ヒメシロチョウの採集と知らない林道
2016.5.15

 天気予報によると、今日の昼頃までは天気が持ちそうだという事で、本日も生物部の活動をすることにした。対馬先生は今日は部活お休み。参加者は部長のYさんと2年生部員N君とJ君、1年生からはW君だ。

 部長Yさんの希望により、今日はまずヒメシロチョウが生息している函館市内のポイントに向かった。自分は撮影さえ出来ればよかったが、今一生懸命標本づくりをしている2年生部員にとっては函館産のヒメシロチョウは貴重である。1年生はまだ標本を作ったことが無いが、これから練習のためにエゾスジグロシロチョウやモンキチョウなども採集しておいた方が良い。

 天気は薄曇りで、9時少し前にはポイントに到着してしまった。まだ少し寒いし風が強く、蝶が全然飛んでいない。ポイント付近をプラプラ歩きながら蝶を探し、たまに飛んでいる1頭を見つけたらみんなで追いかけるって感じ。みんなで歩くと効率が悪い。そこで、いくつかに分かれて探させようとしたが、ちょっとするとまたみんな集まってしまう。

タンポポ畑で蝶を探すYさん


W君(左)とN君(右)

 最近は参加部員も増え、記念撮影をするのが恒例になってきたのだが、今日は早めに記念撮影。カメラを固定したりするのが面倒だったので、自分は今回は入らず部員達だけの記念撮影にした。何故か網を持ち上げ絡ませての記念撮影になった。何の意味があるのか全く分からない。

記念撮影

 少しすると蝶の数も増えてきた。しっかり陽が差す時間帯、薄曇りの時間帯などがあったが、ルリシジミもまずまず飛び出してきた。白い蝶を探して部長のYさんが採集するとヒメシロチョウであった。

 ヒメシロチョウは道南ではこの付近のみの生息と考えられており、採集し過ぎると危険だ。なので、一応部員達には一人あたり2頭以上採集しないようにと注意していた。

 Yさんは早速2頭採集していた。

 他の部員達はヒメシロチョウの採集が出来ないでいた。私も撮影できない。ヒメシロチョウは一度飛ぶとなかなか止まってくれない。

 Yさんが「ゲンダカモッコ」と呼ぶ毛虫がいた。

 ※自分はゲンダカモッコという単語は知らない。先ほどインターネットで検索したら3件ヒットした。イモムシの事を言うらしいが情報が少なくて正確にはわからない。道南地方の方言かもしれない。

 

ゲンダカモッコ

 1年生のW君は1年生の中ではよく活動に参加している。蝶の採集も少し上手になってきたかもしれないが、網の中で蝶の胸を圧迫するときの力加減がまだよくわからず、圧迫したつもりでも網の中で蝶が大人しくならない。「もっと強く圧迫しないと」と言ったのだが、ブチュッとなってしまうのも怖いらしく、なかなか強く力を入れられないみたい。これも経験値が増えたら楽勝になると思うので、たくさん採集して行ってほしい。

NKん(手前)とW君(後ろ)

 プラプラ歩いていると、お父さんとお母さんと小さい子供がいた。お父さんは釣竿を持っている。川で魚釣りをしようとしているみたい。お母さんはタンポポで何か作っている。小さな子供はお母さんと一緒にいる。こんな里山で夫婦と小さい子供が休日を過ごしている光景がちょっといいなと思った。

 部長のYさんが「あっ!!!」と大声で叫んだ。一瞬びっくりして「どうした!?」と聞くと、「でっかい鳥がいる!!」って。オジロワシでも飛んでるのかと思ったらただのトビ・・・。トビでいちいち騒ぐなよ!と思った。

 写真に撮れと言うので仕方なく撮った。
 「カメラマンみたい」と言われた。

どこにでも普通にいるトビ
 
 また、コンデジのスーパーマクロで花の写真も撮ったりした。蝶の写真がなかなか撮れないので。

オオイヌノフグリ


わかんない花


セイヨウオドリコソウ

 テントウムシがいたので指に乗せ、これもコンデジのスーパーマクロで撮影してみた。

テントウムシ
 
 更にスーパーマクロの限界付近まで寄ると、トリミングなしでもここまで拡大できる。ちょうと足にピントが合ってしまったが、ここまで拡大できるのは凄い。

テントウムシの顔アップ

 調子に乗って、タンポポを拡大して撮ってみた。

タンポポ

 部長のYさんが、「今度の学校祭とかで、生物部の展示の時、色々な昆虫の顔をアップで撮った写真を印刷して、何の昆虫の顔なのか当てるクイズをしたらどうですか?」と言った。けっこう面白そう。部長として普段から色々考えているからこそ出てくるアイデアだなと感じ、いつもはワラジでイタズラされて腹が立つけどちょっと偉いと思った。

 空を見上げてみると、太陽の周りに環状になっていた。幻日って言うんだっけ?

