雨の憂鬱2

 1月8日、今日はボルネオで遊べる最終日。夜中の12時半には成田への飛行機が飛び立ちます。
 最後のボルネオは近場で過す計画でしたが、もっと蝶の撮影がしたかったのに、天候にやられ満足できていなかったので、またキナバル公園へ向かいました。レンタカーはこんなに汚れていました。

レンタカー屋さんは「新車ですから」と言ってたのにこんな姿で返すとは・・・・。
 
泥んこになったレンタカー。これまでの激走を物語る。

 ホテルからキナバル山を見ると、頂上は見えているものの、天気は悪そう・・。
 峠を登り、キナバル公園に到着する前にもう諦めました。霧、雨・・・。
 ポーリン方面に行って同じ天気だったら最悪なので、引き返しました。海側の方が天気が良いかもしれないと思ったからです。実際、ホテルを出るときにはまずまずの天気でした。
 これでキナバル公園にはもう行くことはありません。出発前、一番期待していたキナバル公園は、結局良い成果をあげることはできませんでした。キナバルオナガタイマイを撮影できたのが唯一の救いです。

 ホテルからキナバル公園へ向かう峠を登る前に、タンパルリという街があります。ホテルからは20分くらいかな。そこあたりに、ラフティングの看板があったと妻が言いました。ラフティングといえば、川下り。きっと山の川から出発するはずで、自然豊かな場所があるのではないかと思い、引き返す途中に行ってみることにしました。しかし、ホテルから出発した時にはうす曇りだった天候も、雨に変わってしまい、ここも途中で諦めて帰りました。

朝出発時はホテル周辺は明るかったのですが、私たちがキナバル方面から戻ると同時に雨雲も一緒に来ました。まるで連れて帰ったみたいに。

 がっかりしながらホテルに到着。ボルネオ最終日にして最悪の天気です。落ち込みました。
 まだ時間も10時頃だったので、ホテルの朝食場へ行きブランチ。その後しばらく部屋でふてくされてました。
 お昼頃、外を見ると、一瞬だけ青空が出ている方向があり、明るくなってきているような気がしました。
 それはいつも通っていたキナバル公園方向とは反対側でしたが、望みを託して出発しました。
 初めて通る道路を進み、しばらく行くと、ちょっとした林道のようなものを発見したので入ってみました。

 砂利道は細く、山につながっている感じではありませんが、あたりはちょっとした森になっているようです。
 少し進むと林道上に小さなシジミが何頭も飛んでいるのを見つけ車を止めて降りました。
 車を降りたとたん、雨がポツポツ降ってきてしまいました。また小さなシジミは、近づくとすぐに飛んでしまいます。カメラは未だにマクロレンズをつけられない状態であり、接写で近づくしかありません。
 何度も失敗を繰り返し、ようやく何枚か撮影できました。本当に小さいウラナミシジミのような蝶です。

雨が降っていてもとてもとても小さな蝶がたくさんとんでいます。

小さな小さなウラナミシジミみたいな蝶

 更に少し林道を進んでいくとすぐに行き止まりになってしまいました。
 どうやら牧場のようなところへ行く道だったようです。
 行き止まりでUターンして引き返しました。
 ちょっと名残惜しかったので一旦車を止めて降りてみようと、林道の脇に車を寄せました。
 そしたら車が随分斜めになったので、ここでないところに止めなおそうと思ったのですが、タイヤが空回りして出られなくなってしまいました。焦りました。こんなところで埋まるなんて・・。

車を寄せると後ろの方にズズッと車が動きました。「やばい!埋まったかも!」SENNSE焦りまくり。

 運転席のドアを開けて見てみると、タイヤは濡れた草に空回りしているようだった。
 駆動を4輪のローに入れ、ギアをバックに入れて少しだけ動かし、すぐにローに入れて動かす。
 またバックに入れて動かしすぐにローに入れて動かす。そうして車を揺さぶり、なんとか脱出することができました。あー、焦った・・。

最終日にこんな山の中で埋まってしまったら誰が助けてくれるのでしょう。脱出した後、若いお姉ちゃんが歩いてきたり車が通ったりけっこう人通りのある道でした。でも助かってよかった・・・。

 車を近くの違う場所に止めて降りました。また降りたとたんに雨がポツポツ降り出しました。降り方は次第に強くなり凄い雨になってきました。木の下に雨宿りしているうちに見つけたシジミとセセリを撮影し、この場所を諦めました。
 
