雨の林道と近所のオナガシジミ
2013.8.24

 今週は超多忙な1週間となり、毎日12時間以上の勤務となった。金曜日、自宅に戻った時にはヘトヘトになっていた。肉体的に疲れたというよりも精神的に疲れたほうが大きく、肉体的ではないかもしれないが、目と肩こりがけっこう辛い。

 そんな事もあり、今日(土曜日)は目が覚めるまで寝ていて、家でゆっくり休もうかと思っていた。天気も悪いし。

 しかし、何故か朝起きてしまった。自分で起きたのか妻に起こされたのかはよくわからないが、とにかく起きてしまった。でも眠い。

 妻は休日出勤で8時頃出て行った。自分はもう一休みしようとしたのだが、やっぱり肉体的な疲れはあまり無い様で、頭は疲れているけど体は元気そうだ。ならば家でゴロゴロしているのももったいない。

 空はどんよりと曇っていて、午後からは雨の予報。山に入ってもいいこと無いかと思ったのだが、この前函館でアサギマダラを観察した時、霧が立ち込めそうな感じでもヒヨドリバナで吸蜜している姿を見ているので、十勝でももしかしたら(天候が悪くても)見られるかもと思い、芽室町の林道に行く事にした。

 芽室町の林道に行こうと思ったのには理由がある。
 まず、十勝近郊で成育し羽化したアサギマダラがいたとして、そいつはきっと高い山方面に行くのではないか?そうすると、日勝峠の頂上や狩勝峠、三国峠なんかも候補に挙がると思う。しかし、出発が遅れたことと、天候がイマイチで、遠くまでの遠征はちょっとリスキー。
 そこで、今年の春に目撃情報のあった芽室が候補になった。比較的近いし、標高もある程度高い。そして、この林道にはアサギマダラが大好きなヒヨドリバナがたくさん咲いている。

 家を出た瞬間もう霧雨のような感じで細かい雨が降っている。でも芽室町なら天候が違うかもしれないと思い出発した。

 林道では最初、雨は降っていなかったが厚い雲に覆われていて薄暗い。いつも山に来る時は晴れている事がほとんどなので、ちょっと薄気味悪い感じだ。やはり蝶の数はかなり少ないが、スジグロシロチョウと飛び古したヒョウモン類は少し見かける。

 昨日、職場で行った健康診断の結果が届き、血液検査なんかは正常値ではあるもののかなり上限に近いものなどもあり(血糖値とか)、ちょっと運動しなきゃと思っていたので、今日は林道を散歩がてら歩こうと思っていたのだが、いつ雨が降り出すかわからないような感じだったので、結局歩くのはやめて車で流す事にした。

 ヒヨドリバナが多い場所では車を止めて、もしかしたらアサギマダラが吸蜜に来ていないかと少しだけ期待したが、今日はアサギマダラを見つけることが出来なかった。函館で「ヒデトシ」とマーキングしたアサギマダラを自分自身で再捕獲したら奇跡だと思ったんだけど。

 ただ、アサギマダラの写真に付いては函館でお腹いっぱいになっている感じもある。十勝でのアサギマダラと言うとまたその希少価値など意味合いは違って来るんだろうけど、まぁ同じ北海道だし。
 でも今年の目標の一つにはなっているわけで、十勝で育ったと思われる綺麗なアサギマダラには会ってみたい。

 アサギマダラが好きなヒヨドリバナが多い場所では車から降りて蝶の観察もした。しかし、雨が降り出してきた。

雨粒が付いた葉っぱとスジグロシロチョウ

 雨は小雨。降ったり止んだりの繰り返し。ワイパーをかけながら林道を進む。

 時々車から降りて花に来る蝶を観察。今日は風が全然吹いていなく、セミも鳴いていない。黙って立っていると何の音も聞こえない。30mほど先の大きな木から葉っぱが落ちてきて下草に落ちる瞬間の「カサッ」って音が聞こえるくらい静寂だ。こんな経験あまり無いくらいで面白かったが、やっぱり薄気味悪い。
 車を走らせていても、ライトをつけたくなるくらい、場所によっては暗かった。
 そんな感じで雨が降り暗い林道を車で流していると眠くなってきた。どこかで車を止めて昼寝でもしようかなと思ったが、薄気味悪いのでやめた。

