ヒメチャマダラセセリ
Pyrgus malvae
2012.05 様似町(アポイ)
成虫

2012.05 様似町(アポイ)
成虫
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 北海道で見られる天然記念物の蝶5種類のうちの1種です。しかも、他の4種は大雪山で一度に見ることも出来ますが、このヒメチャマダラセセリは日高の様似町、アポイ岳でしか見ることが出来ません。
 この蝶を見るためにはアポイ岳に登山するしかありません。7合目付近から馬の背に出て、頂上付近までで見ることが出来ます。晴れて風の無い状態が観察のベストのようです。

 このアポイ岳は登山としては初心者でも登れる標高800mほどの山と紹介されていますが、私にとってはなかなか大変な山でした。特に5合目から7合目まではけっこう急な登りで、5合目の休憩小屋から7合目付近を見たときに諦めそうになりましたが、登山開始から2時間位で7合目まで行くことができました。

 2012年5月、初めてアポイ岳に行き、なんとか7合目まで登りきってヒメチャマダラセセリに出会うことが出来ましたが、見た目はチャマダラセセリと大して変わらず、天然記念物の蝶を見たという感動はあまりありませんでした。同じく天然記念物のダイセツタカネヒカゲを見たときもあまりの地味さに感動しませんでしたが、それに次ぐ無感動でした。(ヒメチャマダラセセリ好きの方ごめんなさい)

 見た目は似ていますが、飛び方はあまり似ておらず、チャマダラセセリのように俊敏に飛び回ると言うよりは近場をチョロチョロ飛んでいるという印象でした。そう言えばウスバキチョウの飛び方もウスバシロチョウと随分違うなと感じましたが、姿は似ていても生態は違うものなのですね。

 天然記念物に指定されているのでもちろん採集する事は出来ませんし、そんな事をしたら捕まります。それでも自然環境の変化により馬の背にハイマツが増えてきてヒメチャマダラセセリの生息環境を圧迫しているそうです。数も徐々に減ってきているようです。

 大抵の登山者には蛾にしか思われていないような気もしますが、そんな登山者たちの脇でひっそりと生き延びているヒメチャマダラセセリを応援したいと思います。


分布:アポイ岳

発生:5月中旬ころから6月中旬位に見られます。

食草:エゾキジムシロ キンロバイ

越冬:蛹