     わからん。ルリシジミに見えるけど・・。                キマダラセセリに似てる蝶

 舗装道路に戻り、更にホテルから遠ざかるように進みました。
 途中、分かれ道があり右折。小さな舗装道路です。道路はすぐに登りになり、小さな山というか丘の方に向かいました。道路の両脇は畑のようなものがあったり森だったりしますが、砂利道にはならず、どこかへ向かっているようでした。
 その途中、いかにも蝶がいそうなポイントが何箇所かあったので車を止めて蝶を探します。しかし、何故か車を降りるたびに雨がポツポツ降ってきます。どれだけ運が悪いんだろうと思いながらも蝶を探し、何種類か撮影できましたが、新しい種類は下の写真1種のみ。他に緑色の綺麗なアゲハみたいのもいましたが、撮影はできませんでした。

タテハモドキだとおもう。

 道をしばらく進んでいくと小さな集落のようなものがありました。農村でしょうか。そこにこれまた小さな商店があったので、入ってみました。変な外人が来たと言う様な目で見られましたが、最近はそれも楽しくなってきていました。レジにはおじさんがいてテレビを見ていました。レジの後には大きな冷蔵庫があり、ジュースが売られていたので、私はまたストロベリーソーダ、妻もジュースを頼みました。おじさんは冷蔵庫からジュースを取り出し、売ってくれました。1本1RM。これまで買ったジュースの中で1番安かったです。近くにいた人にまた「日本人?」って聞かれました。
 このたびの間、何度か現地の人に「日本人?」って聞かれました。ラナウの商店でも、ケンタッキーでも。それにしてもみんな大正解。何で「中国人?」とか「韓国人?」って聞かれないんだろうか??
 私は日本人も中国人も韓国人も、みんな似たような顔つきで区別は付きませんけど、彼らにしたらそれぞれ違うように見えるのでしょうか?不思議です。

おじさんにお金を払ってジュースを持ちました。「あれ???」ぜんぜん冷えていないのです。レジの横にあった冷蔵庫は単なる「ジュース入れ」だったのです。やられたけど二人でゲラゲラ笑いました。
今まで道路や街ではけっこう新しい車が走っていました。ランクルや私が乗っているヴォルツ、SENNSEのエクストレイルなども普通に走っています。でもこの小さな町には、ウチのアルバムに髪が多く若かりし父が嬉しそうに車と写っているような車がたくさん止めてあります。マレーシアの中でもタイムスリップしたような町でした。
途中道の真ん中に犬がいたので、ポテトチップをあげると一目散に逃げてしまいました。


 この小さな農村で道が更に3方向くらいに分かれていましたが、これ以上進むと迷子になりそうだったので、引き返しました。

 そして、この旅最後として、先ほど行って雨に降られたタンパルリの道に再挑戦することにしました。
 タンパルリの方に付くと、少しだけ天候が回復しました。

タンパルリの街には長い吊り橋が。車の中から撮影しましたが、
ここは川の上で、車道が幅狭で、歩道のスペースが無いため、吊り橋にしている。

 タンパルリの道からラフティングの看板がある道に進み、蝶がいそうな場所や、蝶が飛んでいるところで車を止めて、歩きます。少し回復した天候ですが、それでもよい天気とは言いがたく、条件は悪いです。そんな中でも何種類かの蝶がモデルになってくれました。ここではやたらと大きなコノハチョウみたいな蝶や、これまで何度か撮影したけどボロばかりだった○○イナズマという蝶の綺麗な固体も見られましたが、撮影出来ませんでした。
 
          リュウキュウムラサキ♀                   キマダラセセリ似。丸い感じ。
 
           わからんシロチョウ                        オレンジジャノメ(仮名)
 
             コミスジ系列                        タイワンシロチョウ

 そうこうしているうちに時間も3時半頃になってしまいました。ボルネオの蝶の撮影が終了しました。
 アカエリトリバネアゲハや熱帯の派手な蝶、大きな蝶の撮影がしたくボルネオに来ましたが、雨季だったということが結果的に災いし、とても満足のできる撮影旅行というわけにはいかず、とても残念な気持ちになりました。撮影した蝶の中には初めて見てびっくりしたものもいたし、心を奪われた種類もありました。しかし、わざわざボルネオまで来なくても日本でも見られるような種類のものや、日本で見られる蝶の近似種と思われるものも多くかったという印象です。

