ジョウザンシジミ
Scolitantides orion jezoensis
2003.05 中札内村
成虫(春型)

2005.05 帯広市
成虫(春型
2009.05 中札内産
卵(飼育)
2009.05 中札内産
若齢幼虫(飼育)
2012.05 中札内村
交尾
2009.06 中札内産
成虫(夏型)

2010.07 中札内産
蛹(飼育)
コメント

 北海道だけにしか棲息していないこのジョウザンシジミ。とても小さなシジミチョウです。幼虫の食草であるホソバキリンソウ、キリンソウへの依存度が高く、成虫になっても食草の周りをあまり離れません。幼虫はこの植物を食べて成長し、成虫はこの植物の花の蜜を吸います。食草が岩場に生える性質があることから、このジョウザンシジミも岩場のある場所によく見られますが、食草がある岩場にしかおらず、どこの岩場でも見ることは出来ません。このような特性から、発生地も極めて局地的と考えられ、ある地域の岩場に食草が無くなればジョウザンシジミもほとんど全滅してしまうと考えられます。

 しかし近年の私の観察では、帯広近辺にはさまざまな場所でジョウザンシジミを確認しています。

 本州の人たちには憧れのジョウザンシジミも、十勝では普通種のような存在になりつつあるようです。何かの原因で生息数が増えてきているのかもしれません。

 名前の「ジョウザン」という部分はこの蝶が最初に発見された地「定山渓」からきています。また、学名の中に「orion」とありますが、これは星座のオリオン座からきており、オリオンというのは、豹の毛皮を着た狩人の名前だそうです。


分布:国内では北海道のみです。道央から道東にかけて分布し、道北や道南にはいませんが、棲息地域でも局地的な傾向があるようです。国外ではヨーロッパ、ロシア、中国、朝鮮半島あたりに棲息しています。

発生:年1回か2回。普通は1回ですが気候の条件(暖かいなど)によっては2回になります。普通は4月の下旬頃から6月頃に見られますが、2回目の発生があるときには8月の中旬頃になります。ただし、発生はダラダラしていて、夏型が見られる頃まで春型が見られるときもあります。遅くに発生する春型は夏型みたいに黒っぽい模様で、春型なんだか夏型なんだか区別が出来ないこともあります。

 飼育により、春型から育った幼虫が蛹になった時、夏型になるものと、そのまま年を越して来年の春型になるものが半々くらいでした。

食草:キリンソウ、ホソバキリンソウ

越冬:蛹