台湾4日目昼偏
 昆虫科学博物館(陳先生)、動物園

 今日は台湾での自由時間最終日です。予報どうり天気はそれほど良くありませんでした。候さんとはこれまでの景美という駅ではなく、何だか駅で待ち合わせでした。もう面倒なので、ホテルからタクシーに乗って出かけました。

 昨夜満腹で撃沈し、お持ち帰りをした角煮サンドが朝ごはんです。食べていたら、部屋の電話が鳴り候さんからでした。午前中しか蝶の大先生、陳さんの都合がつかないので、先に陳さんの博物館へ行こうというものでした。台北駅の南口を指定され、タクシーで台北駅まで移動しました。私の膝も痛く、歩くのが辛い状態でした。駅はびっくりするほど広く、南口でもたくさんあります。

 候さんとの待ち合わせ時間前に到着しました。この大きな駅を撮影したかったのですが、カメラの画面に入りきりません。広角のレンズが欲しくなっちゃいました。


駅の中
(デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き)

 どうやらただのMRTの駅ではなくて、普通の電車の駅も兼ねているようです。候さんから指定された出口で待っていました。すると、自分達の後ろ側に候さんらしき人が私達に背を向けて座っていました。

 「あれ、候さんっぽくない?」と言って近づいてみるとやっぱり候さんでした。お互いに気付かず待っていたみたいです。

ここからタクシーに乗って、すぐに目的地に到着しました。

 候さんに連れられて全く知らない道を通り、学校に着きました。今日はまず、陳先生という人が作っている昆虫博物館のような場所に案内してもらいます。学校に作られている博物館で、今日は平日なので普通に高校生達が学校生活を送っているようでした。

 学校の入り口に警備か受付みたいな建物があり、候さんはここの人と何やら話しています。が、すんなり話がまとまりません。何か行き違いがあったのが通してもらえません。きちんとアポは取っていたようだったのですが。

学校前の階段に座り、誰かと電話している候さん。内股と眼鏡が可愛い

 その間に私は学校の建物の様子を見学。

学校の入り口

入り口の上。電光掲示板まである。

 5分ほど入れてもらえず、候さんが電話をしたり受付の人と話したりしてようやく中に通されました。こんな学校の中に一体どんな博物館があるというのか?若干疑問に思いながら校内に入りました。
 校内は綺麗でしたが、普通の高校って感じです。

中庭?から見た校舎

教室の様子。

階段で生徒とすれ違う

校庭に集まっている生徒達
中で迷ってしまい、候さんが高校生にたずねました。生徒は親切に入り口まで案内してくれました。

 初めて入る学校というのは何故か迷路のような感じがしますが、ここの学校も同じ。クネクネ歩いて階段も上って、ようやく目的の昆虫博物館に到着しました。

デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き

 中では陳先生が待っていてくれました。候さんと同じく日本語ペラペラです。第一印象は「ちょっと怖そうだな・・・」

 陳先生はとても忙しいらしく「10分しか時間を取れないので、後は自分達で勝手に見学して行ってくれ」と言う様な事を言っていましたが、最終的には30分は案内してくれました。

ここでの陳さんと候さんの二人だけの会話は日本語でした。なんで?

 台湾での蝶の研究では第一人者の方のようです。(詳しいことはよくわかりませんが)

陳さんはこの学校の卒業生でもあり、大学卒業後ここで理科の先生をやっていたそうです。その関係もあり、この様な博物館を作ることになったと候さんが説明してくれました。

 博物館の中に通されると、学校にいるとは思えないというか、完全に博物館になっています。まだ最終的に完成はしていないみたいですが、単に展示されているものを見る博物館というよりは、ここで昆虫に興味を持ってもらったり、勉強したりするような仕掛けがたくさんあり、特に子供達に分かりやすいような工夫がいたるところで見受けられました。

 陳先生の案内で館内を見て回りましたが、たくさんの標本は陳先生の私物であると言う様な事を候さんが言っていた様な気がします。こんなにたくさんの標本を集めるなんて、只者では無いです。

凄い数の蝶や昆虫の標本。
実際にはこの10倍くらいはあったと思う

子供達にも分かりやすいように図を用いた教材を使って勉強してもらう。
手前にいるのが候さんで、奥にいるのが陳先生。
日本語ペラペラで色々説明してくれました。
手に持っている棒でガラスをバシバシ叩きながら説明してくれたのですが、
ガラスが割れないか心配なほどでした。
(デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き)

(デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き)
館内の写真撮影をしても良いかどうか聞いたところ
「本当はダメだけどいいよ」って。
たくさん撮ってきたんだけど、一部だけ紹介します。

デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き
 モルフォチョウの羽の光沢はリンプンに光が当たることによって光って見えます。
 リンプンが光っているのではなく、リンプンのミクロの構造により、表面に当たった色の波長を吸収したり反射したりするので、特定の色に光って見えるわけです。しかし、リンプン自体が光っている訳ではないので、羽の後から光を当てると、下の写真のように全く光っては見えません。それが分かりやすいように、羽の表側から光を当てたり(上の写真)裏側から光を当てたりして、羽がどのように見えるかを自分の目で見て体験できるようになっています。