 ある場所で黄色い花(多分アワダチソウかオオアワダチソウ)に4頭位のヒョウモンが吸蜜にきていた。メスグロヒョウモンのメスも混じっていた。
 この時期になるとさすがにメスグロヒョウモンのメスもかすれているし、他のヒョウモン類もボロボロになってきているなと思いながら車の中から観察していると、いきなり雨が強くなった。
 ザーザー降りの雨になったが、今吸蜜に来ているヒョウモン類はどうするのかな?と思い、そのまま観察していた。

 数頭は飛んでどこかに行った。数頭は雨など気にせずそのまま吸蜜を続けていた。数頭は飛んだが隣の花に止まって急蜜を続けた。
 全部の蝶があわててどっかに雨宿りするのかなと予想していたので、かなり意外な結果だった。蝶は雨粒をそんなに嫌っていないのかもしれない。

 そのうち(2,3分)で雨は止んだ。

 今日はとにかく天候が不安定で、薄日が差し込む瞬間もある。ヒヨドリバナはもう枯れているものもあれば、まだしっかり咲いているものもあり、咲いているものには蝶も吸蜜に来ていた。

ヒヨドリバナで吸密するヒメキマダラヒカゲ

 しかし、どちらかというと、ヒヨドリバナよりは黄色いアワダチソウのほうにたくさんの蝶が来ているような印象を受けた。あとアザミみたいなピンクの濃い花。函館で観察したアサギマダラは圧倒的にヒヨドリバナで吸蜜していたので、アサギマダラと他の蝶は好みが違うのかもしれない。

 ミドリシジミのメスも見ることが出来たが、もうかなりボロ。蝶の季節も終わりに近づいていると実感させられた。
 例年ならもうこの時期は蝶の観察に山に来ることがほとんど無い。アサギマダラがいるかもという思いで山に来たが、普段感じることの出来ない雰囲気を感じられて、薄気味悪いけど楽しかった。

ミドリシジミ類のメス

裏面(上の写真と同じ個体)

なんかの甲虫。キノコ食べてるの??

アザミに来たミドリヒョウモン。薄暗くて背景が真っ黒になっちゃった。

 珍しい蝶も見れなかったし、数もかなり少なかったけど、遊びでヒョウモンの顔アップを撮影してみた。これまでにも何度かヒョウモンの顔アップ写真は撮ったことがあるが、やっぱり可愛くない顔だ。

ヒョウモンの顔アップ

 ヒメキマダラヒカゲの顔アップも撮影してみた。ヒョウモン同様特に可愛くもなかった。ヒメというよりババという感じ。名前を変えてババキマダラヒカゲにしたほうがいいんじゃない?

ババキマダラヒカゲ?

 林道を戻り、舗装道路に出た所でスジグロシロチョウが3頭地面にいた。鳥のうん子に来ている様だった。たまたま飛んでいるやつの顔にピントが合ってちょっと嬉しかった。

スジグロシロチョウ

 ちなみに今回、スジグロシロチョウと表記している蝶はもしかしたらエゾスジグロシロチョウかもしれない。綺麗な個体が多かったので、エゾスジグロシロチョウの3化かも。
 あまり興味が無いのでどっちでもいいんだけど。

 このまま帰ろうかと思ったのだが、撮れ高が少なく、HPで紹介してもかなり面白くないだろうと思い、最後に去年見つけた自宅近くのオナガシジミを見に行く事にした。かなり交通量の多い道路脇のオニグルミがある場所だ。

 2分ほど観察するとオナガシジミを見つけることが出来た。今年も元気に発生しているなと嬉しくなった。ただ、時期は少し遅かったみたい。

オナガシジミ

 数もそこそこいて、10頭位は見かけた。喧嘩してクルクル周りながら飛んでいるやつもいたり。

 だけど、交通量のかなり多い道路脇で、自分はカメラを構え何か撮影している怪しい人になるわけで、車で通っていった人たちには盗撮している奴に見えたかもしれない。近くに小中学校もあるので、望遠レンズを構えて子供たちを撮っていると勘違いされて通報されないかちょっと心配だった。まさか小さなシジミチョウを撮影しているとは分からないだろうから。
(昨年も同じような事を感じながら撮影していた)

もうボロのオナガシジミ

 疲れていたのでゆっくり休もうか悩んだが、天候が悪くてもやっぱり山に行って蝶と遊ぶことが出来ると癒される感じがした。雨の林道は薄気味悪かったけど。

 今シーズンも終わりに近づき、目標としている十勝のアサギマダラに出会う事は出来るだろうか?