クモマベニヒカゲ
Erebia ligea
2004.07 上士幌町
成虫

2002.07 上士幌町
成虫
2002.07 上士幌町
成虫
コメント

 北海道内では大雪山系のごく一部と利尻島にしかいないというレアな蝶です。しかも発生時期も短いし、車で観察できるポイントは少なく、なかなかお目にかかれません。クモマベニヒカゲはベニヒカゲと似ていますが、羽の模様での決定的違いは裏面の白い筋のような模様がベニヒカゲには無い事。オレンジ色の模様が、クモマベニヒカゲは後ろの羽にまではっきりとあらわれている事です。さらに生態の違いとして、このクモマベニヒカゲは成虫になるのに2年かかります。また、ベニヒカゲよりも発生が少し早く、クモマベニヒカゲの発生が終わりを迎える頃にベニヒカゲが発生します。このように、クモマベニヒカゲはベニヒカゲとよく似ていますが、ある面では似ていないとも言えると思います。

 発生地ではたくさんのクモマベニヒカゲが見られますが、北海道で考えると極めて局地的な分布のため、保護していく事が必要な気がします。


分布:北海道では大雪山系の一部と利尻島の高地。北海道以外では中部山岳地帯に棲息しています。

発生:年一回7月中旬くらいから8月上旬くらいに見られます。

食草:イワノガリヤス、ヒメノガリヤス、オニノガリヤス、ミヤマクロスゲ、カワラスゲ、ホンモンジスゲ、リシリスゲなど。

越冬:1年目卵、2年目幼虫