デジタルビデオカメラの動画から静止画を切り抜き

 このモルフォチョウ以外にも色々な仕掛けがあってとても面白かったです。陳先生から色々と問題も出されました。
 標本の中のものを棒で指し、「これは本物か?偽物か?」とか、擬態している昆虫(ナナフシ)と木の枝が入っている標本箱を見せられ、「この中に何匹いると思う?」などと。

陳さんは夫に「これは天然か?人工か?」と。夫は「天然・・・」。陳さん「ちがうっ!」。夫「じゃあ、人工???」。陳さん「ちがうっ!!」  ええッ??答えは何???  おかしくておかしくてビデオカメラを持っている私の手はプルプルするほどです。
陳さんの質問攻撃が続きます。
陳さん「ここには何匹いる?」 夫「いち、に・・・7匹」 陳さん「(ちょっと残念そうに)そう」 やった当たった。
陳さん「これは天然か?人工か?」 夫「胴体が天然で、足が人工」 陳さん「(残念そうに)そうだ・・・。あんたエライよ。君は何をしている人だ?」  もう吹き出しそうです。 こんなやり取りが続きました。
 この写真は蝶が集団で吸水している様子を再現したもの。もし、こんな場所に出くわしたら興奮して失神するかもしれないなぁ〜。今まではせいぜい数十匹のミヤマカラスアゲハ、エゾスジグロシロチョウ、ツバメシジミの集団吸水しか見たこと無いし、コヒオドシ、コムラサキが大量にいた場所に出くわしたこともあるけど、こんなに凄くはなかったです。それでもけっこう興奮したんですけど。

 大きなスクリーンがあってビデオを見られるような部屋もあって、陳先生に色々と説明してもらいました。陳先生はこのあと仕事があるというので、あとはもう一度勝手に見学して行ってくれという感じで、どこかに行ってしまいました。

 もう一度最初から標本を見たりしてぐるっと回り、この博物館を後にしました。陳先生、忙しい中どうもありがとうございました。

私達が見学した高校は台北で3番目の進学校だそうです。ワイシャツをズボンから出したりして見た目は日本の高校生と変わりません。

 博物館を出て学校の外に出ようと思いましたが、出口が全然分かりません。来る時に歩いてきたと思われる廊下にシャッターが閉まっていて通れなかったり。で、いろいろ迷って、来た所とは全然違う場所に出てしまいましたがなんとか外に出ることが出来ました。

 そしてまたバスに乗り、今度は動物園に向いました。

バスの中で夫は爆睡中です。

候さんが毎日私達のために用意してくれたお茶。
香りがすごく良くて美味しかったです。

 動物園に到着しました。平日という事もあるせいか、そんなに混んでいる感じではありませんでした。でも規模の大きな動物園みたい。帯広動物園とは比べ物にならない感じです。入場料は忘れましたが、候さんは老人だからタダなんだって。

 候さんは5年くらい前に車を卒業したそうです。同年代の友人に車に乗せてもらい、いきなり前の車に追突したのを経験して卒業を決めたとのこと。
 台北は交通機関が安く、老人にも無料パスがでます。タクシーも500円ほど払えば、けっこうな距離を走ることが出来ます。もし、日本でもこれぐらいの料金でタクシーやバスに乗れるのなら、私の70代の父も車から卒業できるし、母も自転車で買い物に行かなくても良いのかも、と考えていました。そうだ!親戚や函館の母など一族で台湾に移住だ!!

動物園の入り口にて

 今日はパンダがお休みの日だと候さんが行っていたようでしたが、私達はパンダを見に来たのではないので全然問題ありません。もし、パンダがお休みでなくても多分見に行かなかったと思う。(一度も見たこと無いけど)

 園内に入り、真っ直ぐに蝶のたくさんいるという場所に向いました。天気は曇りで今にも泣き出しそうなのですが、昨夜から今朝にかけて降ったみたいなので、逆に回復に向っていたのかもしれません。

辺りにはいろいろ動物がいました。ちょっと見たかったけれど、二人は昆虫館に一直線。


 蝶のたくさんいる場所に着きました。地形や植物を蝶の好きなような感じにしているみたいで、そこに小路がついていて歩くことができます。妻と候さんは例によって近くのベンチに座って一休み。私は一人で歩いて蝶を探しました。

