが、こいつがブンブン飛んで来て私の周りをまわり、知らないうちに体のどこかに止まってチクッと口を刺してくる。追い払っても追い払ってもブンブン飛んで来るので、こいつが出てくる季節になると長袖を着たくなる。でも暑いので半袖がいい。今日は頭に何度も止まられたりもしたが、数ヶ所刺された。

ウシアブ

 たくさん撮影して満足も出来た。最後に計画していた林道もあったのだが、とりあえず今いる林道を戻り、途中、川に降りて釣りをしようという事になった。以前fieldさんが大物を数匹釣ったポイントが近くにあったのだ。

 車を釣りポイント付近に止めて川に下りた。大物を釣って刺身にして食べたい。例のごとくfieldさんに竿を準備してもらって釣り開始。fieldさんより先に釣る作戦だ。
 1投目でいきなり当たりが!しかも、魚がルアーに食いつく所が見えた。
 「来た!」と思った瞬間、ドンと当たりが来たのだが、針にかかる事は無く逃げられてしまった。残念。

 その後近くの落ち込みや深みがありそうな場所にルアーを投げるがなかなかヒットしない。単独で上流に向かった。
 川の淵を歩きながら上流に向かうと、いかにも魚がいそうな大き目の溜まりがあった。近くまで行きたいがちょっと歩きにくそう。でもなんとかそこにルアーを投げられる場所まで行こうと進んでいた時、足を滑らせて川に落っこちてしまった。

 ズルッと滑って一気にドボン!
 胴長など履いていなかったので、胸の辺りまで浸ってしまいずぶ濡れ。やっちまったぁ〜・・・。

 しかし、ここまで思いっきり濡れてしまったらもうどうしようもないので、川の中をジャブジャブ歩いてルアーを投げられるような所までいき、狙い済ましてルアーを投げると、いきなりヒットして虹鱒が釣れた。15cm位の小さい魚だった。

 川の水は思いのほか冷たくなく、その後もずぶ濡れのまま川の中を歩いたりしてルアーを投げる。溜まりに流れ込む水を見ていると、結構な数の魚が行き来しているのが見えた。でも、それ以上魚を釣り上げる事は出来なかった。

 fieldさんがいる所まで戻ると、fieldさんも数匹の魚を釣っていた。でも、刺身に出来そうな大きさ(30mc)には到達しておらず、残念ながらニジマスの刺身にはありつけなかった。

 ここの場所では、小さな小バエのような虫で、何故か目に飛び込んでくるやつがけっこういた。これまでも小バエみたいのが目に飛び込んできた経験は何度かあったけど、こんなにたくさん目に小バエが飛び込んでくるのは初めてだった。当然目に飛び込まれたら痛い。目をこすったりしながら飛び込んだ小バエを排出するんだけど、その都度目をこすったりするから涙がたくさん出た。すると余計に小バエが目に飛び込んでくるようで、3匹位は目に飛び込まれた。未遂に終わった小バエも含めると、10匹位に嫌な思いをさせられた。
 帰宅後に調べたのだが、これはメマトイ(眼纏)と呼ばれる小バエのようで、メマトイというのは種名ではなく、目にまとわり付く小バエのような虫の総称のようである。十数種類いるらしい。涙の成分が好きなようだと書かれていた。だから、1匹目に入られて涙が出たら、余計にたくさん寄って来る様だ。

 車に戻り、服を脱いだ。ズボンも脱いだ。靴も脱いだ。幸い、上着だけ着替えを持ってきていたので着替え、靴も2足ほど持ってきたので履き替えた。だが、パンツとズボンは持ってきていなかった。

 このまま濡れたパンツで運転して帰ったら、運転席の座席が濡れてしまい妻に怒られそうだったので、たまたま車に入れていたゴザみたいなものを運転席に敷いて上着+パンツ一丁で帰る事にした。本来ならもうひとつ行きたい林道があったのだが、時間も3時位になっていたので、諦める事にした。

 

車の近くにいたクワガタのメス

この格好でスピード違反とかで警察に捕まったらどうなるんだろう?などと話しながらfieldさんを送った。

 今日は珍しい蝶としてはウラキンシジミ位だったような気もするが、自分の大好きな集団吸水などを思う存分満喫することが出来たし、昨日とは比べ物にならないくらい多くの蝶を見ることが出来、かなり満足だった。やっぱりこうでなくっちゃ!十勝恐るべしと感じた一日だった。

 帰宅後、まだ目がゴロゴロするので妻に見てもらったら、しっかりと1匹小バエが目の中に入っていた。

 昨日と比べて撮影枚数も4倍位の240枚だった。