 さっき親子連れがいた場所に戻ると既に親子連れの姿は無く、タンポポで作られた何か輪っかみたいのが残されていた。きっと若いお母さんが子供のために作ったんだろう。

落ちていた輪っか

 小さい子供に評判が悪くて投げちゃったのかな?と思ったけど、せっかくだから自分が頭に乗っけて写真を撮ってもらった。

タンポポの輪っかを頭に載せて撮影してもらった。
自分には輪っかがちょっと小さかったみたい・・・。

 今日もほぼ部員と一緒にいる時間が長くて、なかなか蝶の写真が撮れない。蝶が止まった時には「採るな!」と言ってちょっと待ってもらい、「撮影してみるから飛んだら採っていいよ」って言う感じ。

 飛んだら採られちゃうから、チャンスは今止まっている一瞬である。何とか越冬のクジャクチョウとミヤマセセリのメスを撮影することが出来た。

クジャクチョウ


ミヤマセセリ

 Yさんが川でカモを見つけたので撮影してみた

カモ

 結局最大の目的だったヒメシロチョウはYさんが3頭採集して1頭を誰かにあげることにし、あとはJ君がなんとか最後に1頭採集。N君とW君は常時一緒にいて蝶探しをしていたが1頭も採れていなかった。多分、お喋りに夢中になって目が蝶を探していなかったのでは?と思ったが、その辺は定かではない。一番多いなと感じた蝶はツマキチョウで、J君なんかは網に入れた蝶を見て「またツマキチョウだよ・・」と言っていたが、ツマキチョウはそんなザコな蝶ではないと思うんだけど。

 合計で4頭のヒメシロチョウ、あとはツマキチョウや1年生の展翅練習用のモンキチョウなどを採集した。意外にもこの場所で2時間くらい過ごした。

 次に違う林道に入ることにした。
 
 ちょうど違う林道に向かっている最中、就職して広島県にいる山下君から電話が来た。九州の姫島でアサギマダラのマーキングをしているという連絡だった。更に隣には東京のMさんがいるという。Mさんはこのホームページを通して知り合った片で、アサギマダラのマーキング活動に去年から頑張っている方だ。詳細は去年の活動記録の一番最後「出会い」を見てほしい。
 九州の姫島で生物部での教え子とも言える山下君と、去年知り合ったMさんが出会って一緒に活動しているなんて、なんか変な感じがした。Mさんが私のホームページを見ることが無ければ私と知り合う事も無かったし、ましてや山下君とも知り合う事が無かった。すれ違っても「他人」として挨拶位はしていたかもしれないけど、それ以上の事は無かった可能性も高いし。自分はMさんと山下君を結ぶヒモ的な役割を果たせたのかなと思うとちょっと嬉しかった。山下君も生物部を引退してからも精力的に活動しているので、とてもうれしい。

 電話を切った後、蛾眉野という地域の知らない林道に入ってみることにした。自分としては初めて来たような気がしたが、もしかしたら以前に来たことがあるかもしれない。
 林道入り口に鳥居みたいのがあったのでYさんに「やらせの写真撮るから」と言って拝ませた。

拝んでいるYさん

 林道を進むと湧水の出ている場所があった。きっといろんな人がここの湧水を汲みに来るんだろうなと思えるような、湧水を5本に分ける装置が付いていた。飲んでみたら北斗の水無林道と同じように柔らかい感じの水だった。部員にも「飲んでみろ」と言ったが、あまり興味を示さない。こんな湧水、貴重だと思うんだけど・・・。最近の高校生はジュースばかり飲んでいて、水の味なんてわからないのかな?最近の若いやつは・・・。と、オジサン的思考に陥りそうになった。それでも無理矢理飲ませた。

湧水

 ここの林道は自然にあふれている感じで個人的には好きだった。ツマキチョウが多く飛んでいた。

 J君は網は持って来たけど三角ケースを持って来ていなかった。なので採集しても他の部員に保管を頼んでいた。他の部員からすると、三角ケースは自分の採った蝶を入れるのに使っているし、場所ごとにも分けているはず。J君の蝶を混ぜてしまえばどれが自分のでどれがJ君のかもわからなくなってしう可能性もあるので迷惑そうだった。

林道を歩く部員達

 林道から少し脇に入れるような場所があったので行ってみた。小川に木が倒れていて、J君が渡ってみることになった。落ちて水浸しになった所を撮影しようとしたんだけど、見事に渡り切ってしまった。おもしくねー!

倒れた木を渡るJ君

 この林道にはまたしばらくしたら来てみたい。ミヤマカラスアゲハなど採集できると思う。

 その他、付近の林道にも入ってみたが、面白そうな所も無く今日はこれで解散となった。目的であったヒメシロチョウも確認することが出来たし、こんなにツマキチョウがたくさん見れるとも思わなかった。風が少し強かったのが残念だったけど、楽しく活動することが出来た。