 蝶の撮影を終え、道を戻りました。戻る途中、道路脇には牛や鳥、犬の家族が休んでいます。見慣れた光景になりましたが、記念に撮影しました。
 
             道の脇の牛                                    犬家族

 私達はまたコタキナバルの街に向かいました。最後の夕食をコタキナバルで食べようという事です。
 最後の食事場所に選んだのは通いなれたセンターポイントの中の食堂です。
 ケニーロギンスの店らしいです。
 また高校生の女の子みたいなバイトの子が注文に来ましたが、英語が通じませんでした。頼んだのは鳥を焼いたセット(ブラックペッパーチキン1/4とケニーズオリエンタルチキン)と、ゼリーパフェ、コーラライト、アイスミロ。53.48RM(1660円)

またまた奥でお姉ちゃん達が「誰が行く?」なんて感じで相談しています。料理はかなりのボリューム。この滞在中一体何羽の鶏を食べたのでしょう。
 
             最後の夕食                                 ゼリーパフェ

 ゼリーパフェみたいなデザートは、上は美味しかったのですが、下のゼリーの部分がイマイチ。ゼリーが硬くて、しかも、3段重ねの凄い量のゼリー。下の1段は残してしまいました。

 通いなれたコタキナバルの街を後にし、ホテルに戻りました。
 ホテルに到着すると、レンタカー屋さんが来ていました。私達からレンタカーを引き取りに来たのです。
 妻が部屋に支払うお金を取りに行く間、レンタカー屋さんと英語で会話。
 この旅行中キナバル公園やポーリン温泉を何度も行ったりきたりしたこと、コタキナバルの街に毎日のように通ったこと、蝶の撮影のため舗装道路ではない砂利道を走ったこと、そのせいで車が泥んこになったけど洗ってなくて申し訳ないという事、マヌカン島に行ったこと、この車はパワーもあって最高だったことなど。そして、この旅で1232kmも走った事。

 レンタカー屋さんも、自分が釣りが好きで、仲間同士で船をチャーターして釣りに行くということ、凄い大きな魚がつれるが今の時期は魚がいないことなどを教えてくれました。
 
 妻が部屋からお金を持って戻ってきました。支払いを済ませ、レンタカー屋さんと握手してさようならをしました。レンタカー屋さんは、今度来られることがあったら、また当社のレンタカーをよろしくい願いしますと言ってました。

レンタカー屋さんと別れ、すぐにSENNSEが歩いていく彼を呼び止めました。「ハロー」。またやってしましました。フィジーのグットイブニング事件の再来です。(詳しくは「ティブア島クルーズ後半」の鉄板焼きあたりを読んでください)

 部屋に戻り妻は出発にむけての荷造り。
 私は一休み。

 9時半頃、荷物をまとめて部屋を出ました。部屋は毎日チップを置いて清掃などしてもらいましたが、毎日1RMしかチップに置いていませんでした。滞在から数日した時、ガイドブックをみて、チップの相場が2RMだったことを知り、それ以来2RMにしましたが、最後は感謝の意味も込め5RM置いてきました。

 今考えると、レンタカーを空港で引き渡すことにすればよかったのですが、ホテルから空港までの送迎車を予約していたので仕方ありません。チェックアウト後ホテルが用意する車に乗って空港まで行きます。
 またベンツで送ってくれるのかと思ったら、日産セレナ・・。なーんだ。

 ボルネオに到着してホテルまで送ってくれた運転手の人はやたらと喋ってたけど、帰りの運転手は物静かな人でした。途中、モスクのビデオ撮影がしたいと言うとゆっくり走ってくれたり、私が質問したことには親切に答えてくれました。
 ボルネオに来てからひとつ疑問に思っていたことがあって、それは何でこんなに犬が多いのかということでした。そんなに裕福な家庭ばかりでは無いだろうし、田舎の貧しそうな感じのところでも、たくさんの犬がいます。もしかして食べるため??
 運転手の人にそのことを聞くと、返ってきた答えは「イエス」
 続けて「中国系の人とフィリピン系の人が犬を飼って食べる。私は食べない」と言ってました。

 この旅で何百頭と見たワンコたち、食用だったんですね。ちょっとショックでした・・・。

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