候さんも疲れているようで、二人でベンチで休んでいました。今日も候さんのバッグからパイ(プリン)、みかんが出てきて、おいしく頂きました。
候さんに何か欲しいものはないかとたずねると、「日本の小学校の教科書が欲しい」と即答してくれました。今の日本の小学生がどんな文を読んでいるのか知りたいし、自分の日本語の勉強にもなると。いくつになっても向学心があり、感心してしまいました。
 蝶の多い場所の入り口付近で出迎えてくれたルリタテハ。北海道では珍しいんだけど、大学時代の仙台ではけっこう多かったです。でも、ルリタテハを見ると何故か「ハッ!」とします。
マダラ
セセリ(北海道にもいるオオチャバネセセリに似てる)
ジャノメ
お!この蝶は何だ?と思ったら蛾だった。(飛び方で「蛾だな」とは思ったんだけど・・・。)
陳さん「これは蝶か?蛾か?  あんたスゴイね」と言われそう。
マダラ
キチョウ
セセリ
死んでた
セセリ
これ何?実際は数ミリ程度しか無い虫なんだけど、写真を拡大して見てはじめてこんな虫なんだってわかりました。(かなりトリミングした写真です)葉っぱの上のゴミみたいのがゆっくり動いていたみたいだったから写真を撮っておいたんだけど。
シジミ
シジミ
マダラ
マダラ
ツマグロヒョウモン♂か?
北海道にいないからなぁ〜
シジミ

 デジタルビデオカメラも使って蝶の撮影をしました。主にビデオ係りは妻だったんだけど、けっこう大変そうでした。しかし、やっぱりデジタルビデオカメラの進化は凄いですね。動画をパソコンに取り込んで、好きな部分を静止画に変換します。そうするとコンパクトデジタルカメラで撮影した写真並みの静止画(JPEG)が出来ます。これならもう写真用のカメラいらないかもね。
 デジタルビデオカメラで撮影した写真を3枚ほど出しておきます。1枚2メガか3メガ位になります。(もちろんホームページには圧縮した画像データで出していますが)

 天気が良くなかったからそんなにたくさんの蝶は見れなかったんだけど、もし晴れていたらけっこういるんだろうなぁ〜と感じました。ただ、写真撮影をするにはこの位の天候のほうが綺麗に写せるなと感じました。ピーカンの天気だと白飛びしたりする部分があって難しいんです。うす曇りか曇りくらいの方が優しい感じになりますね。ただ、この位の天気で陰になって暗い所だとシャッタースピードはかなり遅くなりぶれてしまいます。

 この動物園内の蝶の多い場所のすぐ横には室内で蝶を放し飼いにしている建物があって、自然状態じゃないけど中に入って撮影する事にしました。以下はその室内での蝶の写真です。
パイナップルを吸っているルリタテハ
オオゴマダラとアゲハが重なっていた
このオオゴマダラは沖縄のと同じなのかな?
アカエリシロモンクロアゲハ(勝手に命名)
ルリタテハ。北海道のより深みがあるような気がする。
パイナップルを吸うコノハチョウ
オオゴマダラアップ
この女の子、オオゴマダラを手乗りにしようと頑張っていた。奈良美智の絵を思い出すような子でした。
マックロアゲハ


 ここではそんなに時間がありませんでした。午後からは妻のやりたいことに付き合う約束だから。もっと遊んでいたかったけど、動物園を出ることにしました。


 そしてこの旅で3日間もお世話になった候さんともここでお別れすることになりました。
 最初はFieldさんに候さんを紹介してもらい、「案内してもらえなくてもいいから、蝶のいそうな場所を教えてもらえれば」位の感じだったんだけど、「私は毎日が日曜日だから」と、3日間全て案内していただきました。
 日本から来た知らない夫婦にとても優しく、丁寧に接してくれて、かなりありがたい気持ちになったと同時に、ここで候さんとお別れするのが寂しくなって、自然に泣けてきました。自分、涙もろくて嫌です。
 しかも、簡単に会える様な場所じゃないし。候さんに会いたければ台湾まで来なくちゃならない。またいつか候さんに会いに来たいけど、いつ行けるかなんて保障は全く無いし。

 泣いている私を見て候さんは「あんた、体は大きいのに心が弱いね」と笑っていました。

 私は涙を拭くタオルを持っていたので、タオルで目を拭いていると、妻が私のタオルを奪おうとします。
 何で今使っているのに奪おうとするんだよ!タオル取られたら困るんだけど。人がせっかく泣いているのに邪魔するな!と思ったら、妻も泣いていました。それで私のタオルが欲しかったから奪おうとしていたのか。

 候さんに「また来ますから案内してくださいね」と言ったら、「もしその時まだ元気だったら」という返事が返ってきました。
 これは近いうちに候さんに会いに行かねば。なんてったって78歳ですから、候さん。

夫は「今度来たら候さん死んじゃっているかも」と言ってワンワン泣いてます。死んじゃってるなんて・・・。


 Fieldさんと相談して近いうちにFieldさんも一緒に台湾に行くしか無いな!!と強く思いました。

 候さん、本当にありがとうございました。この旅行が楽しかったのは候さんや牛爺さん、陳先生をはじめ、たくさんの台湾の方たちが私達を気持ちよく受け入れてくれたからです。
 
 北海道にも台湾の人たちがたくさん旅行でやってきます。触れ合う機会があったら絶対親切にしようと思っています。


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